にちじょうのわな

ひびのにちじょうとつれづれて

うきぐも

2012-08-20 | めも
めも


坪内逍遙(しょうよう)「当世書生気質(とうせいしょせいかたぎ)」より

「いつものお方が先刻から、あくのを待つておいでですヨ、小蝶さんに豆太さん
は、田の次さんより一足さきへ。」と女中の言葉に芸妓と雛妓は、会釈なしつつ
降階(おり)てゆく。兎角するまに小町田粲爾も、やうやく我にかへりしかば、
女中に介抱を謝しなどし、田の次もうちとけたる口儀(あいさつ)あるべし。


二葉亭四迷「浮雲」より

文三には、昨日お勢が「貴君もお出になさるか。」ト尋ねた時、行かぬと答へたら、
「へー然うですか。」ト平気で澄まして落書き払ツてゐたのが面白からぬ。文三の
心持では、成らう事なら、行けと勧めて貰ひ度かツた。それでも尚ほ強情を張ツて
行かなければ、「貴君と御一所でなきやア私も罷しませう。」とか何とか言(いつ)
て貰ひ度かツた


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