川上弘美「晴れたり曇ったり」(講談社文庫 2017年)
エッセイです。以下、引用。
ときどきスランプは、やって来る。
仕事の、とか、人間関係の、という特定のスランプではなく、生きていること自体のスランプだ。たすけて、と誰かに言っても、誰も助けてくれない。誰かに助けられるのも、ほんとうは困るし。だから、そういう時には、水のたまった瓶の底に沈む小石のように、ただ一人しんとしている。
ま、いつも順 . . . 本文を読む
映画で使用された掛け軸に「風従花裏過来香」があります。かぜはかりよりすぎきたってかんばし。これと対をなす禅語の掛け軸も登場します。「水自竹辺流出冷」みずはちくへんよりながれいでてひややか。
森下典子「好日日記」(PARCO出版 2018年)のなかに星野富弘の詩の一部が引用されています。それをここで孫引きしてもいいけれど、星野富弘は詩だけ引用しても仕方がない。詩画なので絵と書き文字でひとつの作品。 . . . 本文を読む
「日日是好日」(監督:大森立嗣 2018年)
お茶を通して成長していく姿を描いているわけですが、何度か観てるとストーリー的なものはどうでもよくなって、観てるとなんとなく落ち着くので時折観るって感じですかね。観るっていうより流してるっていったほうがいいですね。BGMのように。
映画の内容を放ったらかしにしてて申し訳ないけれど、内容的なものは原作である森下典子「日日是好日」(飛鳥新社 2002年)を . . . 本文を読む
梨木香歩「家守綺譚」(新潮社 2004年)
庭・池・電燈付二階屋。汽車駅・銭湯近接。四季折々、草・花・鳥・獣・仔竜・小鬼・河童・人魚・竹精・桜鬼・聖母・亡友等々々出没数多……本書は、百年まえ、天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」=綿貫征四郎と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。――綿貫征四郎の随筆「烏〓苺記(やぶがらしの . . . 本文を読む
ってな具合に、あたくしは不出来な学生でしていちいち言うことが間が抜けてます。で、先生はそれを呆れておもしろがってます。間が抜けているけれど、あたくしは日常生活においてはいたって常識人です。が、先生は日常においてハラハラするようなことを平気でおっしゃる。昨日冒頭にあげた本の中にもそんなエピソードが書かれています。お店で注文を取りに来た店員の言ってることが理に合わないからと一言言う。その一言が、まあ、 . . . 本文を読む
高島俊男「お言葉ですが…6 イチレツランパン破裂して」(文藝春秋 2002年)
本日4月5日は先生の祥月命日です。なので故人を偲んでなにかお話でもと思いまして。
とはいうものの、先生の授業は2、3回くらいしか出席してないんですよね。前年に単位取得済みの講義だったので(同じ講義を前年は別の先生が担当してました)出席する必要はなかったものですから。単位取得済みにもかかわらず出席してたのは、その講義を . . . 本文を読む
もともと世事には疎いほうですが、入院生活がこう続くと世間はますます遠くなります。あたくしが覗く世間はネットの記事くらいなものですが、そこで展開されている騒々しさはなんだかもう別世界の出来事のよう。自分が日々暮らしていた生活すら他人事(ひとごと)のように感じられて、かつての自分の日常生活も非現実的な絵空事のようです。
入院生活というある種なんの感触もない静止した時間と場所で自分という存在感すら希薄に . . . 本文を読む
長崎源之助 : 文 鈴木義治 : 絵「小さな小さなキツネ」(国土社 1973年)
YouTube見てたら小さなキツネの話をしてて、小学生のころ読んだ絵本を思い出しました。ストーリーは忘れてしまいましたが。
ストーリーは創作でしょうが、小さなキツネという存在は実在するようです。いや、実在するってのもおかしいですけど。そういう存在が語り伝えられているのは事実としてあるようですね。
. . . 本文を読む
田中康弘「山怪 山人が語る不思議な話」(山と溪谷社 2015年)
YouTubeで著者がお話してます。語り方が上手いよなあ。聴き入っちゃう。
あとがき
ようやくリンクをアドレスじゃない形で貼り付けられましたわ。「リンクの方法」の説明がおかしいんですよ。あたくしの理解力が足りないんじゃない。説明とは違う方法で現にひとりでできたんだもん! 流石あたくし。やれば出来る子だ。
ま、リンクを貼るなん . . . 本文を読む
山本夏彦「おじゃま虫」(中公文庫 1992年)
コラムだから古くなるのは仕方がない。でも古くなっているのは時代背景的なもので見方とか考え方が古くなるわけじゃありませんので。
どういう経歴の人だか知らないのでWikipediaに教えてもらいます。
父・露葉の友人であった武林無想庵に連れられ15歳で渡仏。3年後に帰国し、24歳のときにフランス童話『年を歴た鰐の . . . 本文を読む