2年前の10月、とある分野のシンポジウムがあるということで2日間の会合に参加しました。場所は、長野県松本駅からバスに揺られること20分、フェアトレードや終末医療をやる風変わりのお坊さんがいる神宮寺のすぐそば「浅間温泉」が開催地でした。交通アクセスは決して便利とは言えません。しかしながら、集まった人は全国から430人以上。当初は300人を予定していたため、会場を変更せざるを得なかったようです。会合の名は「住民支え合い推進セミナー(全国支え合いマップ研究集会)」でした。会場入りして、集まった人の熱気に驚き、地域福祉の取組みを紹介したパネルが数多く展示してありました。
何年も「まちづくり」について勉強してきましたが、この会合でキーマンを務める木原孝久さんのお話が聞きたかった。
木原さんの話を聞くと「見える世界が変わる」。表現が大袈裟に聞こえるかもしれませんが、少なくとも私には大きな衝撃でした。『限界集落』はどこか遠くの田舎の問題ではありません。私たちが住む足元、都市の中でもコミュニティ活動の深刻な崩壊が起きています。そのような中、地域福祉の世界では、「普通の街の普通の住民によるイノベーション」が各地で展開されていました。この土台となったのが木原さんの提唱する「支え合いマップ」という武器でした。リアルmixiとでも言いましょうか、「地域の中の支え合い」という見えない活動を、誰もが理解できる地図という表現を通じて「見える化」が行われていました。
とかく、「まちづくり」の業界では、対象とする「まち」の規模やイメージは専門家によって千差万別ですが、木原さんが対象とする「まち」は実に明解。コミュニティ再生の問題意識や解決の手法も「これならできる」と共感できる内容でした。以前から関心のあった米国や海外で普及する「ABCD(Asset-Based Community Development)」の日本版とも呼べる、「まちづくり」の観点からは画期的な戦略でした。
だがしかし、です。非常に残念なことに、木原さんの話を聞くのは、いつも決まって福祉関係者なんです。その会合に集まったのも、社会起業家でも、まちづくり関係者でもない、社会福祉協議会等の福祉関係者がほとんどでした。もったいない話です。木原さんの話を福祉の世界で完結させてはなりません。「謝金を負担してもいいから是非多くの方に耳を傾けて欲しい。」そう思って、ようやく念願が叶うことになりました。ショートノーティスで申し訳ありませんが、来週6月6日(金)夜、都内で木原さんを招いた会合を開きます。是非、社会起業家関係者の皆さんにもお越しいただければ幸いです。下記に詳細のご案内申し上げます。満席になり次第、受付を終了させていただきます。
(ローカルデザイン研究会 世話人/斉藤哲也)
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第57回「ローカルデザイン研究会(LD研究会)」のお知らせ
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■日時:2008年6月6日(金)18:30~21:00
■ゲスト:木原 孝久さん(住民流福祉総合研究所/所長)
■テーマ:「住民流助け合い起こし」~地域福祉に学ぶコミュニティデザインの原点
■内容:地方も都市も「誰もが住み慣れた家や地域で安心して、またその人らしく生きていく」という、あたりまえのことが、今の日本社会では難しくなりました。
いまや働く人の3人に一人が非正規雇用となり、生活保護水準以下で暮らす家庭は、日本の全世帯のおよそ10分の一、400万世帯以上とも言われています。また、欧米諸国が過去に経験したことのない超高齢化社会に突入し、介護をする人の50%以上が60歳を超える中、家族の介護のために引きこもったまま、地域社会から孤立する高齢者も少なくありません。介護保険制度の導入以降、福祉がプロによるサービスとなってから、住民による助け合いが消えつつあるという危険な状況に陥っています。コミュニティ活動の維持が困難となっているのは、中山間地の限界集落だけではなく、身近な都市の問題でもあるのです。
そのような中、人口約3万5千人の小都市・長野県駒ヶ根市のように、「誰もが住み慣れた家や地域で安心して、またその人らしく生きていく」ことを目標とした地域福祉に取り組み、その結果、「住みよさ」「福祉度」「子育て指標」「転職適地」などの様々な住環境指標で全国上位にランキングされるようなキラリとひかる地域も数多くあります。
30年以上にわたり住民流の福祉を追求し、ご近所の支え合いマップを武器に、全国の「助け合い起こし」をサポートしてきた住民流福祉総合研究所/所長の木原孝久さんをゲストにお招きし、昨年度、木原さんが関わった「これからの地域福祉のあり方に関する研究会(厚労省)」の報告書を踏まえ、地域福祉の先進事例、駒ヶ根市の「こまちゃん宅福便」もご紹介いただきながら、これからの地域福祉はどうあるべきなのかについて、語っていただきます。
