goo blog サービス終了のお知らせ 

スチャラカランナーの日々

運動部経験なし、40代マラソンランナーの趣味日記。ランニングも趣味のひとつですから。

「世田谷一家殺人事件」齊藤 寅/著

2006年06月28日 | 
 「世田谷一家殺人事件 侵入者たちの告白」齊藤 寅/著読みました。

 あの有名な事件の取材を行ううちに、いつしか真相に近づいていくルポルタージュです。世田谷の事件と日本の各地で起こった事件を関連付けるような証拠があらわれ、次第に真相が明らかになっていきます。

 証拠の信憑性や本書で書かれていることがどの程度本当なのかは、私には何ともいえませんが、本書が真実に迫っているとすると相当怖いことになる。
 それは犯人に対してということも言えるし、警察の体制にも言えます。

 ベルリンマラソンへ参加した時に、帰宅してみると窓の鍵の部分が小さく割られて、空き巣に入られていたことがあった。部屋にはほとんど現金は置いておらず、実際的には全く損害はなかったのだが。
 
 空き巣の話をしていたら会社の同僚の多くが空き巣に入られた経験があることが分かった。

 また、同じく東京に住んでいる当時、会社から帰ってくるとドアに手紙が挟まれていて、隣家に早朝強盗が入り犯人が捕まっていないので気をつけてください、とあった。
 確かに隣の家の雨戸が夏だというのにしっかり閉めてあった。
 まさにその早朝、1階角部屋で強盗に入られた家に自転車置き場をはさんで面していた私はというと、窓を開け放って眠っていたことになる。

 もちろん強盗に入られなかったことはラッキー(単にお金があるようにはみえないということでしょう)でしたが、結局私のところに警察が捜査に来ることはなかったし、郵便ポストに情報提供依頼のメッセージのようなものもなかった。

 その後すぐに犯人は捕まったのかも知れないが・・・。

 考えている以上に犯罪の被害を受けていないことは幸運なことなのかもしれません。

 怖い本です。

「秀吉の伽」加藤廣/著

2006年06月27日 | 
 「秀吉の伽」加藤廣/著読みました。

 著者は、デビュー作「信長の棺」が小泉首相が愛読したということで話題になった作家です。
 
 織田信長の本能寺での暗殺に関する陰謀を描いた前作を受けて、豊臣秀吉の本能寺前からの様子やその後の変貌から死までの半生を描いています。

 秀吉と言うと、信長の忠実な部下で非常に愛嬌のある人物として描かれていることが多かったと思いますが、この本での秀吉はもう少し複雑な人物として描かれている。
 主には子孫を残すことができなかったことによる苦悩に起因して、残虐性が現れてくるなど、従来の単純な明るい人物からはかなり違った面が描かれており、これはいろいろな面で毀誉褒貶描かれて来た信長と比べると、むしろ単純な人物として描かれていたことを考えると、これまでにないユニークな秀吉像が造られている。

 ただ、資料があまり残っていないせいなのか、秀吉が天下を取ってからの話が本能寺とその後天下を取るまでと比べて少々少ないのが残念。

 読み応えのある作品でした。著者は1930年生まれとのことですが、末永く活躍してほしい作家です。
 さて、次は家康でしょうか?

 個人的な希望としては「応仁の乱」あたりを書いて欲しい所です。

「新ゴーマニズム宣言 第15巻 中流絶滅」小林よしのり/画

2006年06月14日 | 
 「新ゴーマニズム宣言 第15巻 中流絶滅」小林よしのり/画読みました。

 著としてもいいのかと思いましたが、今回は画ということで。

 タイトルの中流絶滅は実は本の1部です。「新ゴーマニズム宣言」のシリーズはほとんど読んでいませんが、まったくたまたま買いました。

 こうしてまとまって考え方を読んでみると、同意できるかどうかはいろいろありますが、意外とまともな主張をしている気になります。
 「朝まで生テレビ」(現在、小林よしのりさんは出演を辞退しているとの事ですが)などのトーク番組では、結果的に一部を切り取ったような主張になりがちで、どうも納得しがたい過激な部分だけが主張されているように聞こえてしまう。

