徒然なるままに修羅の旅路

祝……大ベルセルク展が大阪ひらかたパークで開催決定キター! 
悲……大阪ナイフショーは完全中止になりました。滅べ疫病神

Balance of Power 15

2014年11月02日 19時04分15秒 | Nosferatu Blood
     *    周囲に立ち並ぶ高層ビルの硝子張りの壁面から降り注いでくる目障りな陽光に顔を顰めながら、アルカードは赤信号で足を止めて周囲を見回した。  昼下がりの都心は、真夏日なこともあってひどく暑い――地面から放射される熱気と頭上から降り注いでくる太陽光、それに周囲のビルの外壁から反射してくる光で全身炙り焼きみたいになっているからだ。  だが『帷子』を使っているアルカードは、特に暑いと感じる . . . 本文を読む
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Balance of Power 14

2014年11月02日 19時03分06秒 | Nosferatu Blood
     *   「ただいまー!」  底抜けに明るい――つまり、いつもの――黄色い声とともに、玄関の引き戸を開けてマリツィカが顔を出す。  生粋のルーマニア人だが日本生まれの日本育ちのマリツィカは、日本の高校の制服を着ている――セーラー服にちょっと丈の短めのスカートといういでたちだが、スタイルがいいので臍の見える服装がよく似合っている――が、見るからに外国人のマリツィカのセーラー服というのは、単な . . . 本文を読む
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Balance of Power 13

2014年11月02日 13時10分12秒 | Nosferatu Blood
 実際に気道が詰まっているわけではないのだが、脳への血流が遮断されているので同じことだ――空気を求めて喘ぎながら、冷静さを失って左手に武器を構築することも思いつかないまま、なんとか拘束を振りほどこうと首に巻きつけられた腕に手をかける。暗くなってきた視界の中で、先ほど斃したのとは別の吸血鬼が憎々しげにこちらを睨みつけた。 「この雌豚がぁっ!」 罵声をあげながら、吸血鬼が拘束されたリディアの下腹部めが . . . 本文を読む
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Balance of Power 12

2014年11月02日 13時09分50秒 | Nosferatu Blood
     †    しっ――歯の間から息を吐き出しながら、吸血鬼の一体が内懐に踏み込んでくる。  その右手の中で照明の光を照り返した白刃が閃くのを見て取って、リディアは距離をとるために後方に跳躍した――同時に鋭い動きで繰り出されたナイフが視界を引き裂き、ステンレス製の刃が弱々しい照明を照り返して輝く軌跡を虚空に刻む。  吸血鬼化による身体能力の向上を抜きにしても、動きは速い――なんらかの戦闘訓練か . . . 本文を読む
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Balance of Power 11

2014年11月02日 13時09分15秒 | Nosferatu Blood
     †    ひぅ、という軽い風斬り音とともに手にした長剣を振るうと同時、群がっていた吸血鬼数人が全身をバラバラに切り刻まれてその場に崩れ落ちた――ばらばらになった内臓や手足の破片が血だまりの中に落下して小さな飛沫を撒き散らし、そのまま塵に還って消滅してゆく。  酸鼻を極める凄惨な光景から視線をはずし、手にかけた吸血鬼の屍が塵と崩れて失せてゆくその様を見送ることもしないまま、パオラは撃剣聖典 . . . 本文を読む
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Balance of Power 10

2014年11月02日 13時08分54秒 | Nosferatu Blood
     †    一撃で鼻から上を削り取られたふたりの吸血鬼の体が、瞬時に塵と化して崩れ落ちる。 「さて――」  ろくに視認も出来ない神速の手管で以って二体の吸血鬼を斬り斃したアルカードが、手にした塵灰滅の剣《Asher Dust》を軽く振って刃にこびりついた血を振り払う。  しっ――続いて歯の間から息を吐き出す音とともに、金髪の吸血鬼が床を蹴った。  飛びかかってきた二体の脇を駆け抜け、ついで . . . 本文を読む
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Balance of Power 9

2014年11月02日 13時08分38秒 | Nosferatu Blood
     †    十分ほど前―― 「――さ、着いたわよ」  街で引っ掛けたカナという名前の女に導かれるままやってきたのは繁華街の一角、道路を挟んでコンビニとネットカフェ、左右はカラオケボックスとチェーン居酒屋という立地のライブハウスだった。  女はまるで長年のつきあいの様に彼の腕を抱いて引っ張りながら、有無を言わさずライブハウスのほうに引っ張っていく。出来ればコンビニに寄りたかったのだがそうさ . . . 本文を読む
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Balance of Power 8

