カロカンノート

へぼチェス日記

戎棋夷説(お勧めサイト)

2012年10月15日 | 日誌
戎棋夷説

12/10/14
 王座戦の第四局は千日手になった。後手の三間飛車に先手が天守閣美濃に組む懐かしい将棋だったので、私にもよくわかる。残業しながら棋譜中継を見るのが楽しかった。指し直し局は羽生が勝って再び王座に就いた。今のままの棋風で三十代に入ったら渡辺は弱くなる、と私は思っている。今回の結果は、早くもその始まりなのか、成長のきっかけなのか。
 この間にも羽生はチェスの対局を続けており、スケジュールが過密で、王座戦は心配だった。渋谷でスクリプチェンコと三十分切れ負けの持ち時間で二局指している。当日は台風のおかげで仕事が無くなり、私はテレビ中継を見ることができた。羽生の白番局はあまり見どころの無い引き分けだった。スクリプチェンコの白番局も最初はそんな流れだったが、彼女の打開が見事で勝ちそうになった。そこで引き分けた。残り時間が少なかったのである。
 とにかく、テレビでチェス対局が中継された。カメラはいつもの将棋番組よりも対局者に肉迫しており、羽生の集中と苦悶が大写しにされ、私は粛然と見守った。かつて、ロチェが来日して羽生森内佐藤と同時対局を指したことがある。あれがネットで中継されてから十年だ。この間の活動や発展の中心にいつも羽生がいてくれたことを思う。日本チェス協会は何の成果も挙げていない。
 読者さんから観戦の御報告をいただいていた。帰りのエレベーターで将棋棋士と一緒になったという。ベテラン九段だ。上手に話を向けると、「いやぁ、羽生さんはスゴイですねぇ」とか言いながら、「将棋界には二つの意見があるんです。羽生さんがチェスの世界に行ってしまっては困るというのと、早く行ってくれないかなというのが」という話をしてくれた、とのこと。