「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.278 ★ 中国の自動車メーカーが「PHV強化」を急ぐ背景    EVの減速を尻目に販売好調、競争激化は必至か

2024年04月20日 | 日記

東洋経済オンライン (財新 Biz&Tech)

2024年4月19日

中国の自動車市場ではPHV人気の高まりを受け、新型車の投入が相次いでいる。写真は長安汽車が3月に発売したレンジエクステンダー型EV「深藍G318」(同社ウェブサイトより)

中国の自動車業界で、PHV(プラグインハイブリッド車)の新型車投入や技術開発を強化する動きが相次いでいる。中国市場でEV(電気自動車)の需要拡大がスローダウンする中、PHVは伸び続けていることが背景だ。

3月後半だけで、少なくとも4つのメーカーがPHV関連の発表を行った。国有自動車大手の長安汽車は3月18日、同社の第2世代のレンジエクステンダー型EVプラットフォーム(車台)を採用した新型車「深藍G318」をお披露目した。

(訳注:レンジエクステンダー型EVは、航続距離を延長するための発電専用エンジンを搭載したEVを指す。中国の販売統計上はPHVに分類される)

3月24日には、民営大手の吉利汽車の関係者が一部のメディアに情報をリーク。同社の次世代のPHVプラットフォームを採用した新型車の航続距離が、車載電池とガソリンタンクを満タンにした場合に最大2000キロメートルに達するとアピールした。

2023年の販売台数85%増

さらに3月30日、国有大手の東風汽車集団が新開発のPHVプラットフォームを採用した第1号モデル「風神L7」を発表。同じく30日、国有中堅メーカーの奇瑞汽車も新型PHV「風雲A8」を発表した。

中国の自動車市場では2023年のEVの販売台数が668万5000台に達したが、前年比の増加率は24.6%に低下した(訳注:2022年の前年比伸び率は81.6%)。一方、同年のPHVの販売台数は280万4000台とEVの4割強だったものの、前年比の増加率は84.7%と大幅な伸びを示した。

2024年に入り、EVの販売環境は(参入メーカーの多さや価格競争の激化などにより)ますます厳しくなっている。中国汽車工業協会のデータによれば、2024年2月のEV販売台数は春節(中国の旧正月)の連休が重なった(ために営業日が平常月より少なかった)影響で、前年同月比21.8%減の29万4000台にとどまった。

ところが、同月のPHVの販売台数は18万3000台を記録し、前年比22.4%の増加を記録。EVと比べた勢いの違いが鮮明になった。

PHVはエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド機構をベースに、電池だけを動力に使う純電動走行や外部電源からの充電にも対応している。純粋なEVにつきものの電池切れの心配がないほか、エンジンを燃焼効率が最も高い回転域で運転できるため、トータルの燃費も優れている。

BYDはエントリークラスのPHVの価格をエンジン車並みに引き下げ、人気に火をつけた。写真は同社の低価格PHV「秦PLUS DM-i」(BYDのウェブサイトより)

そうした長所を中国の消費者に知らしめた先駆者は、EVの最大手でもある比亜迪(BYD)だ。同社の2023年の販売台数は、EVが157万4800台だったのに対してPHVが143万8100台に肉薄。同年に中国市場で販売された全てのPHVの51.3%を占めた。

ここに来てPHV強化を打ち出すメーカーが相次ぐ中、BYDは守勢に回るどころか、競合他社をさらに突き放す構えだ。

最大手BYDは42万円値下げ

BYDは既存車種に年次改良を施した「2024年モデル」を2月から順次発売しており、それらの価格を2023年モデルより平均2万元(約42万円)以上も引き下げている。

同社の祖業は電池であり、車載電池の部材から完成車まで自社で一貫生産できる「垂直統合モデル」を築き上げた。最大手の規模がもたらすスケールメリットも加わり、コスト競争力では他社の追随を許さない。

それだけではない。BYDの創業者で董事長(会長に相当)を務める王伝福氏は、2023年の通期決算の説明会で、同社の第5世代のPHVプラットフォームを5月に発表すると明らかにした。このプラットフォームを採用した新型車は、車載電池とガソリンタンクが満タンの状態から最大2000キロメートル走行できるという。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は4月1日

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No.277 ★ 中国・子供服の一大生産地で働く若者の青春模様   ワン・ビン監督作品、映画『青春』

2024年04月20日 | 日記

 

東洋経済オンライン (壬生 智裕 : 映画ライター)

2024年4月19日

映画『青春』監督:ワン・ビン/配給:ムヴィオラ/215分/4月20日(土)からシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開(©2023 Gladys Glover House on Fire CS Production ARTE France Cinéma Les Films Fauves Volya Films WANG bing)

