「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.271 ★ IMF、中国に不動産危機の早急な解決求める

2024年04月18日 | 日記

ロイター編集

2024年4月18日

国際通貨基金(IMF)のビトール・ガスパール財政局長は17日、中国は不動産危機を一刻も早く解決する必要があると述べた。北京で2014年9月撮影(2024年 ロイター/Barry Huang)

[17日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のビトール・ガスパール財政局長は17日、中国は不動産危機を一刻も早く解決する必要があると述べた。

ガスパール氏は、中国の国内総生産(GDP)に対する債務比率は毎年約2%ポイント上昇しているが、中国当局には財政赤字と債務を抑制するための十分な政策余地とさまざまな手段が残されていると指摘した。

IMFは同日公表した「財政モニター」報告書で、中国の不動産セクターの低迷継続は「成長の大きな足かせ」となっており、金融市場や消費者心理の重しとなり、地方政府の財政を圧迫していると述べた。

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No.270 ★ チャイナ・ショック2.0はここが違う 今回の輸出攻勢はもっと複雑で、中国政府の長期計画にとって重要

2024年04月18日 | 日記

DIAMOND online (The Wall Street Journal)

2024年4月16日

 

 中国の内需が減速し、工場が過剰生産となる中、不動産セクターの崩壊も輸出増の一因となっている。特に鉄鋼やセメントなど、住宅市場の減速の影響を直接受けている分野はそうだ。だがもう一つの理由は、中国が不動産に代わる別の成長エンジンに賭けていることだ。2023年の工業セクター向け新規中長期銀行融資は4兆8200億元(約100兆円)と、19年の5910億元から急増した。一方、不動産セクター向け新規融資は先細りしている。

 過去のチャイナ・ショックとは異なり、中国はバリューチェーン(価値連鎖)を押し上げている。例えば、米国企業のためにiPhone(アイフォーン)を組み立てるどころか、中国企業はハイテク分野のリーダーとなっている。仏投資銀行ナティクシスによれば、電気自動車(EV)やリチウムイオン電池、太陽光パネルの輸出は昨年、中国の輸出全体の4.2%を占め、2018年の1%から上昇した。

 イエレン氏は中国に対し、輸出で急成長しようとするのではなく、国内消費を高めるよう促している。しかし、製造業支援は中国政府の常とう手段である。

 例えばEVがそうだ。政府は手厚い補助金を出し、多くの企業を呼び込むことで同セクターを活気づかせた。中国が世界最大のEV市場となるにつれ、政府は補助金を打ち切り、企業の選別を激しい競争に委ねるようになった。

 こうした手法は多くの無駄な投資を招いた半面、優良企業は規模を拡大し、コストを下げることができた。現在、中国のEVセクターは熾烈(しれつ)な価格競争を繰り広げている。2023年最終四半期に一時、米テスラを抜いて販売台数で世界一となった比亜迪(BYD)は、中国を代表する企業となるだろう。太陽光パネルと電池の価格も同様に、ここ数年で急落している。

 欧米各国はこうした新たなグリーンテクノロジーの国内生産を増やそうとしており、中国製品に対する貿易障壁を強化する可能性が高い。特にEVは、欧米における自動車産業の歴史的重要性を考えると、厄介な問題である。

 中国は戦わずして諦めることはないだろう。中国政府の最終目標は、経済成長に極めて重要な先端製造業で世界的リーダーを生み出すことだ。グリーンテクノロジーは確かに有望に思える。中国は電池や太陽光パネルのサプライチェーンを支配している。このことは、外国の技術への依存度を下げるという利点もある。中国が自国の半導体セクターに対する米国の制裁を通じて最近学んだ教訓である。

 最初のチャイナ・ショックは米国内の多くの雇用を奪ったが、生産コストを下げるために中国に投資した多くの米企業にも利益をもたらした。2回目のチャイナ・ショックは全く違うように感じるかもしれない。

(The Wall Street Journal/Jacky Wong)

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No.269 ★ 中国景気、官製投資が底上げ 1〜3月GDP5.3%増

2024年04月18日 | 日記

日本経済新聞

2024年4月16日

輸出向けのため港にならぶ自動車(3月、中国山東省)=AP

【北京=塩崎健太郎】中国国家統計局が16日発表した2024年1〜3月の実質国内総生産(GDP)は前年同期比5.3%増えた。電気自動車(EV)などの生産・輸出や官製投資によって景気を底上げした。不動産不況を起点とする深刻な内需不足は変わっておらず、デフレ圧力も残ったままだ。

成長率は日本経済新聞社と日経QUICKニュースが調べた市場予想の平均(4.5%)を大きく上回り、23年10〜12月の5.2%より加速した。

中国政府は3月、24年の成長率目標を「5%前後」と定め、李強(リー・チャン)首相は目標達成が「容易ではない」と語っていた。

予想を上回る高成長の背景には好調な生産がある。1〜3月の工業生産は前年同期比6.1%増え、23年通年の伸び(4.6%増)を上回った。電子部品やEV向け充電設備などが4割増えた。

堅調な生産を受けて、EVを含む自動車の輸出も伸びた。中国税関総署の1〜3月の貿易統計によると、ドル建ての輸出総額は前年同期を1.5%上回った。四半期ベースの伸び率がプラスとなるのは1年半ぶりだ。

もっとも、輸出の伸びは国内の需要不足の裏返しでもある。3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)によると、回答企業の6割超が「需要が不足している」と答えた。

余剰生産となった安価な製品が海外に押し出され、デフレの輸出と問題視する欧米との経済摩擦に発展しつつある。

官製投資で景気を押し上げた形跡もある。工場の建設などを示す固定資産投資は4.5%増えた。増加率は23年通年(3.0%)を上回るペースだ。

このうち、政府が景気の下支え役と位置づけるインフラ投資は6.5%増加した。ただし民間投資は0.5%増にとどまり、国有企業を中心とする景気対策の色合いが濃い。

中国政府も財政出動による景気押し上げに前向きだ。23年には1兆元(約21兆円)の新規国債を増発し、同年夏に豪雨災害を受けた地域の復興に充てるなどした。残りの5千億元(GDPの0.4%分)を24年に使う計画だ。

不動産不況の構造問題は変わっていない。マンションなど不動産開発投資は1〜3月に前年同期比9.5%減少した。住宅や商業施設などの新築不動産の販売面積も19.4%減った。

住宅販売の減少は家具や家電といった耐久財の買い替え需要の不振に直結する。消費者の節約志向も根強く、足元で自動車やバイク、通信機器など耐久財の値下がりが目立つ。

百貨店、スーパーの売り上げやインターネット販売などを合計した1〜3月の社会消費品小売総額(小売売上高)は前年同期比4.7%増だった。23年通年の7.2%増と比べ、消費回復の勢いは鈍い。

伊藤忠総研の玉井芳野主任研究員は「不動産不況による景気停滞が続くなか、成長目標達成のために製造業投資や輸出への依存が高まる」と話す。

生活実感に近い名目GDPは前年同期から4%ほどの拡大にとどまった。名目成長率が実質成長率を下回るのは23年4〜6月から4四半期連続だ。GDPの「名実逆転」はデフレ圧力の強さを示す。

中国政府は24年の名目成長率を7.4%程度と見通す。デフレ圧力が和らぎ実質成長率を上回ると期待するものの、民間需要が力強く回復する道筋はまだ見えていない。

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