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CDM改革の議論

2005-12-11 01:01:12 | 国際交渉

 CDM改革の議論は、MOP総会でCDM理事会からの現状報告がなされてから始まりました。総会で議論があった後、1)2013年以降のCDMの継続などに関するCDM全体に関わる議論、2)理事会やサポートする組織などのCDMガバナンス、3)方法論と追加性、4)地域分布と実施能力向上、5)CDM理事会の運営資金、の5つの枠組みに基づいてコンタクトグループで議論されました。

 2013年以降もCDMを継続させていくことに関しては、合意がなされ、決定文書にも文言が入りました。これによって長期的な視野に基づいてCDMを促進させていくための足掛かりができたことになります。

 1)の議論では、炭素回収・貯留技術(CCS)をCDMとして考慮していくかどうかが争点となりました。日本やカナダはCDMでもやりたいと望んでおり、特に日本は特定の技術がよいか悪いかということはここで判断すべきではないという主張を繰り返していました。決定文書では、ワークショップを開催し、CCSをCDM事業として入れていくかどうか検討していくことが確認されました。

 3)では、プロジェクトの追加性を証明するための方法の改正が主な争点となりました。途上国で行われたプロジェクトが、CERによる収入なしには行われなかったと証明される場合、そのプロジェクトが追加的であるといいます。追加性を証明するためのツール(以下、追加性ツール)はCDM理事会から提示されているのですが、そのツールに基づいた証明が複雑で、プロジェクト参加者にとっての負担が大きいことから、改正案が求められていました。議論の結果としては、追加性の改正に対してCDM理事会がパブリックコメントを募ることになりました。しかし、CDM事業が行われやすくするためだけに追加性が緩められるべきではなく、CDMとして成り立つためにはしっかりとした環境十全性を考える必要があります。また、この問題はCDM事業の認証などが非効率的であるということと一緒に持ち出されますが、それは追加性の問題ではなく、大きくはCDM理事会を運営するための資金不足の問題といえます。

 4)に関しては、事業が行われる地域はアジアではインド、南米ではブラジルに大きく偏っているため、アフリカ諸国から不満の声があがっていました。決定文書では、そのような地域格差を生じさせている原因を締約国がCDM理事会に提出し、COP/MOP2で問題解決のためのオプションを検討することが決められました。また、特に島嶼国や後発開発途上国がCDMに参加しやくなるように、附属書I国が能力構築や資金提供を行っていくことの必要性が再確認されました。

 最後に、5)に関して、CDM理事会の資金不足を補うために、CER収益の一部を徴収することが決定されました。年間CER発生量のうち、15,000t-CO2までは、t-CO2あたり0.1USドルを、15,000t-CO2を超える分に対しては0.2USドルを徴収することが決定されました。後者の0.2USドルの課金率の引き下げについて、CDM理事会の運営資金が黒字になった場合に限り、COP/MOP2で検討されることになっています(ただし0.1USドル以下になることはない)。


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