これまで地域福祉とまちづくりは、行政の窓口も違えば、専門家や文献も別々、それに取り組む人々も連携がないなど、近いようで見えないバリアがありました。しかし、地域福祉の取組みから得られた数々の学びと実践的なノウハウは、真に豊かな地域社会を創る上で多くのヒントを与えてくれるはずです。福祉の当事者とは一体誰か、福祉活動の主役は誰か、はたまた地域福祉が対象とするエリアとはどのくらいの規模を指すのか、よき福祉への環境づくりをするためには何が必要なのか、活気があって災害に強い地域に共通する「住民の流儀」とは何かなど、まちづくりに関心を持つ多くの方にお聞きいただきたいと思います。
■プロフィール:木原 孝久(きはら たかひさ)さん
東京生まれ。早稲田大学第一政治経済学部卒業。中央共同募金会勤務を経てフリーに。
「住民流福祉総合研究所」を創設、30数年にわたり住民流の福祉のあり方を追い求め、月刊誌「住民流福祉」や福祉関連マニュアルを発行のほか、研究会やセミナー開催。また自治体や民間福祉機関の事業(「地域福祉計画・活動計画」の策定等)を支援。「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」(厚生労働省社会・援護局/07年10月~08年3月)メンバー。「住民の支え合いマップ作り」や住民 流福祉のまちづくり等を推進・普及中。講演、執筆、ラジオ・テレビ出演等。財団評議員。埼玉県在住。
■参考資料:住民流福祉総合研究所HP
http://www5a.biglobe.ne.jp/~wakaru/index.htm
■会場:(財)東京都中小企業振興公社・第2会議室
〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町1-9 東京都産業労働局秋葉原庁舎
03-3251-7886(地図 http://www.tokyo-kosha.or.jp/kosha/office/akiba.html)
■会費:会場費など会費として、社会人2000円。なお、研究会後に、ゲストを囲んで近くで懇親会をします。(会費おおむね2000円)誰でも参加できます。
■申込:幹事/田原幸訓(江戸川大学4年生)さんのメールアドレス宛に、お名前、ご連絡先、(ご所属)等をご連絡下さい。
b05079yt@edogawa-u.ac.jp("@"は半角に変換願います)
満員になり次第終了とさせていただきます。
■LD研究会のブログは、http://ameblo.jp/ldken/
これまではブログは、LD研究会のお知らせだけに使われていたのですが、みなさんの意見や反応を反映して、相互作用の中で運営したいので、大いに活用してください。さらに、同じ目的を持った会ともにつながって開催する方向でしていきたいと思いますので、アライアンス(連携)の研究会の提案も歓迎です。中心のないネットワークを自然体で築いていける方向で進めたいと考えています。
何年も「まちづくり」について勉強してきましたが、この会合でキーマンを務める木原孝久さんのお話が聞きたかった。
木原さんの話を聞くと「見える世界が変わる」。表現が大袈裟に聞こえるかもしれませんが、少なくとも私には大きな衝撃でした。『限界集落』はどこか遠くの田舎の問題ではありません。私たちが住む足元、都市の中でもコミュニティ活動の深刻な崩壊が起きています。そのような中、地域福祉の世界では、「普通の街の普通の住民によるイノベーション」が各地で展開されていました。この土台となったのが木原さんの提唱する「支え合いマップ」という武器でした。リアルmixiとでも言いましょうか、「地域の中の支え合い」という見えない活動を、誰もが理解できる地図という表現を通じて「見える化」が行われていました。
とかく、「まちづくり」の業界では、対象とする「まち」の規模やイメージは専門家によって千差万別ですが、木原さんが対象とする「まち」は実に明解。コミュニティ再生の問題意識や解決の手法も「これならできる」と共感できる内容でした。以前から関心のあった米国や海外で普及する「ABCD(Asset-Based Community Development)」の日本版とも呼べる、「まちづくり」の観点からは画期的な戦略でした。
だがしかし、です。非常に残念なことに、木原さんの話を聞くのは、いつも決まって福祉関係者なんです。その会合に集まったのも、社会起業家でも、まちづくり関係者でもない、社会福祉協議会等の福祉関係者がほとんどでした。もったいない話です。木原さんの話を福祉の世界で完結させてはなりません。「謝金を負担してもいいから是非多くの方に耳を傾けて欲しい。」そう思って、ようやく念願が叶うことになりました。ショートノーティスで申し訳ありませんが、来週6月6日(金)夜、都内で木原さんを招いた会合を開きます。是非、社会起業家関係者の皆さんにもお越しいただければ幸いです。下記に詳細のご案内申し上げます。満席になり次第、受付を終了させていただきます。
(ローカルデザイン研究会 世話人/斉藤哲也)
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第57回「ローカルデザイン研究会(LD研究会)」のお知らせ