 小林よしのりさんの作品は「東大一直線」くらいしか読んでいません。丁度連載されていた頃は私は中学生の頃だったと記憶している。塾の帰りに本屋でよく立ち読みしたものだった。

 どんなことがきっかけでこうした方向に行ったのだろうか。

「紅茶を注文する方法」土屋賢二/著

2006年06月03日 | 
 「紅茶を注文する方法」土屋賢二/著読みました。
 先日の「にっちもさっちも」小林信彦/著同様、週刊文春の連載コラムを本にまとめたものです。

 哲学者がいろいろな考え方の手法を応用すると、いろいろな理論展開で笑いのパターンをつくっていけるのかも。

 ともあれいちいち考えなくてもシンプルに面白い。

 ついでに「北側の扉が鳴る」稲川淳二の怖すぎる話

 も読みました。
 ネタといっているのがなかなか・・・。

 稲川さんの怪談は好きですが、この本はイマイチですかね。

「神のはらわた」ブリジット・オベール/著

2006年05月31日 | 
 「神のはらわた」ブリジット・オベール/著読みました。

 ブリジット・オベールのハヤカワミステリ文庫作品は気付くと既に10冊になっていた。結構この作家は好きな作家なので、まめに読んでいたつもりだったのですが、気が向いた時に本屋による程度だとこんなものです。

 それにしても、気付かなかった後半の5作品はあまり本屋でも見かけない、というかそもそもハヤカワミステリ文庫自体かなり本屋では穴だらけの状態で本屋では並んでいる。

 「神のはらわた」は「死の仕立て屋」につづくシリーズ第2作だそうですが、「死の仕立て屋」を読んでいない、しかも本屋でも見かけない。

 前作を読んでいなくても話としては問題ないとのことですが、キャラクターが今一歩たたないせいかコメディ調の作品の面白さがもう一つ伝わってこない。ユーモアの感覚そのものがかなり違うような気がします。

 オベールはその分野の多様さや作風の幅広さなどが特徴の一つだと思えます。そこがこの作家の好きなところでもありますが、この分野はちょっとあわなかったのかもしれません。
 それほどおかしい作品(連続猟奇殺人もので変ですが)でもなく、そんなにサスペンスも感じませんでした。やはりキャラクターがつかみづらいせいでしょうか?それともフランス人のユーモア感覚があわないのか。

 「死の仕立て屋」を探して読んでみます。
 

「プロレス、K1、PRIDE 禁断のスキャンダル史」格闘技探偵団+亀井誠/著

2006年05月26日 | 
 「プロレス、K1、PRIDE 禁断のスキャンダル史」格闘技探偵団+亀井誠/著読みました。

 会場でもテレビでもプロレスを観にいかなくなって久しい。かっては新日本プロレスのドームツアーも行ったものだったし毎年正月の東京ドームに行き、毎年G-1にも行っていた。

 UWFの旗揚げも行ったし、UWFインターにも行った。全日ももちろん行っていた。リングスも行き、ヒクソン-高田、ヒクソン-舟木、ホイス-桜庭にも観にいった。WWFの初上陸も行ったものだった。
 ほとんど毎日東スポも買っていた。

 現在では専門誌も新聞もほとんど買っていないし、会場にもほとんど行っていない。実際雑誌もかなり不調の中でいわゆる暴露系の本は売れているらしい。

 殊にプロレスは常に八百長の問題が言われてきて、もともとマニアの裏読みはよくあったし、まあスキャンダラスなものは面白いという部分もあるのだろう。

 いずれにせよ市場にはマニアだけが残りつつあるということなのでしょう。
 総合格闘技では日本人の活躍がどんどん減ってきている。恐らく人気の低下と一概に無関係とは言えないのではないか。

 録にこの手の関連のものを見なくなったのに依然としてこの本を買っているのは結局昔見ていた頃の裏話などが見れるからのような気がします。あの時はそんな裏があったのか、と言うわけですね。

