徒然なるままに修羅の旅路

祝……大ベルセルク展が大阪ひらかたパークで開催決定キター! 
悲……大阪ナイフショーは完全中止になりました。滅べ疫病神

In the Flames of the Purgatory 78

2018年08月27日 22時45分13秒 | Nosferatu Blood LDK
「そら」 グリーンウッドが放り投げた骨粉入りの小壜を受け取って、アルカードは硝子壜を試験管みたいに軽く振った。 「なにをやったんだ?」 「魔力を凝集して量を絞った――それひとつで魔術の秘薬が樽ひとつぶんは作れる。捨て値で売ってもいい装備が買えるぞ」 それで用はすべて済んだので、グリーンウッドは魔術装置のあった部屋のほうに歩き出した。硝子壜を鞄にしまいこんでから、アルカードがグリーンウッドに続いて歩 . . . 本文を読む
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In the Flames of the Purgatory 77

2018年08月27日 22時28分36秒 | Nosferatu Blood LDK
     7    翌朝――    教員用の宿舎の出入り口のところで待っていると、中央の階段から降りてきた鳥柴薫がこちらに気づいて微笑した。 「おはようございます」  薫は今朝はベージュ色の落ち着いた雰囲気のスーツを身に着けている。  昨夕夕食を共にしたときに朝から行事があるので正装でいる様にと薫から指示されたので、アルカードも今日は正装だった――同席した澤村が言うには普段は教師陣は平服で、別にス . . . 本文を読む
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In the Flames of the Purgatory 76

2018年08月25日 23時42分03秒 | Nosferatu Blood LDK
 グリーンウッドの左腕が、大きく膨れ上がって長く伸びている――どれくらい大きいのかというと、手首から先が膨張して最終的にその直径が彼らの身長の六倍近くにまで達している。長さにいたっては数十ヤードに達するだろう。  グリーンウッドが手首を引き抜くと、彼の手首から先が膨れ上がって形成された巨大な翼を備えた犬――アモンと同じデーモンロードの一体グラシア・ラボラスが、アモンの頭を地面に押さえつけて凄絶な咆 . . . 本文を読む
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In the Flames of the Purgatory 75

2018年08月25日 23時25分45秒 | Nosferatu Blood LDK
「――ッ!」  脳裏に響く絶叫に顔を顰めながら、アルカードが小さく舌を打つ――獄焔細弾《ゲヘナフレア・ペレット》から放出される超高熱に晒されて、アモンの全身が黒々と炭化し始めた。巨体が悶絶しのたうちまわるたびに子供が足ですくった水溜まりの泥水の様に跳ね散らかされる熔岩の雫から逃れて数歩後ずさり、暑苦しげにパタパタと手で顔を煽ぐ。  熔融してオレンジ色に輝く熔岩と周囲の岩を燃やし続ける炎によって大空 . . . 本文を読む
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In the Flames of the Purgatory 74

2018年08月25日 22時48分09秒 | Nosferatu Blood LDK
 次の瞬間、まるで海栗の様に全身に皇龍砕塵雷を突き立てられたデーモンロードが全身から青黒い液体を噴出させながら身をよじった――皇龍砕塵雷の刀身から伝播した高周波振動によって、全身の皮膚がずたずたに裂けている。  繰り返しになるが、皇龍砕塵雷の破壊は刃物の切断とはまったく異なるものだ。接触した物体の分子に振動を伝播させ、分子同士の結合を解くことによって切断する。  通常の斬撃であればそうなるが、たと . . . 本文を読む
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In the Flames of the Purgatory 73

2018年08月25日 20時57分06秒 | Nosferatu Blood LDK
 口の中に溜まった血を唾と一緒に吐き棄て、金髪の吸血鬼が唇をゆがめて笑う。悲痛な絶叫が肉体と霊体の耳《・・・・・・・》に同時に届き、横倒しに倒れ込んだままだったアモンが泥の中で転げ回る犬の様に熔岩状に熔け崩れた地面の上でのたうちまわった――先ほど銃撃で眼球を破壊された左目の眼窩に、漆黒の曲刀が突き刺さっているのがかろうじて識別出来る。  アルカードの持っていた魔具だ――尻尾の打撃で吹き飛ばされる瞬 . . . 本文を読む
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In the Flames of the Purgatory 72

2014年11月23日 21時14分05秒 | Nosferatu Blood LDK
 そんな会話を交わしている間に洗い物が終わったのか、シスター天池が戻ってきた。 「それじゃ、行きましょうか」 「はい」 結衣がうなずいて、どんべえを抱き上げる。アルカードは扉を開けてノブを抑え、ふたりのために道を開けた。  結衣が足早に階段を降りて、飲み水と干し草がたっぷりと用意されたケージの中にどんべえを入れる。 「これで何日くらい持つの?」 「普段通りなら、明日の昼くらいまでです」 アルカード . . . 本文を読む
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In the Flames of the Purgatory 71

