2℃が限界?! 地球温暖化の最新情報

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このままいけば2℃をこえるのは2040年前後

2006-04-12 10:15:40 | 2℃

◆気温はすでに0.75℃上昇

 地球温暖化が進み、地表の平均気温はますます急ピッチで上昇しつつあります。2001年に公表されたIPCCの第三次報告では、産業革命以前から0.6℃上昇したことが確認されていますが、その後さらに温暖化が進んで、現在ではすでに0.75℃上昇したことがアメリカ航空宇宙局(NASA)のJ・ハンセン博士などによって指摘されています(たとえばScientific American 2004年3月号参照)。ハンセン博士はいうまでもなく地球温暖化研究の著名な先駆者です。

◆2℃の上昇は危険度が高い

 一方、この気温上昇が2℃をこえると、地表にはきわめて危険度の高い激変が生ずるので、最悪でもこれを2℃以下に抑制することを温暖化防止対策のぎりぎりの目標とすべきことが、多くの科学者、NGO団体、そしてヨーロッパなどの政府機関によって強調されています。2℃から上記の0.75℃を差し引けば、あと1.25℃しか余裕がないことになります。では現状のまま推移した場合に平均気温の上昇レベルが2℃をこえるのはいつごろのことでしょうか。

◆2℃をこえるのは2040年前後

 IPCCの第三次報告ではいくつかの温室効果ガス排出シナリオについて気温の上昇範囲が推算され、それらを全部まとめて2100年までに 1990年から1.4~5.8℃上昇すると予測されています。しかし、この場合に下限に近い値は、今後かなり二酸化炭素の排出抑制対策が進められたケースのものであり、対策が不十分な現在の状況が続く場合には、図に示すように3.2~5.8℃の上限側の上昇予測がほぼあてはまるとみられます。この値は、産業革命以前から3.7~6.3℃上昇することを意味します(90年までに0.5℃上昇している分を加算)。したがって2℃をこえるのは、この図から2040年前後(すこしおくれても2050年)と推測されます。

◆2025年頃には1.4℃上昇

 この第三次報告以後にも、イギリスの有名な気象研究機関のハドリーセンターが、比較的短期の変化を予測する新しいシミュレーション実験にもとづいて、地表の平均気温が2020~30年に1990年代とくらべて0.3~1.3℃上昇すると報告しています。またスイスのベルン大学の研究者も同じ期間に0.5~1.1℃の上昇を予測しています(Nature 2002年4月18日号参照)。これらの上昇温度範囲の中央値は共に0.8℃ですが、これに産業革命以前から90年代までの上昇分(およそ0.6℃)を加算するとおよそ1.4℃になります。そしてこれが2025年頃に予測される気温上昇レベルです。この上昇ペースは2040年前後に2℃をこえるという前記の推測とほぼ一致するといえるでしょう。

◆温暖化防止は今世紀前半が正念場

 以上のように、地球温暖化の悪影響に関して私たちがまず問題にしなければならないのは、2100年のことではなく、それよりはるかに近い2040~50年のことです。そしてその時点における2℃の上昇をくい止めるには、2020年頃までの温暖化防止対策が決定的に重要であることを忘れてはなりません。