 それにしても、元社長の藤波選手が月給で30万円程度とは・・・。

「マラソントレーニング」

2006年05月26日 | 
 「マラソントレーニング」読みました。

 日本のマラソン史上の名選手たちのインタビューを行いながら、当時の練習について、あるいはアドバイスを語ってもらっている本です。

 マラソンに必ずしも限りませんが、「HOW TO」本に関しては基本的にどういう部分を自分のノウハウにしていくかを考えながら取り入れていくことが大事だと思います。

 有名選手ばかりですから当然ですが、エピソードは比較的聞いたことがあるものが多いのですが、こういった形でまとまっているとそれなりに読み応えがあります。

 高橋選手や野口選手に関しては現役選手であるからか、少々普段出ている情報量と比較すると少なめですが、本のタイトルは「マラソントレーニング」と言うわけで、登場する選手たちの目的や考え方をどう参考にして、取り入れていくかということになります。

 選手それぞれにいろいろな対象を想定してアドバイスをしている(編集している)ようで面白く読めました。

 いろいろな想定のタイムなども自分に置き換えていけば結構参考になるのではないでしょうか?

 巻末に金さんの目標タイム別の練習メニューも付いています。

 うまく取り入れさえすれば、かなり参考になると思われます。 

「にっちもさっちも」小林信彦/著

2006年05月25日 | 
 「にっちもさっちも」小林信彦/著読みました。現在も連載が続く週刊文春の連載コラムをまとめた本です。

 理由は分かりませんが、週刊文春で読むよりも一冊の本としてまとまった今回の本の方が楽しめました。かなりの頻度で週刊文春も買っていることが多いですが。

 同じく連載中の土屋賢二さんの文庫本も買ってしまいました。

 

「村上ラヂオ」村上春樹/著

2006年05月24日 | 
 「村上ラヂオ」村上春樹/著読みました。

 伊坂幸太郎さんの小説を読んでいたら妙に村上春樹さんの作品が懐かしくなり、先日に続いて読んでみました。

 もとは雑誌のananに連載されたものをまとめたものですが、あまり読者層を意識していない、できないということでいつもどおりの村上さんの作品です。

 前回も書きましたが、デビューからしばらくの村上さんの作品はちょっと軽い感じで、この本の中でも書いていますが、ちゃらちゃら小説で文学ではないという世間的な雰囲気があった、実証的な数字で表現できるものはないですが。
 ドイツの文芸批評番組では村上さんの著作「国境の南、太陽の西」が取り上げられた時、番組のコメンテーターのケスラーという女性が、この作品は文学ではなく、文学的ファーストフードで番組からは追放すべきだとコメントしたそうで、80歳の司会者が弁護した所、このケスラー女史なんと12年間続けたコメンテーターを降りてしまったそうだ。

 一体どんな弁護をしたのか、かなり気になります。訳の分からないドイツ人の認識するオリエンタルな理由を挙げていたりしそうです。
 それにしても、文学の批評番組が少なくとも12年続いていると言うのは何となく生真面目な(思い込み?)ドイツって感じがします。

 そんな村上さんが現在ではカフカ賞を受賞、この女性はどんな反応を見せたでしょうか?

 また、これも作中ですがマンハッタンに住むハヤブサの話が書いてあり、このハヤブサはかなり有名なのだそうだ。そんな話から、「ボーンコレクター」のハヤブサの着想をえたのでしょう。

 読み始めはかなり違和感があったのですが、読み進むうちに徐々に楽しめるようになって来ました。リズムが徐々にあってきた感じでした。

 ただやっぱり昔ほど楽しめると言う感じはなくなっています。今度は小説を読んでみようと思います。
 やはり「海辺のカフカ」あたりでしょうか。

「タイタス・クロウの事件簿」ブライアン・ラムレイ/著

2006年05月23日 | 
 「タイタス・クロウの事件簿」ブライアン・ラムレイ/著読みました。

 イギリスの作家のホラー小説、というかクトゥルー神話もの中短編集です。原書が発行されたのは1987年ですが、随分クラシックな印象の作品です。

 内容だけではなく、翻訳の仕方も理由の一つかとは思いますが、ブラックウッドと同世代の作家の作品といわれれば信じてしまいそうです。

 同時代に同じクトゥルー神話を扱った作品「ザ・キープ」などのF・ポール・ウィルソン作品があることを考えると信じられないくらい古典的な怪奇小説の趣を残している。中短編集であることも一因かもしれませんが。
 古典的な香りを残しているということは一概に否定的なものでもなく、たまにはこういった作品のまどろっこさ、回りくどさというものもたまには味わい深いものです。