世界的なドキュメンタリー作家として知られるワン・ビン監督の最新作は何と3時間35分と長尺だ。

だが代表作『鉄西区』は9時間5分、『死霊魂』は8時間26分にも及び、ワン作品が長尺なのは実はそれほど驚くべきことではない。彼の作品を見終えた後の心地よい疲労感と映画的興奮は唯一無二だ。

名もなき若者たちの青春模様

本作の舞台となるのは、上海を中心に長江下流一帯に広がる「長江デルタ地域」。ここだけで中国全体の国内総生産(GDP)の約4分の1を占めており、日本のGDPをはるかに超える。

しかし本作が主眼としているのは、そんな華やかな経済成長物語ではなく、子ども服の一大生産地として知られる織里鎮の衣料品工場で働く名もなき若者たちの青春模様。そのほとんどが近隣の貧しい農村からの出稼ぎ労働者だ。彼らはドドドッと、けたたましいミシンの音が鳴り響く中で働いている。

彼らの仕事は出来高制で、賃金は6カ月ごとにまとめて支払われる。だが後払いであるゆえ、仕方なく前借りをする者もおり、その分手取りも少なくなる。

そこで若者たちは工場の社長に賃上げ交渉を行う。だが納期直前というタイミングの悪さで、「社長の俺に指図するのか」「頭がおかしいのか」とぶち切れられ、「そんな言い方しなくても」と話は平行線だ。だが、自由に言い合える環境があるともいえる。

長時間にわたり単純作業を続けている彼らは、その時間をやり過ごすために冗談を言い合ったり、異性にちょっかいを出したり、音楽を聴いたり、ばか騒ぎをしたり。時にはけんかをしてしまうことも。

もちろん若者なので、恋模様もあふれている。好きな子の気を引こうと必死な者もいれば、気持ちがすれ違ってしまう恋人たちもいる。カメラはそうした若者たちの日常をじっくりと冷静に観察している。

ワン監督は、そんな若者たちについてこう説明している。「彼らはそうやって時間を潰し、正気を保っている。これが彼らにとっての、与えられた状況に対処する方法、現状を何とか耐えられるものにする方法なのです」。

だが本作で描かれる若者たちの、画面からあふれんばかりの生命感とみずみずしさはいったい何なのだろうか。それは驚くほどにパワフルで、画面から目が離せなくなる。

注目の映画監督
ワン・ビン

2002年、中古のデジタルビデオカメラでつくりあげた『鉄西区』が、ベルリン国際映画祭をはじめ世界各国の映画祭で上映され、その革新的なスタイルで世界に衝撃を与えた。その後も『鳳鳴 中国の記憶』『無言歌』『死霊魂』など次々と意欲的な作品を発表。中国現代史が目を背けてきた部分や、他者が目を向けないような社会的弱者の声に耳を傾ける作風のインディペンデント作品であり、中国国内ではほとんど一般公開されていない。

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No.276 ★ 中国、通信網から外国半導体排除 IntelとAMDに打撃 工業情報化省、 27年までに中国通信インフラで使用停止へ

2024年04月20日 | 日記

JBpress (小久保 重信:ニューズフロントLLP パートナー)

2024年4月18日

(写真:ロイター/アフロ)

 中国が自国の通信システムから米国の半導体メーカーを排除しようとしている。当局が国有通信大手に対し、ネットワークの中核を担っている外国製プロセッサーの使用を段階的に停止するように指示した。

 中国政府は、技術開発の国内投資を強化しており、半導体産業もその重点分野の1つになっている。米インテル(Intel)や米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(Advanced Micro Devices、AMD)が打撃を受けそうだと米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)米CNBCが報じている。

中国当局、国有通信大手に命令

 関係者によると、中国で無線・放送・通信事業を監督する工業情報化省(Ministry of Industry and Information Technology、MIIT)は、27年までに通信インフラにおける外国製中核半導体の使用を停止するよう指示した。

 通信事業者に対し中国製半導体の使用状況を調査し、米国製からの切り替えスケジュールを作成するよう命じた。国有通信大手の、中国移動(チャイナモバイル)や中国電信(チャイナテレコム)、中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)に命令を出したもようだ。

 対象分野は、通信機器用半導体のほか、データセンター向けサーバー用CPU(中央演算処理装置)だという。これらのサーバーは、基地局と連携して動作したり、携帯電話加入者のデータ保存したりする通信システムの重要部分を担っている。

中国製半導体が台頭

 関係者によれば、中国製半導体は、とりわけ高性能とは評価されていないものの、同国の通信事業者から支持されている。近年は、中国製CPUが大きな進歩を遂げているという。華為技術(ファーウェイ)子会社で半導体設計を手掛ける海思半導体(ハイシリコン)や、国産CPUと人工知能(AI)向け半導体を開発する海光信息技術といった企業や、国防科学技術大学などの機関が台頭している。

