まちづくりはFeel-Do Work!考えるより感じよう、みずから動き、汗をかこう!(旧“まちづくり”便利帳)

まちづくりの支援者から当事者へ。立ち位置の変化に応じて、実践で培った学びの記録。もう一人の自分へのメッセージ。

「本気の話は本気で聞け」~受身の姿勢に主体性のスイッチを入れる

2008-10-17 08:19:43 | まちづくりのキーワード
宮本常一のDVDを見ていて意外に思ったことが一つだけありました。
宮本氏の顔写真は笑顔で写っているものが多く、その柔和な表情が印象的だったのですが、DVDで登場した小木の民俗博物館関係者が宮本の人柄について、「短気だった」と語っていたのです。類まれな傾聴力と偉大な業績から、宮本を聖人化する評も多いことから、私もびっくりしたのですが、コメントの続きを聞いて合点がいきました。「講演で聞く態度が悪い人がいると、『聞く気がないのなら帰る』と言い出すことが度々あった」というのです。書籍「炉辺夜話」を読んで、宮本が怒った理由がわかりました。他の島でもよく次のようなセリフを言ったと述べています。

「あなたがたがその気にならないのなら、私は二度と再びこの島には来ない。やる気があるのならまた呼んでくれ」
「私は話はするけれども、私の言うことを実践するのか。実践しなければ話してもしようがないから」

このように言われた講演の主催者は、「それは困る」と住民の積極的な参加を呼びかけ、集まる聴衆に対しても真摯な態度で聞くように働きかけるようになります。
ともすれば「今日はいい話が聞けた」「勉強になった」と、一時的な盛り上がりで終わりがちな講演を、実を結ぶ成果につなげることの重要性から、如何に住民が行動を起こすキッカケとするかという問題意識を反映したものでした。住民の主体性がなければ、住民の主体性に温度差があったら成功しないことを身をもって痛感する長い経験から出た、意識的な投げかけだったのです。

「本気の話は本気で聞け」

住民の主体性のスイッチを入れることなくして、粘り強く持続的な成果を生み出す活動にはつながりません。その重要性を再認識した次第です。

学問と情熱 第15巻 宮本常一 民衆の知恵を訪ねて

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炉辺夜話
宮本 常一
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