徒然なるままに修羅の旅路

祝……大ベルセルク展が大阪ひらかたパークで開催決定キター! 
悲……大阪ナイフショーは完全中止になりました。滅べ疫病神

Black and Black 22

2014年11月01日 22時08分37秒 | Nosferatu Blood
 国家保安部秘密警察《セクリタテア》――  一九八九年の民主主義革命による政権転覆までの三十五年間ルーマニア社会主義共和国を一党独裁で支配していた共産党政権下において、内務省が傘下に置いていた秘密警察である。ルーマニア社会《・・》主義共和国なのになぜ共産《・・》党なのかという点は、まあ気にしても仕方が無い。あのカビの生えた出来損ないの思想を頭から信じ込んでいる連中の思考に、整合性など求めるだけ時間 . . . 本文を読む
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Black and Black 21

2014年11月01日 22時08分10秒 | Nosferatu Blood
 金属で出来ている様な質感なのに、金属の塊の様には到底見えない――まるで前肢の形をした流動する液体で出来ているかの様に、滑らかに動いている。 「これか」 くるんと巻いた尻尾を左右に振りながら、アルカードが座り込んだまま『お手』をする様に左の前肢を掲げた。左の前肢の先半分を構成する銀色の金属――毛並みまでも忠実に再現した、間違い無く一体であるのに滑らかに動く金属塊が、いきなりどろりと溶ける。  一瞬 . . . 本文を読む
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Black and Black 20

2014年11月01日 22時07分45秒 | Nosferatu Blood
「なんなんですか、もう」 アルカードはフィオレンティーナの抗議には返事をせずに、二十メートルほど離れたところ、展望台の公衆トイレの向こう側にある軽自動車くらいの大きさの岩を指差した。 「あの岩のあたりを狙って投げたとき、どの程度の精度で命中させられる?」 「この暗さでってことですか?」 「ああ」 「あの岩の上になにか――たとえばこのペットボトルを置いたとして、右手ならキャップに命中させられると思い . . . 本文を読む
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Black and Black 19

2014年11月01日 22時07分31秒 | Nosferatu Blood
 一度間合いを取り直そうとしているのか、後退した男を追って間合いを詰め、ショートアッパーに近いコンパクトな挙動の一撃――顔など狙わない。時間の無駄だ。  顎先をかすめる様にして喉仏に撃ち込まれた貫手の一撃で、肥った男がその場で体勢を崩す――本当は一撃で喉笛を叩き潰すつもりだったのだが、浅かった。間合いが測りづらい。両目が生きていれば今の一撃で無力化出来ていたのだが、左目が潰れたままの状態ではそうも . . . 本文を読む
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Black and Black 18

2014年11月01日 22時07分09秒 | Nosferatu Blood
     *    次に意識を取り戻したのは、三日後のことだった――体にかけられた布団を押しのけて上半身を起こし、再び体の様子を確認する。呼吸にはいまだ違和感が残っている――軽く拳を握り込んで、力を込める。  コンディションはいまだ十全とは言い難い有様だった。左目はいまだに完治しておらず、左側に大きな死角がある。離れて戦う際にも支障が出るだろう。  まだ五分ってところか――  胸中でつぶやいて、立 . . . 本文を読む
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Black and Black 17

2014年11月01日 22時06分49秒 | Nosferatu Blood
     *   「――アルカード?」 名前を呼ばれて、アルカードは追憶に沈みかけていた意識を現実に引き戻した。  すぐ目の前にかがみこんでこちらの顔を覗き込んでいたリディアが、アルカードの目の前で手を振りながら、 「アルカードってば。聞こえてますか?」 「ん? ああ」 返事をして、アルカードは目の前で振られるリディアの手を押しのけた。よほど何度も呼んでいたのか、不満そうな表情を見せたリディアが、 . . . 本文を読む
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Black and Black 16

2014年11月01日 22時06分23秒 | Nosferatu Blood
     2   「……おか……さん……」 「……め、まだ……ないよ」  覚醒までに何時間の間があったのかは、わからない――身動ぎもしないまま自覚したのは、姿勢が変わっているということだった。  ほんの少しずつ、全身を緊張させてゆく――四肢、正確には左腕を除く三肢の指の末端まで感覚が行き届いている。左腕に義肢として接合した憤怒の火星《Mars of Wrath》も含め、反応の不足は無い――神経に損 . . . 本文を読む
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