
アムール虎(世界最大最重の虎)
前白
界隈でもチーム戦1⃣が一頃より増えて来たような。IMPペア戦以前にチーム戦で育った者から見ると喜ばしい。そのチーム戦の戦法はといえば、昔は『スイスチーム』云々だったか有名な本を皆バイブルのように読んでいただけ。21世紀も大分過ぎたので新著が無いかと思ってアマゾンを見たが『マイク・ローレンスとチームオブフォーをやろう』しか見当たらない。2006に出ていて、2016の書評も付いているものの、矢張りマイク自身の1993版(初版は1982)そのもののようだ。
で、当時(80~90年代)から疑問が拭えなかったのは、現実と合わないという印象です。
「そりゃお前が下手くそなせいに決まってるじゃないか。」
「フィールドのレベルが低いからかもなあ。」
前者は100%御尤も。後者は日本のプロと自負する人たちを除けば、一応トップクラス2⃣ともやってはいる。しかしいずれにせよ、何かが本質的に違う。
その積年の疑問の正体が、今回カナダはオンタリオ州のハミルトン・ブリッジセンターの記事で、やっと再認3⃣できた。曰く:
チーム戦には2型有り、第1型には特別な名前は無いが4⃣、1セッション同じチームと普通は26ボードやる。第2型は「スイスチーム」で普通は7ボードずつ8チーム相手にやる。戦略は2つの型で少し違うが、本稿では第1型に的を絞る。(要約)
やはり悠然と24ボード纏めて対峙するIMPリーグと、せわしなく6ボードずつ刻むのとでは本質が何か違う筈です。が、それが何であるかは、追い追い分かって行く他有りませぬ。
なおリーグ戦のチームには、ホイストリーグ時代まで何百年も遡れる本場程でないにしても、ささやかなりとも歴史、由緒、人脈、アイデンティティが有ることは忘れてはならぬ。つくばでさえも最も古いチームは、1980年代初頭に生まれている。
閑話休題。今回折角出会ったハミルトンの解説の要点を見て行きましょう。
いつものやり方ですが、先ず原文を一旦コピーし、抄訳5⃣し終えた所から、英語を消す戦術を取ることにします。今回はちと長いけれども。(著作権に配慮して細字にした部分は、一か月後に消去。)
ビッド戦略 4つに分かたれる。
- パートスコアの闘い
- ゲームをビッドすること
- スラムをビッドすること
- 高い台の競り合い
パートスコアの闘い
両者ともビッド。しかしどちらにもゲームは無い。パートスコアの闘いに勝ち続けることはチーム戦で大いに有利なことの一つ。というのはそういうことが一杯起こりうるから、累増する。それで一回の悪い結果(無論いつものように君のチームメイトの失敗からだ。)を補填できる。[朱字 五S]
両者ともビッド。しかしどちらにもゲームは無い。パートスコアの闘いに勝ち続けることはチーム戦で大いに有利なことの一つ。というのはそういうことが一杯起こりうるから、累増する。それで一回の悪い結果(無論いつものように君のチームメイトの失敗からだ。)を補填できる。[朱字 五S]
パートスコアの闘いの結果は4通りになる。
- 君のチームが両方のテーブルでデクレアしメイク。
例えば2Sと3H。両ノンバルだと6IMP勝つ。(一般に4~7IMP) - 君達はデクレアしてメイク。裏は相手がデクレアしてダウン。
例えば2Sと、君達の仲間が3Hをビッドして相手を3Sに押し上げた。両ノンバルだと4IMP勝つ。(一般に3~8IMP)
[五S注 ここではプレイの力量は同じで結果はハンド次第だという前提。だから問題はビッドの当否のみ。] - 君のチームが両方のテーブルでダウン。
例えば君たちは押し上げられて3S、裏は3Hをやれたが1ダウン。両ノンバルだと4IMP負け。(一般に-3~-9IMP) - 君のチームの一方がメイク、他方がダウン。
例えば君達が3Sメイク、裏は3Hダウン。両ノンバルだと3IMP勝ち。(一般に-4~+3IMP)
- 両ノンバルとして、両方のテーブルで次の同じオークションになったとしよう。
N E S W
1H 1S 2H 2S
3H ?