 全ての作品がスティーブンキングでもしょうがないし、ジェットコースター小説である必要も、理由もない。

 いわゆる怪奇小説を好きな人には楽しめる作品だと思われます。

 中身と発行時期のギャップを感じて結構最近の本だな、と思いましたが考えると20年も前の本とも言える。年ですね。

「黒い太陽」新堂冬樹/著

2006年05月20日 | 
 「黒い太陽」新堂冬樹/著読みました。

 著者の作品は「無間地獄」を読んでいたので、救いのない後味の悪い作品を勝手に想像しつつ読んでいたので、もっと悲惨な結末を予想していました。

 話の舞台はキャバクラです。
 お金のためにキャバ嬢がいろいろなこと(営業努力)をしたり、スタッフがどんな形でお客を扱っていくかなどの裏話的なものも伺えますが、細かくやっているんだなと思うこともありますが、まあそんなものでしょうと言うこともあり、それ程衝撃的な何かがあるわけではないと思う。こういう所に行かないので、実際の場面を見ていないため却って、冷めて考えているのかもしれませんが、これは何ともいえません。

 ところで、主人公は最初に入ったキャバクラのオーナーと対決していくことになるのですが、互いにいろいろな陰謀を仕掛けていきますが、意外と合法的というか、それなりにし仁義を守って勝負をしています。
 こういった業種が裏社会とつながっているという予断が私にありすぎたのかもしれません。もっとヤクザが出てきたりするものかと予想していました。

 主人公が店を出したすぐそばに、店を出してきたりしますが、コンビニなどでも対抗のチェーンがすぐそばに店を出店してきたりすることは普通で、結果として共倒れになってしまうことも珍しくない。

 この作品でもちょっと泥仕合的な展開になり、互いに金銭的にも精神的にも傷ついただけであまり得ることのない結果になっているが、こんなものかなと思えばこんなものというところ。

 このところ帯の推薦文のことを良く書いていますが、これを書かれたら商売がやりにくいと言うようなことが書いてありますが、このくらいのことはそんなに困るとは思いにくい。
 帯で期待しすぎて却って勝手な幻想を抱いて少々失望感を感じることがこのところ少なくない。

 ほどほどに期待させてください。

 意外と青い人たちの話でした。


「辺境・近境」村上春樹/著

2006年05月18日 | 
 「辺境・近境」村上春樹/著読みました。今日は長野に出張中です。

 イースト・ハンプトン
 無人島
 メキシコ大旅行
 讃岐
 ノモンハン
 アメリカ大陸横断
 神戸まで歩く

  7つの旅に絡む紀行文を収録しています。

 村上春樹さんはかつては最も好きな作家の一人で出るもの全てを読んでいた時期があった。ここ数年で読んだのは短編集の「東京奇譚集」「地球のはぐれ方」の2冊。

 何故か伊坂幸太郎さんの作品を読んでいたら、村上さんの作品が読みたくなり、たまには紀行文を読んでみるかと読んでみました。
 どうも何かが合わない。

 神戸の震災やオウム事件以来、村上さんの書くものや姿勢が少し変わったような気がしていますが、この作品は前と後どちらだったのか。

 自分が年を取り、何かが変わってきているのか?

 それでもメキシコ旅行でのとんでもない中身はそれなりに面白いが。体験そのものがなかなかできるようなものではないという理由で。
 何気ないものにちょっとした面白さやおかしさを感じたものだったのだが。

 別に本のできの問題でないですが。

「小泉よ日本を潰す気か! 佐高信の「異議あり!」の思想 1 」左高信/著

2006年05月18日 | 
 「小泉よ日本を潰す気か! 佐高信の「異議あり!」の思想 1 」左高信/著読みました。

 現在国会では共謀罪や教育基本法などの問題が論議されています。

 こういう本を読んでいると、愛国心とあんたらにいわれたくないよな、と思う。

 留学していたという小泉首相のあの英語などをテレビで流れているものを聞く、あれが努力した人のものなのか?、会社もいろいろ発言など、地盤看板の恩恵を最大限に受けてきた人に、格差は努力や能力の差で当然だと思ってもあんたには言われたくないと思わない人はいるのか?