2014年11月02日 13時08分26秒 | Nosferatu Blood
     *   「――兄さんずいぶん若い様だけど、おいくつかね?」 アルカードの手にしたバカラ製のワイングラスに――ワインが尽きたので――自分の持ってきた日本酒をなみなみと注ぎながら、本条がそう尋ねてくる。  縁側に腰かけたアルカードと隣の本条老、アレクサンドル老は縁側の障子寄りに座布団を敷いてそこに座っている――マリツィカは高校の宿題、デルチャは赤ん坊の相手をしていて、イレアナは一度酒肴を持っ . . . 本文を読む
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Balance of Power 7

2014年11月02日 13時08分03秒 | Nosferatu Blood
     *    BLOOD STAIN CHILDのINNOCENCEの演奏が終わり、カーナビがランダム再生の次の候補を探してハードディスクをシークさせる。 「アルカード、どこに行くんですか?」 いつまでたっても周りがさびしくなる気配が無いので、フィオレンティーナは眉をひそめながらそんな質問を口にした。 「? なんか変か?」 いぶかしげにアルカードが尋ね返してきたので、フィオレンティーナはそち . . . 本文を読む
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【もう画像を消してしまった】取っとけばよかったかな

2014年11月02日 13時07分36秒 | れっつDIY
 ちなみにこれ最新記事ですが、日付的にはBalance of Power 6の直前に設定してあります。  Balance of Power 5まででやったクラッチキャリアの修理作業についての補完ですね。  クラッチキャリアというのはサムネの写真のことで、実際にうちの原付からはずした現物の写真です。  上部だけテンションスプリングがはずれた状態になっているのがわかると思います。  ちなみにタイトル . . . 本文を読む
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Balance of Power 6

2014年11月02日 13時07分36秒 | Nosferatu Blood
     2    胴甲冑をすべて身につけて、ストラップを締め上げる――時代錯誤な重装甲冑に対してこちらは現代戦装備以外の何物でもないポリエステルメッシュの装備《ロードベアリング》ベストを取り上げ、胴甲冑の上から羽織る。  最新式のモデュラー・ジャケットは必要無い――防御性能だけで言えばこの重装甲冑のほうが強固だし、もっと言えばセラミックス製のトラウマ・パッドはすぐに割れてしまうので役に立たない。 . . . 本文を読む
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Balance of Power 5

2014年11月02日 13時05分08秒 | Nosferatu Blood
「……メタ発言やめようよ」 とコメントしてから、陽輔はアルカードの片づけの邪魔にならない様に原付をちょっと動かした。 「ただ」 アルカードが落ち着いた口調で続ける。 「ただ?」 香澄がオウム返しに反問すると、 「クラッチキャリア自体の状態が、世辞にもいいとは言えん。ピンが摩耗してライニングがガタついてたからな――そのうちまたスプリングがはずれるかもしれん。同じ症状がもう一度出たら、クラッチごと交換 . . . 本文を読む
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Balance of Power 4

2014年11月02日 13時04分40秒 | Nosferatu Blood
     †    扉を抜けて駐車場に出ると、空きスペースにタルガトップ形態の赤いスズキのカプチーノが駐車されていた――元は恭輔、今は陽輔の持ち物だ。その隣の物置代わりのバイクガレージの前に、香澄のジョグがセンタースタンドをかけられて止められている。  アルカードは原付のスタンドをはずすと、 「香澄ちゃん、キーを貸してくれ」 香澄が言われるままに原付のキーを差し出すと、アルカードはセンタースタンド . . . 本文を読む
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Balance of Power 3

2014年11月02日 13時04分18秒 | Nosferatu Blood
     *    月明かりに照らされて白漆喰の土蔵の壁が蒼白く照らし出され、瓢箪型の池に黄金色の月が映り込んでいる。  リーリーという鈴虫の鳴き声が鼓膜をくすぐり、時折池の水面に漣が走っている――古いかどうかは知らないが、池に蛙の飛び込むぽちゃんという音が鈴虫の鳴き声に混じって耳に届いた。 「――あ、ここにいたんだ?」  庭に面した縁側に腰を下ろして庭を眺めていたアルカードは、横合いから声をかけ . . . 本文を読む
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Balance of Power 2

2014年11月02日 13時03分50秒 | Nosferatu Blood
     *   「――え? まだ帰ってきてないの?」 本屋の紙袋片手に家に帰りついたところで、マリツィカはぽかんと口を開けた。 「まだ帰ってないもなにも、あんたと一緒に行ったんでしょうが」 庭の隅の水道から延びたホースリールのノズルを手に、デルチャがあきれ顔でそう返事を返してくる。 ちょうど塀の内側のプランターに水を撒いていたらしい姉は手早くホースリールを巻き取りながら、 「途中で別れたの?」 . . . 本文を読む
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