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「地球温暖化と異常気象増加のメカニズム」第3回
元気象研究所研究室長 増田善信
◆地球温暖化とブロッキング
さて、温暖化が起こると、北極や南極など極地方は、赤道付近に比べてより急速に温暖化します。それは太陽の光を反射していた極地方の雪が、温暖化の影響で融け、太陽の光をより多く吸収するようになるからです。図は、1976年から2000年までの25年間の年平均気温のトレンド(変化傾向)を示したものです。北極および南極に近い地方ほど、気温上昇のトレンド、すなわち温暖化のトレンドが大きく、10年間で1℃の割合で上昇しています。しかし、赤道付近は僅かに上昇しているだけです。
極地方の温度が高くなると、極地方と赤道地方の間の温度差が小さくなります。すると上に述べたメカニズムでブロッキングが起こりやすくなると考えられます。東京大学気候システム研究センターの荒井美紀研究員は、4月のシベリアの気温が高い年は、その年の4月以降のブロッキングの出現頻度が平均より最大1.4倍まで増えることを明らかにして、「地球温暖化により、シベリアの雪解けが早まるため」と推定しています(2003年11月4日付「毎日」夕刊)。
しかし、まだ全球的に、地球温暖化による赤道地方と極地方の温度差の減少とブロッキングの発現頻度の増加の関係を明らかにした研究はありません。従って、まだ、「地球温暖化によってブロッキングが増加する」と確定的にいうことは出来ませんが、もし、このことが事実ならば、温暖化によって、ブロッキングが起こりやすくなり、同じような気圧配置の状態が持続する可能性があります。その結果、晴天の所は何時までも晴天が続き、酷暑とカラカラ天気の気候になり、雨の所は何時までも雨が降り、冷夏と多雨の異常気象が生まれるのではないかと考えられます。
現在、私は元の同僚と共同で、毎日の500hPaの天気図を用い、ブロッキング・インデックスを指標に、ブロッキングの発現頻度の統計をとっています。この研究が終われば、私の推論が正しいかどうかが確かめられると思っています。
※増田さんには、今月18日に開催される報告会「加速する地球温暖化と歩み始めた京都議定書」でご講演いただきます。
直にお話の聞けるこの機会をぜひお見逃しなく!
(詳しくは、下記をご覧ください。)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【 COP11、COP/MOP1参加報告会 】
加速する地球温暖化と歩み始めた京都議定書
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
京都議定書が発効してから初めての国際交渉会議(COP11、COP/MOP1)が、2005年11月28日~12月10日の日程で、カナダのモントリオールで開催されました。
世界から1万人以上が参加した今回の会議では、京都議定書の運用ルールをすべて採択し、2013年以降の議論についての道筋に合意するという大きな成果をあげました。
一方で、地球温暖化は急速に進行しています。
報告会では、モントリオール会議の参加報告に加え、近年の異常気象と地球温暖化との関連、また、地球の平均気温が2℃上昇することの意味について報告を行います。ぜひ、ご参加ください。
■日 時:2006年2月18日(土)午後1時 ~4時
■内 容:
<地球温暖化の影響>
報告1 「地球温暖化と異常気象」
増田善信氏(元気象研究所室長、CASA会員)
報告2 「危険な上昇レベルは2℃?」
泉邦彦(CASA代表理事)
<国際交渉>
報告3 「COP/MOP1の成果と今後の課題」
早川光俊(CASA専務理事)
質疑・意見交換
■場 所:全国地球温暖化防止活動推進センター
(東京都港区麻布台1-11-9プライム神谷町ビル
(財)日本環境協会内)
http://www.jccca.org/about/zenkoku/jyusyo.html(地図)
■アクセス:東京メトロ日比谷線 神谷町(1番出口)徒歩3分
■参加費:一般800円 会員500円
※報告会後、懇親会を開催する予定です。
ご希望の方はご連絡ください。
■主 催:
NPO法人 地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)
大阪市中央区内本町2-1-19-470
電話:06-6910-6301 FAX:06-6910-6302
E-mail:office@casa.bnet.jp
