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スチャラカランナーの日々

運動部経験なし、40代マラソンランナーの趣味日記。ランニングも趣味のひとつですから。

「魔将軍」岡田秀文/著

2006年07月23日 | 
 「魔将軍」岡田秀文/著読みました。

 室町幕府の将軍「足利義教」についての歴史小説です。「足利義満」が金閣寺くらいしか知識がなく、いわゆる3代目社長みたいなイメージで、公家的な存在かと思っていたところ、歴史上唯一の「天皇になろうとした将軍」という野心的な、強い将軍だということをいくらかの本で知ったのだが、この「足利義教」はほとんど知らない人でした。

 まあ、幕府の創設者「足利尊氏」・「金閣寺」足利義満・「銀閣寺」足利義政、「最後の将軍」足利義昭の4人くらいが普通知られている室町幕府の将軍ではないでしょうか?わたしはそんなものでした。

 話は「足利義満」の野望の達成直前から始まり、義教が暗殺されるまでを描きます。兄が将軍になっていたため「足利義教」は出家しますが、その後天台宗の座主になり、さらに将軍になることになります。
 宗教上のトップと武家のトップ2つを極めた人と言うことになります。

 義満ができなかった、実質的な意味での九州の支配と関東の支配も成功させますから、室町幕府でも実力者の将軍であったことは間違いないでしょう。

 ただ、小説「魔将軍」では「魔将軍」と言われたほどの狂気というか、何かが今一歩感じられない。また、ほとんど自ら戦をすることはないので、動きがなく話の盛り上がりがないのが難しい所ではあります。歴史的な事実ですからこのあたりはしょうがないのですね。
 その分やはり義教のキャラクター造型、心理描写などが要求されるのですが・・。実在の人物でもあるし難しい所です。その辺が歴史小説でもあまり取りあがられていない所なのかもしれません。

 実は室町幕府としての実質的な最大の支配地域を確保し、比叡山を攻めて実質的には焼き討ちを行い、さらに大名の相続にも介入するなど帯にもあるように確かに、信長や家康の先駆者とも言えるいろいろなことも行った。

 最期も信長と同じように殺され、しかも同じイニシャルのものにというのもまた時代の皮肉と言うものでしょう。

 こういう存在がいたと言うことを知るだけでも小説の価値があると思います。小説の面白さと言うよりも人物の面白さと言うところでしょうか。


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