 だいたい愛国心の国とは何なのだろうか?それは同胞と言う意味での家族や友人などが代表する仲間としての国民なのか、領土なのか、法人としての国家なのか、政府なのか?

 合法的な節税として毎年1月時点でアメリカに住所を置き日本に税金を払わなかった竹中さんが大臣を努めている政府。
 世界的にも労働時間が長くまじめに働いている国民ほど愛国心にあふれている国があるのか?
 大体合法的だから問題ないという答弁をしている人間が倫理の問題を語るかね。合法なら問題ないなら倫理何か関係ないということでしょ。
 ほんと言われたくないよな。

 「私に聞かれても、戦闘地域か私に分かるわけがない」と平気でいいながら、アメリカ出すら認めている大量破壊兵器の問題を未だに認めていない。

 「私に聞かれても、どこに国も問題があるか私に分かるわけないでしょ」って所でしょうか?何か「パンがなければ、ケーキを食べればいい」と言った真理^アントワネットのようです。

 左高さんの意見もどうかと思うことが実は少なくないが、この本はかなり納得できました、私にとってはですが。
 

「陰陽師 安倍晴明と蘆屋道満」繁田 信一/著

2006年05月17日 | 
 「陰陽師 安倍晴明と蘆屋道満」繁田 信一/著読みました。

 夢枕獏さんの小説「陰陽師」(とコミック版)で知られる安倍晴明が何故にそれ程の知名度と超人性を得たのかや平安時代の貴族社会を中心に、陰陽師がどのような役割を果たしたかを書いています。

 安倍清明は小説「陰陽師」で初めて超人的な人物として描かれたと言うわけではなく、昔の文献でも超人的な人物として描かれていたということで、それは陰陽道で最も有力であった賀茂家への対抗策であったというのはなかなか面白い。

 平安時代ではやたらと方向が悪いとか日が悪いとかのために方違えやお祓いを行ったり、出廷をしなかったりなどいろいろな対応をしている。一方できりがないのでその重大性に併せてその対応を変えるなど意外と現実的な事も行っている。

 もしかすると休むための口実で、暗黙の了解で方向が悪いとか日が悪いとかを本心では信じていないながらも受け入れていたのではないかなどと思ってしまいました。

 昔の文献に基づくいろいろな出来事や人物に関しては知らないことも多いのですが、その役割など陰陽師と言うものの位置づけなどでは、もともとどこから陰陽師というものが出てきたのかについても記述して欲しかったところ。

 「東京百鬼 陰陽師・石田千尋の事件簿」を読んだ所だったので、ついでに読んでみました。

「東京百鬼」浦山 明俊/著

2006年05月16日 | 
 「東京百鬼」浦山 明俊/著読みました。

 もともとライター業をしていたらしい、著者の初の小説集です。5編の短編を収録しています。
 いずれも実際に現在も活躍している陰陽師「石田 千尋」さんを主人公にした作品です。実は実在のと解説や帯にあるので、実在と書きましたが正直言うと、石田さんと言う陰陽師のことは全く知りません。

 文庫の解説で書いているほどに信じられないような達者さとは思いませんが、それなりに楽しめる小説集であるとは思います。

 現存の人物を主人公に据えていることや陰陽道に関する記述などを考えると恐らく、著者は何らかの形で主人公である石田さんと知り合い、構想を得たのではないかと思われます。

 私にはこの石田さんに関する知識が全くありませんので、現代を舞台にして架空の人物を設定されているのと変わる所はありませんが、少々気になるのはこういった本が現存する人物を、ありがたみのある人物として描くことで、本来フィクションであるはずのものにもかかわらず、PR誌になりかねないと言うことです。

 帯や解説はちょっとほめすぎだとは思いますが、それなりに楽しめると思います。推薦もちょっとやりすぎるとどうなのか。

 ところで一つ疑問がありますが、自分を主人公に小説をという、もしくは石田氏自ら語ったものを文章にしたものがこの作品の骨格になっていないかと言うことです。

 実際はどうなんでしょうか?
 
 「陰陽師 安倍晴明と蘆屋道満」繁田 信一/著などを読むと、何故「安倍清明」が一人陰陽師として超人的な存在として知られるようになったのかなどのことが書いてありますが、この本はどうなのでしょうか?