Eはパスすべきか、それとも3Sをビッドすべきか? 可能性を見てみると、 - 3Hも3Sも出来る場合、3SをビッドするとE-Wは7IMP勝つ。(裏のEがパスしたとして)
- 一方しか出来ない場合、3SをビッドするとE-Wは3IMP勝つ。(裏のEがパスしたとして)
- 両方落ちる場合、3SをビッドするとE-Wは3IMP負ける。(裏のEが3Sをビッドしたとして)
[五S注 各項末尾のカッコ内は、下の文に基づくが疑問が有る。
The above calculations assume that the East player at the other table passes in the first two cases, but bids 3♠ in the third case. ]
明らかに10/3の率で3Sをビッドした方が得だ。率は実際のコントラクトと結果で決まるが、原理は同一だ。[五S注 「明らか」にと言うのは、数学の論文でも実は証明や説明が難しいことが多い。ここでもそうだ。]
心得その1(Rule Of Thumb): もし君とパートナーが切札フィットが有るがゲームが作れないときには、3台まで競れ。[五S注 LoTTに基づくバーゲンの指針よりもアクティブだ。]
心得その2(Rule Of The Other Thumb): 相手のパートスコアコントラクトにダブルを掛けるのは極々慎重にせよ。それは君が手に[五S注 つまりパートナーを当てにするな。]に切札トリックか切札の長さを持ち 、二人合わせて23HCP以上持っているときだけに限れ。
上の例ではN-SはEが3Sをビッドしてもダブルを考えてはならない。E-Wは切札フィットを必ず持っていて、HCPも多分結構均等に両サイドに分かれている。
このオークションを次のと比較する。
N E S W
1H 2S 3C P
3H 3S
ここではEは明らかに大きなリスクを冒すつもりだ。ペナルティダブルはN-Sに高得点を齎すだろう。というのは二人で23点は確実に持っているから。どちらでも♠の長さ(つまり潜在的♠トリック)を持っている方がダブルすべき。とくにE-Wがバルのときは、ぬかるな。
1H 2S 3C P
3H 3S
ここではEは明らかに大きなリスクを冒すつもりだ。ペナルティダブルはN-Sに高得点を齎すだろう。というのは二人で23点は確実に持っているから。どちらでも♠の長さ(つまり潜在的♠トリック)を持っている方がダブルすべき。とくにE-Wがバルのときは、ぬかるな。
但しここで一つだけ気を付けねばならぬことがある。Eが少しでも正気である限り、彼の♣か♥は短い。これらのスーツで一杯トリックが取れると当てにせねことだ。 (但し君が♦トリックを持っているならダブルには特に好都合だ。Eは多分パートナーになにがしかのヘルプを期待している。)
五S白 ここまでがパートスコアの闘いだけれども、
- 大失点をパートスコアの積み重ねで挽回するのは、SRRでは無理で、IMPリーグ独特のこととして興味深い。
- LoTTについては触れていない。ランクが高い♠でも3台まで競れと言うのは、LoTTよりもずっとアクティブだ。
- その一方でダブルの議論は非常に面白い。ゲームにダブり上げることは議論の外らしい。
ここからは「続き」(又は⑵)に。
Bidding Games
Always bid the obvious games; missing one of those will .....
Bidding Games
Always bid the obvious games; missing one of those will .....
1⃣原理的には望ましいことは多くのプレーヤーが承知して居たが、コンピュータ―が普及する以前は、7テーブル位(トップとボトムを除いて計算する。)までが計算できる限界だったから、大規模な試合はマッチポイントしか出来なかった。
2⃣高松宮杯とか。
3⃣認知心理学の奇妙な術語。
4⃣ボード数は少し違うが、日本のIMPリーグに相当。なお歴史的には英国発祥でアメリカでも隆盛して居たホイスト・リーグから来ていると想像される。
5⃣著作権対策も兼ねる。
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