 中国電信は23年10月にAIサーバーを約4000台導入したが、そのときのCPUは53%がインテル製で、残りはファーウェイ製「Kunpeng」(クンペン)だった。しかし、インテル製CPUのシェアは、最近低下している。

米国の対中規制も向かい風

 台湾の調査会社である集邦科技(トレンドフォース)によると、インテルとAMDの2社は、世界のサーバー向けCPU市場でシェアの大部分を占めている。24年にはインテルのシェアが71%、AMDのシェアが23%になるとトレンドフォースは予想している。

 だが今後は、中国の国産化政策によって、これら米国半導体大手の売り上げが減少する可能性がある。インテルは24年1月に公表した年次報告書で、中国が自社にとって最大の市場であり、23年は同社売上高の27%を中国が占めたと説明した。

 AMDの年次報告書によると、中国は23年に同社売上高の15%を占めた。だが、この比率は22年の22%から減少している。

 これは、米政府による高性能AI半導体の対中規制の影響を受けたものだ。インテルは年次報告書で、米中関係の悪化と中国の国産化政策による地政学的リスクを強調した。23年は売上高の6%に当たる32億米ドル(約4900億円)が米政府からの輸出許可によってもたらされたと説明。こうした米国の輸出管理政策によって左右される金額は、今度数年でさらに増加するとの見通しを示した。

小久保 重信

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、JBpress『IT最前線』や日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」で解説記事を執筆中。連載にはダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19~20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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No.275 ★ 中国大手メディアまでもが「まだパクリが必要?」と嘆息ポルシェそっくりの新車発表に見る中国ブランドが世界に認められない原因

2024年04月20日 | 日記

MAG2NEWS (by 『CHINA CASE』)

2024年4月18日

 

中国を代表するIT企業のひとつであるシャオミ。そんな大手企業が3月末に発表したで新型BEV(電気自動車)のスタイリングが物議を醸しています。日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』は今回、中国の大手経済メディアまでもが悲観視したシャオミの新型車「SU7」のパクリ疑惑を紹介。さらに同メディアの「パクリが中国ブランドが世界に認められない一因」という見方を伝えています。

※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:中国嘆き「中国の自動車業界には、まだパクリが必要なのか?」

中国嘆き「中国の自動車業界には、まだパクリが必要なのか?」

中国メディア第一財経は2024年4月4日、「中国の自動車業界は依然として新たなパクリが必要なのか?」と題する論評を発表した。

背景には、いま中国で大人気のシャオミカー、小米(シャオミ)の初弾中大型セダンBEV「SU7」だが、実はそれが多くのパクリ疑惑を抱えていることが挙げられる。

熱狂の背後で

シャオミが行った2024年3月28日の「SU7」の発表会は、中国全土が注目し、熱狂した。そのため、その発表会は2023年末の特番に例えられ、2024年の幕開け、とも評された。

一方で、以前から「SU7」の外観、特にサイドはポルシェTaycanとそっくり、との指摘があり、発表会後、一部ではそれを揶揄する声も根強く聞こえた。

パクリ文化

中国新興、法拉第未来(Faraday Future)の賈躍亭氏も「SU7」について、「それにしても中国のパクリ文化には、今後を心配させられる」と公式SNSで配信、話題を呼んだ。

今回、第一財経という大手メディアが正面から取り上げたことで、この問題がまた正式にクローズアップされる可能性がある。

第一財経は、「もし20、25年前の、中国メーカーがスタートアップした頃、その時点の強い勢いのあるブランドや典型的なモデルを参考にする手法であれば理解できる。自動車輸出世界一となり、新エネルギー車(NEV)の販売台数やその技術力も世界一を喧伝する現在、この手法はいかがなものか」とする。

中国有数テックが

また、「ましてやそれを行ったのは、中国を代表するテック、シャオミであることも大きな問題だ。すでにスマートフォンやウェアラブル、スマートホーム等で確固とした地位をを確立した中国有数のテックが、結局はパクリに走るところに、本当の意味で中国ブランドが世界に認められない一因となり続けている」とした。

以前までに、シャオミが独自開発を主張した、モーター、チタン合金、ダイカストについても、中国現地ではパクリとして非難されたことがある。

シャオミはその後釈明にあたり、各サプライヤーとの共同開発だ、と主張を微妙に変えた。

中国の足かせに

「SU7」は今のところ販売好調が伝えられている。

しかし、「シャオミによるポルシェのパクリは中国自動車業界の後退だ。海外進出が続く中国メーカーにとってもマイナスにしかならない」ともいう。

自動車強国を目指す中国にまた一つ、新たな足かせが増えたようだ。

出典: https://mp.weixin.qq.com/s/AWroIMgOXjGqQyeIveMK9A

CHINA CASEは株式会社NMSの商標です。

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