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「福田ビジョン」に対するCASA声明

2008-06-09 19:52:12 | お知らせ
期待を裏切った「福田ビジョン」

特定非営利活動法人 地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)

 本日、福田首相は「『低炭素社会・日本』をめざして」と題する、G8洞爺湖サミットに向けた気候変動問題についての日本政府の基本的なポジションである、所謂「福田ビジョン」を発表した。

 この「福田ビジョン」は、「化石エネルギーへの依存を断ち切り、『将来の世代』のための『低炭素社会』へと大きく舵を切らねばならない」とし、日本の中長期目標や技術革新、排出量取引や税制改革などに言及している。
 長期目標については「日本としても、2050 年までに現状から60~80%の削減」を掲げているが、中期目標については明確な目標を掲げず、「長期エネルギー需給見通し」の2020年までに現状から14%の削減が可能だとの見通しを示しているに過ぎない。排出量取引については、「今年秋から試行的実施」を開始し、「本格導入する場合に必要となる条件、制度設計上の課題などを明らかにしたい」と述べるにとどまり、導入するかどうか、導入する場合の時期などについてはまったく明確にされていない。環境税については、さらに曖昧で、「国際社会が連携した地球環境税のあり方についても研究していく必要がある」とし、「真摯に総合的な検討を進めていくべき課題」とした今年3月に閣議決定された京都議定書目標達成計画より後退している。
 
 今回の洞爺湖サミットは、バリでの合意を受け、2013年以降の削減目標と制度枠組みの国際交渉に前向きのメッセージを発信することが焦点なっており、とりわけ先進国であるG8諸国が2020年までに1990年比で25~40%削減の中期目標に合意できるかどうかが問われている。サミット議長である福田首相には、そのためのリーダーシップが期待されている。

 残念ながら、今回の「福田ビジョン」はその期待を大きく裏切るものとなっている。このままでは洞爺湖サミットは、世界の市民・環境NGOの期待を裏切り、失敗と評価されることになる。

 洞爺湖サミットまで1 カ月を切った。早急に日本の具体的な中期目標を決定し、洞爺湖サミットで高い中期目標が合意されるようリーダーシップを発揮すべきである。

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