Bravo! オペラ & クラシック音楽

オペラとクラシック音楽に関する肩の凝らない芸術的な鑑賞の記録

7/1(土)読響/土曜マチネー/首席・遠藤真理のドヴォルザーク・チェロ協奏曲/コバケンのチャイコフスキー「ポーランド」

2017年07月01日 23時00分00秒 | クラシックコンサート
読売日本交響楽団 第199回土曜マチネーシリーズ

2017年7月1日(土)14:00〜 東京芸術劇場コンサートホール S席 1階 A列 16番 4,851円(定期会員)
指 揮:小林研一郎(特別客演指揮者)
チェロ:遠藤真理(読響ソロ・チェロ)*
管弦楽:読売日本交響楽団
コンサートマスター:小森谷 巧
【曲目】
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104*
《アンコール》
 アザラシヴィリ/小林幸太郎編曲:無言歌*(ソロ・チェロとチェロ・アンサンブル)
チャイコフスキー:交響曲 第3番 ニ長調 作品29「ポーランド」

 読売日本交響楽団の「第199回土曜マチネーシリーズ」を聴く。7月は3つの定期シリーズごとに指揮者が異なり、全員が日本人指揮者となった。「土曜マチネー/日曜マチネー」は特別客演指揮者の小林研一郎さん、「名曲シリーズ」は飯守泰次郎さん、「定期演奏会」は鈴木秀美さん、とタイプ異なる3巨匠が登場することになった。

 本日の目玉は、今年の4月から読響のソロ・チェロに就任した遠藤真理さんがソリストとして登場、ドヴォルザークのチェロ協奏曲を演奏する。遠藤さんは、この曲をすでに30回以上オーケストラと共演して演奏しているという。読響との共演は過去5回。それだけでもソリストとしての遠藤さんが日本の音楽界で確固たる地位を築いていたことになろう。私は、読響の夏の風物詩、2011年の「3大協奏曲」で遠藤さんのドヴォコンを聴いている
 私が読響の「土曜マチネーシリーズ」で1階最前列のコンサートマスター正面の席(協奏曲の際はソリストの真正面になる)を定期会員として持っているのは、このシリーズの前身である「メトロポリタンシリーズ」が2013/2014シーズンから新たに始まった時に手に入れたものだ。その最初のシーズンの10月公演に、コバケンさんの指揮、遠藤さんのソロでサン=サーンスのチェロ協奏曲というプログラムがあって、それを目の前で聴きたかったがために年間会員になって今の席を確保したと記憶している。ところが肝心のその10月公演には体調を崩して行けなかったというオチが付いていて、何のために会員になったのかと悔やんだものだが、私にとっては最高の席なので、会員をずーっと継続している次第。会場はもともと芸劇のままだが、シリーズが「土曜マチネーシリーズ」に移行したため、毎回土曜日の午後の開催に固定されることになった。そのため他のコンサートとダブってしまうことが多くて困るのだが・・・・。

 さて演奏の方だが、まずはドヴォルザークの「チェロ協奏曲」。第1楽章の冒頭はオーケストラだけで主題の提示部が演奏される。ここはコバケンさん得意のスラブものということで、遅めのテンポでねっとりと濃厚に歌わせるのはいつものコバケン節である。読響の方も爆音をとどろかせることもなく、ホルンをはじめとする各パートもなかなか良い味をだしている。 チェロの独奏が入って来ると、コバケン・ワールドが遠藤真理ワールドへと変化していく。哀愁の漂うスラブ民俗調の音楽であっても、遠藤さんのチェロは明快で明るい音色を持っている。だからあまり民俗調のイメージではなく、もっと洗練された国際感覚の雰囲気が出てくる。そして30階以上も演奏しているという経験から来る安定感、力みが少なく、身についている音楽が自然に溢れ出る感じだ。遠藤さんのチェロは、明快で明るい音色に加えて、創造性豊かな自由度が感じられ、音楽の表現に幅と奥行きがたっぷりとある。もちろん、技巧的にもかなり優れていて、完璧とも言える正確な音程と、豊かな音量(もっとも目の前わずか15メートルの距離で聴いているので、後方席や3階でどのように聞こえていたかは不明だ)、何より協奏曲に相応しい発揮度を見せつつも押しつけがましくはなく、聴く者に共感を感じさせるような優しさ、というか人懐っこさがある。聴く者の心にふわりと入って来る素直さが感じられるのである。これは人間性なのか、音楽性なのか。とにかく、聴いていてとても心地よい演奏なのである。

 遠藤さんのアンコールは、かなり珍しい曲で、アザラシヴィリ作曲、小林幸太郎編曲による「無言歌」という曲。遠藤さんの独奏チェロと、読響のチェロ・セクション全員との共演となる。音楽はロマンティックな主題が独奏チェロ長身に展開し、チェロ・アンサンブルが伴奏する。チェロは低音域を含み音域が広い楽器なので、アンサンブルに耐える多声音楽を演奏することができる。誰もが初めて聴くような曲だと思うが、「無言歌」といっても子守歌のような優しい旋律と響きがとても素敵であった。

 後半はチャイコフスキーの交響曲第3番「ポーランド」。普段、滅多に聴くことのない曲なので、演奏の良し悪しについてはよく分からない。ただし、コバケンさんの得意な分野だけに、その解釈はオーソドックスだが思い入れたっぷりに主題を歌わせ、タメ入れて間合いを作り、ドラマティックに曲を創り上げていた。それに応える読響の演奏もなかなか見事なもので、各パートの質感が高く、ノリが良かった。とくに、木管ではオーボエとフルートが印象強く、金管はホルン、トランペットとトロンボーンが上手いなあという感じ。弦楽もあまり馬力を出さずに抑え気味にアンサンブルをまとめていて、音も澄んでいるし、管楽器とのバランスも良い。いずれにしても、最近読響は好調で、毎回素晴らしい演奏を聴かせてくれている。嬉しい限りである。

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