元気象研究所研究室長 増田善信
◆地球温暖化とブロッキング
さて、温暖化が起こると、北極や南極など極地方は、赤道付近に比べてより急速に温暖化します。それは太陽の光を反射していた極地方の雪が、温暖化の影響で融け、太陽の光をより多く吸収するようになるからです。図は、1976年から2000年までの25年間の年平均気温のトレンド(変化傾向)を示したものです。北極および南極に近い地方ほど、気温上昇のトレンド、すなわち温暖化のトレンドが大きく、10年間で1℃の割合で上昇しています。しかし、赤道付近は僅かに上昇しているだけです。
極地方の温度が高くなると、極地方と赤道地方の間の温度差が小さくなります。すると上に述べたメカニズムでブロッキングが起こりやすくなると考えられます。東京大学気候システム研究センターの荒井美紀研究員は、4月のシベリアの気温が高い年は、その年の4月以降のブロッキングの出現頻度が平均より最大1.4倍まで増えることを明らかにして、「地球温暖化により、シベリアの雪解けが早まるため」と推定しています(2003年11月4日付「毎日」夕刊)。
しかし、まだ全球的に、地球温暖化による赤道地方と極地方の温度差の減少とブロッキングの発現頻度の増加の関係を明らかにした研究はありません。従って、まだ、「地球温暖化によってブロッキングが増加する」と確定的にいうことは出来ませんが、もし、このことが事実ならば、温暖化によって、ブロッキングが起こりやすくなり、同じような気圧配置の状態が持続する可能性があります。その結果、晴天の所は何時までも晴天が続き、酷暑とカラカラ天気の気候になり、雨の所は何時までも雨が降り、冷夏と多雨の異常気象が生まれるのではないかと考えられます。
現在、私は元の同僚と共同で、毎日の500hPaの天気図を用い、ブロッキング・インデックスを指標に、ブロッキングの発現頻度の統計をとっています。この研究が終われば、私の推論が正しいかどうかが確かめられると思っています。
※増田さんには、今月18日に開催される報告会「加速する地球温暖化と歩み始めた京都議定書」でご講演いただきます。
直にお話の聞けるこの機会をぜひお見逃しなく!
(詳しくは、下記をご覧ください。)
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【 COP11、COP/MOP1参加報告会 】
加速する地球温暖化と歩み始めた京都議定書
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京都議定書が発効してから初めての国際交渉会議(COP11、COP/MOP1)が、2005年11月28日~12月10日の日程で、カナダのモントリオールで開催されました。
世界から1万人以上が参加した今回の会議では、京都議定書の運用ルールをすべて採択し、2013年以降の議論についての道筋に合意するという大きな成果をあげました。
一方で、地球温暖化は急速に進行しています。
報告会では、モントリオール会議の参加報告に加え、近年の異常気象と地球温暖化との関連、また、地球の平均気温が2℃上昇することの意味について報告を行います。ぜひ、ご参加ください。
■日 時:2006年2月18日(土)午後1時 ~4時
■内 容:
<地球温暖化の影響>
報告1 「地球温暖化と異常気象」
増田善信氏(元気象研究所室長、CASA会員)
報告2 「危険な上昇レベルは2℃?」
泉邦彦(CASA代表理事)
<国際交渉>
報告3 「COP/MOP1の成果と今後の課題」
早川光俊(CASA専務理事)
質疑・意見交換
■場 所:全国地球温暖化防止活動推進センター
(東京都港区麻布台1-11-9プライム神谷町ビル
(財)日本環境協会内)
http://www.jccca.org/about/zenkoku/jyusyo.html(地図)
■アクセス:東京メトロ日比谷線 神谷町(1番出口)徒歩3分
■参加費:一般800円 会員500円
※報告会後、懇親会を開催する予定です。
ご希望の方はご連絡ください。
■主 催:
NPO法人 地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)
大阪市中央区内本町2-1-19-470
電話:06-6910-6301 FAX:06-6910-6302
E-mail:office@casa.bnet.jp
自動車産業はすでにそうなりつつありますね。
真っ先に期間従業員や下請けなど弱い立場が被るのは気の毒ですが。