新国立劇場のオペラ公演の今シーズン(2010/2011)の年間通し券を持っているのだが、こちらの方の東日本大震災の影響が出ている。3月公演の『マノン・レスコー』はすべて中止になってしまった。そして4月公演の『ばらの騎士』はというと…。
一昨日、新国立劇場よりハガキが届き、『ばらの騎士』出演者変更ということであった。このハガキの記載にはミス・プリントもあって、ホームページで確認したところ、4/7の初日は開催中止、4/10、4/13、4/16、4/19、4/22の5回は開催するという。そして以下にように、出演者が変更になった。
指揮:クリスティアン・アルミンク → マンフレッド・マイヤーホーファー
元帥夫人:カミッラ・ニールント → アンナ=カタリーナ・ベーンケ
オクタヴィアン:ダニエラ・シンドラム → 井坂 惠
ファーニナル:ペーター・エーデルマン → 小林由樹
ゾフィー:アニヤ=ニーナ・バーマン → 安井陽子
※オックス男爵役のフランツ・ハヴラタは、変更なし
つまりオックス男爵以外の主役クラスはすべて変更になってしまった。
まず、指揮者のアルミンクさんだが、もともと2008年9月、新日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会で『ばらの騎士』をセミ・コンサート形式で演奏した時の評価が素晴らしく、それがきっかけで、新日本フィルを率いて新国立初登場ということだった。マイヤーホーファーさんがどうこうというわけではないが、親日派のアルミンクさんには、現在の震災後の混乱時こそ、新国立のファンにウィーンの香り漂う、優雅な『ばらの騎士』を聴かせて欲しかった。非常に残念。これでは新日本フィルが新国立のピットに入る意味が薄れてしまうではないか。
次に、元帥夫人のカミッラ・ニールントさんが来ない。彼女は、2007年6月の新国立劇場オペラ公演の『ばらの騎士』に同役で登場し、喝采を浴びた。新制作の華やかな舞台で、彼女の声はひときわ素晴らしく響き渡っていたのを覚えている。その後同じ年の11月、ドレスデン国立歌劇場の来日公演では『サロメ』のタイトルロールを歌って、圧倒的な存在感を示していた。代役のアンナ=カタリーナ・ベーンケさんは直接聴いたことがないのでよく解らないが、ドイツを中心にヨーロッパの各劇場で、主役クラスを歌っている人なので、むしろ期待できると思われる。素晴らしい元帥夫人を聴かせて欲しい。
オクタヴィアン役のダニエラ・シンドラム以下、ファーニナル役のペーター・エーデルマンさん、ゾフィー役のアニヤ=ニーナ・バーマンさんも来ない。ヨーロッパ勢は、震災後の日本を怖がっているのだろうか、情けない状態になってしまった。おかげで代役の日本人勢には大いにチャンスが訪れたことになる。私が以前から主張していることだが、新国立のオペラ公演でダブル・キャストを組み、日本人だけの公演日を設けて欲しい。実力は十分あるのにチャンスに恵まれない日本人の歌手たちに出演機会を増やして欲しいからだ。図らずも、今回の外国勢のキャンセルによって、面白い『ばらの騎士』を観ることができそうだ。個人的には、安井陽子さんのゾフィーが楽しみである。
一方、オックス男爵のフランツ・ハヴラタさんは来てくれる。これはうれしい。彼も直接聴いたことはないが、DVDなどではおなじみ。2004年のザルツブルク音楽祭(ビシュコフ指揮)でのオックス男爵、2009年のティーレマン指揮ミュンヘン・フィルの『ばらの騎士』公演でもオックス男爵を歌っていて、下品だけど憎めない、独特のキャラクターを見事に演じ、歌っている。彼が来てくれるだけでも、行く価値があるかもしれない。オックス男爵の役をうまくこなせる人はなかなかいないからだ。
というわけで、新国立劇場4月公演の『ばらの騎士』は大幅なキャスト変更の結果が、凶と出るか吉と出るか。一般的な見方をするなら、ランクが下がっていると言わざるを得ないが、震災の影響としてはやむを得ないことなので、できることなら変更後の新しいメンバーで、できうる限りの名演を期待したい。実力では決して劣っているとは思えないから、ぜひとも頑張って欲しい。皆で日本人出演者を応援しましょう。
ところで、新国立劇場側も、これほど主役クラスの総入れ替えではやむを得ないと判断したらしく、4/7の中止公演の払い戻しは当然だが、その他の公演も「ご来場が困難なお客様に限り」チケットの払い戻しをするという。新国立のチケットは決して安くはないので、まあ当然と言えば当然かもしれない。私の場合は、大好きな『ばらの騎士』だから、メンバーが変わったからといって行かないということは考えられないが、高額な席のチケットをお持ちの方は、悩ましいところだろう。私はといえば、4/19の公演に行く予定になっているので、まだまだかなり日にちがあるが、待ち遠しくて仕方がない。