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■日時:2008年6月6日(金)18:30~21:00
■ゲスト:木原 孝久さん(住民流福祉総合研究所/所長)
■テーマ:「住民流助け合い起こし」~地域福祉に学ぶコミュニティデザインの原点
■内容:地方も都市も「誰もが住み慣れた家や地域で安心して、またその人らしく生きていく」という、あたりまえのことが、今の日本社会では難しくなりました。
いまや働く人の3人に一人が非正規雇用となり、生活保護水準以下で暮らす家庭は、日本の全世帯のおよそ10分の一、400万世帯以上とも言われています。また、欧米諸国が過去に経験したことのない超高齢化社会に突入し、介護をする人の50%以上が60歳を超える中、家族の介護のために引きこもったまま、地域社会から孤立する高齢者も少なくありません。介護保険制度の導入以降、福祉がプロによるサービスとなってから、住民による助け合いが消えつつあるという危険な状況に陥っています。コミュニティ活動の維持が困難となっているのは、中山間地の限界集落だけではなく、身近な都市の問題でもあるのです。
そのような中、人口約3万5千人の小都市・長野県駒ヶ根市のように、「誰もが住み慣れた家や地域で安心して、またその人らしく生きていく」ことを目標とした地域福祉に取り組み、その結果、「住みよさ」「福祉度」「子育て指標」「転職適地」などの様々な住環境指標で全国上位にランキングされるようなキラリとひかる地域も数多くあります。
30年以上にわたり住民流の福祉を追求し、ご近所の支え合いマップを武器に、全国の「助け合い起こし」をサポートしてきた住民流福祉総合研究所/所長の木原孝久さんをゲストにお招きし、昨年度、木原さんが関わった「これからの地域福祉のあり方に関する研究会(厚労省)」の報告書を踏まえ、地域福祉の先進事例、駒ヶ根市の「こまちゃん宅福便」もご紹介いただきながら、これからの地域福祉はどうあるべきなのかについて、語っていただきます。
これまで地域福祉とまちづくりは、行政の窓口も違えば、専門家や文献も別々、それに取り組む人々も連携がないなど、近いようで見えないバリアがありました。しかし、地域福祉の取組みから得られた数々の学びと実践的なノウハウは、真に豊かな地域社会を創る上で多くのヒントを与えてくれるはずです。福祉の当事者とは一体誰か、福祉活動の主役は誰か、はたまた地域福祉が対象とするエリアとはどのくらいの規模を指すのか、よき福祉への環境づくりをするためには何が必要なのか、活気があって災害に強い地域に共通する「住民の流儀」とは何かなど、まちづくりに関心を持つ多くの方にお聞きいただきたいと思います。
■プロフィール:木原 孝久(きはら たかひさ)さん
東京生まれ。早稲田大学第一政治経済学部卒業。中央共同募金会勤務を経てフリーに。
「住民流福祉総合研究所」を創設、30数年にわたり住民流の福祉のあり方を追い求め、月刊誌「住民流福祉」や福祉関連マニュアルを発行のほか、研究会やセミナー開催。また自治体や民間福祉機関の事業(「地域福祉計画・活動計画」の策定等)を支援。「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」(厚生労働省社会・援護局/07年10月~08年3月)メンバー。「住民の支え合いマップ作り」や住民 流福祉のまちづくり等を推進・普及中。講演、執筆、ラジオ・テレビ出演等。財団評議員。埼玉県在住。
■参考資料:住民流福祉総合研究所HP
http://www5a.biglobe.ne.jp/~wakaru/index.htm
■会場:(財)東京都中小企業振興公社・第2会議室
〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町1-9 東京都産業労働局秋葉原庁舎
03-3251-7886(地図 http://www.tokyo-kosha.or.jp/kosha/office/akiba.html)
■会費:会場費など会費として、社会人2000円。なお、研究会後に、ゲストを囲んで近くで懇親会をします。(会費おおむね2000円)誰でも参加できます。
■申込:幹事/田原幸訓(江戸川大学4年生)さんのメールアドレス宛に、お名前、ご連絡先、(ご所属)等をご連絡下さい。
b05079yt@edogawa-u.ac.jp("@"は半角に変換願います)
満員になり次第終了とさせていただきます。
■LD研究会のブログは、http://ameblo.jp/ldken/
これまではブログは、LD研究会のお知らせだけに使われていたのですが、みなさんの意見や反応を反映して、相互作用の中で運営したいので、大いに活用してください。さらに、同じ目的を持った会ともにつながって開催する方向でしていきたいと思いますので、アライアンス(連携)の研究会の提案も歓迎です。中心のないネットワークを自然体で築いていける方向で進めたいと考えています。
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