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ヴェルシリア司教 カラヴァリオ神父22 身代わり

2018-08-23 18:36:21 | ヴェルシリア司教 カラヴァリオ神父
『愛と潔白の殉教者 ヴェルシリア司教 カラヴァリオ神父』企画:デルコル神父 文:江藤きみえ 22

 匪賊たちは、まもなく竹やぶのもっと奥ふかく女性たちをかくし、宣教師たちを他の場所に移しました。何ごとかとしのび寄る村人に司教の声が聞えてきました。

「わたしは、もう年です、殺されてもかまいませんが、若いこの人は殺さないでください」

「だめだ、ふたりとも死刑だ」と匪賊の声。草むらからのぞく村人の目に天をあおいで祈るふたりの姿が見え、とたんに5発の銃声がとどろきました。かけつけようとする女性たちを妨げる匪賊の罵声!10分ほどして、ふたりの匪賊が死骸に近づき、その死を確実なものとするために、銃尻でめちゃめちゃに打ちはじめました。やがて、司教の頭骸骨はたたき割られ、カラヴァリオ神父の頬骨はうち砕かれて、今は見るも無惨な姿です。ここに訪れた他の宣教師が、ふたりの殺された場所に小さな十字架を立てて、めじるしにしましたが、それはあとのことです。

 匪賊がどんなにかくそうとしても、たちまち殉教の噂は広まり、遺体は掘り出されて、丁重にシニチョウに移されました。こうなったら、いつまで逃げおおせるものでもありません。ついに匪賊は、3人の女性を解放しなけれはならなくなりました。蒋介石の軍隊の手から無事に連れ戻されたとき、かの女たちは、いのちの恩人である司教の墓前にひざまずいて、感謝しました。


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