← 読み終わりましたら、クリックお願いします。
一昨日、新国立劇場よりハガキが届き、『ばらの騎士』出演者変更ということであった。このハガキの記載にはミス・プリントもあって、ホームページで確認したところ、4/7の初日は開催中止、4/10、4/13、4/16、4/19、4/22の5回は開催するという。そして以下にように、出演者が変更になった。
指揮:クリスティアン・アルミンク → マンフレッド・マイヤーホーファー
元帥夫人:カミッラ・ニールント → アンナ=カタリーナ・ベーンケ
オクタヴィアン:ダニエラ・シンドラム → 井坂 惠
ファーニナル:ペーター・エーデルマン → 小林由樹
ゾフィー:アニヤ=ニーナ・バーマン → 安井陽子
※オックス男爵役のフランツ・ハヴラタは、変更なし
つまりオックス男爵以外の主役クラスはすべて変更になってしまった。
まず、指揮者のアルミンクさんだが、もともと2008年9月、新日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会で『ばらの騎士』をセミ・コンサート形式で演奏した時の評価が素晴らしく、それがきっかけで、新日本フィルを率いて新国立初登場ということだった。マイヤーホーファーさんがどうこうというわけではないが、親日派のアルミンクさんには、現在の震災後の混乱時こそ、新国立のファンにウィーンの香り漂う、優雅な『ばらの騎士』を聴かせて欲しかった。非常に残念。これでは新日本フィルが新国立のピットに入る意味が薄れてしまうではないか。
次に、元帥夫人のカミッラ・ニールントさんが来ない。彼女は、2007年6月の新国立劇場オペラ公演の『ばらの騎士』に同役で登場し、喝采を浴びた。新制作の華やかな舞台で、彼女の声はひときわ素晴らしく響き渡っていたのを覚えている。その後同じ年の11月、ドレスデン国立歌劇場の来日公演では『サロメ』のタイトルロールを歌って、圧倒的な存在感を示していた。代役のアンナ=カタリーナ・ベーンケさんは直接聴いたことがないのでよく解らないが、ドイツを中心にヨーロッパの各劇場で、主役クラスを歌っている人なので、むしろ期待できると思われる。素晴らしい元帥夫人を聴かせて欲しい。
オクタヴィアン役のダニエラ・シンドラム以下、ファーニナル役のペーター・エーデルマンさん、ゾフィー役のアニヤ=ニーナ・バーマンさんも来ない。ヨーロッパ勢は、震災後の日本を怖がっているのだろうか、情けない状態になってしまった。おかげで代役の日本人勢には大いにチャンスが訪れたことになる。私が以前から主張していることだが、新国立のオペラ公演でダブル・キャストを組み、日本人だけの公演日を設けて欲しい。実力は十分あるのにチャンスに恵まれない日本人の歌手たちに出演機会を増やして欲しいからだ。図らずも、今回の外国勢のキャンセルによって、面白い『ばらの騎士』を観ることができそうだ。個人的には、安井陽子さんのゾフィーが楽しみである。
一方、オックス男爵のフランツ・ハヴラタさんは来てくれる。これはうれしい。彼も直接聴いたことはないが、DVDなどではおなじみ。2004年のザルツブルク音楽祭(ビシュコフ指揮)でのオックス男爵、2009年のティーレマン指揮ミュンヘン・フィルの『ばらの騎士』公演でもオックス男爵を歌っていて、下品だけど憎めない、独特のキャラクターを見事に演じ、歌っている。彼が来てくれるだけでも、行く価値があるかもしれない。オックス男爵の役をうまくこなせる人はなかなかいないからだ。
というわけで、新国立劇場4月公演の『ばらの騎士』は大幅なキャスト変更の結果が、凶と出るか吉と出るか。一般的な見方をするなら、ランクが下がっていると言わざるを得ないが、震災の影響としてはやむを得ないことなので、できることなら変更後の新しいメンバーで、できうる限りの名演を期待したい。実力では決して劣っているとは思えないから、ぜひとも頑張って欲しい。皆で日本人出演者を応援しましょう。
ところで、新国立劇場側も、これほど主役クラスの総入れ替えではやむを得ないと判断したらしく、4/7の中止公演の払い戻しは当然だが、その他の公演も「ご来場が困難なお客様に限り」チケットの払い戻しをするという。新国立のチケットは決して安くはないので、まあ当然と言えば当然かもしれない。私の場合は、大好きな『ばらの騎士』だから、メンバーが変わったからといって行かないということは考えられないが、高額な席のチケットをお持ちの方は、悩ましいところだろう。私はといえば、4/19の公演に行く予定になっているので、まだまだかなり日にちがあるが、待ち遠しくて仕方がない。
← 読み終わりましたら、クリックお願いします。