2014年11月23日 21時14分04秒 | Nosferatu Blood LDK
 今のところ、相手の表情や視線の動きにおかしな違和感は無い。ただし特定の条件――時間、特定のキーワード、特定の場所への到達など――を満たさないと術が起動しないタイプの術式を仕込まれている場合、スリープ状態の術式は被術者に影響を与えないものも多い。そういった場合、ちょっと見ただけで術をかけられていないとは断定出来ない。  当面この場でふたりになにかするわけにもいかないので、アルカードはそれ以上の情報 . . . 本文を読む
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In the Flames of the Purgatory 70

2014年11月23日 21時14分03秒 | Nosferatu Blood LDK
「あ、はい。子供のころに行ったことがあります――ブカレストと、キンディア塔のあるところとか、ほかにも何ヶ所か見て回りました」 「キンディア塔? ――ああ、トゥルゴヴィシュテに行ったのか」 声にわずかな皮肉を込めて、アルカードはそう返事をした。  キンディア塔は一四〇〇年代後半、ちょうどワラキア公ヴラド・ドラキュラの時代に建設された塔だ――トゥルゴヴィシュテは一三九六年に宮殿が建設されて以降、ワラキ . . . 本文を読む
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In the Flames of the Purgatory 69

2014年11月23日 21時14分02秒 | Nosferatu Blood LDK
 その後ろに続いて、大聖堂のほうに歩いていく。大聖堂といってもほかの聖堂より大きいくらいの意味合いらしく、一般に大聖堂と呼ばれる様な――たとえばノートルダム大聖堂の様な規模の大きな代物というわけでもない。  だがさすがに在校生徒数が多いからだろう、聖堂自体もそれなりに大きなものだった――収容人数だけでいえば、東京カテドラルなどの名だたる大聖堂に匹敵するかもしれない。  左手側の階段を昇って細かな装 . . . 本文を読む
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In the Flames of the Purgatory 68

2014年11月23日 21時14分01秒 | Nosferatu Blood LDK
     †    扉のほうに近づく数秒の間にも、伝わってくる振動はどんどん強くなってきていた。『門』の向こう側にいる誰かさんの影響が、とうとうこちら側に及び始めたらしい。  それをさして気にも留めずに扉のそばまで近づくと、扉はもともとそういう仕組みなのかひとりでに開き、向こう側の光景をその場に居合わせた者たちの前に開帳した。  扉の向こうは魔術装置の設置されていた部屋よりもさらに広い空間で、こち . . . 本文を読む
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In the Flames of the Purgatory 67

2014年11月23日 21時13分08秒 | Nosferatu Blood LDK
「先行する。底の空気の組成を確認して、必要なら作り変えておくから、少し時間をおいて降りてこい――セアラを頼む」  そう言って、グリーンウッドは重力制御を解除した――そのまま自由落下に近い速度で穴の奥底に落下していく。  生身の人間であるセアラを任せられる相手がいれば、彼ひとりでならどんな危険な状況に身を投じても問題無い――――取り込んだ鬼神や魔神の能力を使って物質構造に干渉し作り変えることの出来る . . . 本文を読む
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In the Flames of the Purgatory 66

2014年11月23日 20時49分59秒 | Nosferatu Blood LDK
 次の瞬間には、アルカードは落下するセアラのすぐそばで人間態に戻っていた――左手を伸ばしてセアラの腕を掴んで引き寄せながら、同時に指輪の形状に偽装した仮想制御装置《エミュレーティングデバイス》に魔力を流し込む。  構築された術式に魔力を吸い上げられるときの首筋をくすぐられる様な掻痒感とともに、構築された術式が発動し――落下制御《フォーリング・コントロール》の魔術に囚われて、ふたりの落下速度がさらに . . . 本文を読む
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In the Flames of the Purgatory 65

2014年11月23日 20時49分25秒 | Nosferatu Blood LDK
     †    見る間に腐蝕しながら、アルカードが放棄した甲冑の手甲が縦穴の底に落ちてゆく。  吸血鬼の反撃で警戒を強めてか、下級悪魔どもは壁にへばりついたままじりじりと距離を詰めてきている――当のアルカードはというと、悪魔の体液がついても腐蝕する様子の無い黒い曲刀を手に、油断無く悪魔の動きを観察している。表情から察するに、魔具以外を用いる攻撃手段はなるべく選択肢からはずすことを決めた様だった . . . 本文を読む
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In the Flames of the Purgatory 64

2014年11月23日 20時48分48秒 | Nosferatu Blood LDK
「どうして、わざわざあんな地下深くに降臨場を用意するんだろう?」 「地下深くのほうが都合がいいんですよ」  誰に向けたわけでもないひとりごとだったのだが、セアラが答えてきた。 「どうしてだ?」 「地脈がどういうものかは?」  セアラに反問されて、アルカードはちょっと考えた。 「あまり詳しいことは知らないな」 「そうですか」 セアラがうなずいて、 「知ってることもあるかもしれませんけど、一応ちゃんと . . . 本文を読む
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