2℃が限界?! 地球温暖化の最新情報

環境NGOのCASAが、「2℃」をキーワードに、地球温暖化に関する最新情報や役立つ情報を、随時アップしていきます。

今地球の海で ―上がる海水温度―

2006-01-20 22:24:29 | 影響

 米ワシントン大学の研究グループは昨年9月に、世界の海面温度は1950年からの約50年間で約0.5℃上昇していると発表しました。また米海洋大気局(NOAA)は、この温度上昇をすべての海水温度に平均すると、約0.037℃の上昇になると計算しています。

みなさんはこの温度上昇の幅を小さな数字だと思われますか?一般に海水は空気に比べて約1000倍もの熱を蓄えることができると言われています。そこでこの海水温の上昇分を大気に戻した場合、 なんと大気中では約40℃もの温度上昇をもたらすことになります。すなわちこのわずかだと思われる0.037℃という温度上昇は、じつは膨大なエネルギーの吸収を意味しているのです。そしてこのエネルギーの一部が強い台風やハリケーンを多発させると考えられています。

 ところで国立環境研究所などの報告を見ると、日本でもこのまま温暖化が進めば2100年には日本海沿岸の海面水温が約3℃上昇すると予測されています。これによって自然災害の激発と共に生態系への影響が危惧されます。たとえば昨年10月、北海道大学大学院の山中康裕助教授は温暖化の影響で植物、動物プランクトンの減少により、今世紀末にはサンマが10センチくらいの大きさになってしまい、漁場も遠ざかるのではないかという研究結果を発表しました。

 しかし生態系への影響はかならずしも遠い将来のことではなく、2004年末に熱帯に生息するオニヒトデが紀伊半島南端で大発生して、テーブルサンゴなどへの食害が深刻化したこと、あるいは海水温上昇により沖縄のサンゴの白化が進んでいることなどをニュースなどで耳にしている方も多いのではないでしょうか。一方、昨年11月にはWWFが、このまま海水温度の上昇が続くと、米国やカナダの周辺海域では、比較的低温を好むタラやカレイ、スズキなどの魚の資源量が大幅に減少し、その分布も大きく変化するという報告書を出しています。このように私たちに身近な魚についても温暖化によると考えられる悪影響が憂慮されます。