徒然なるままに修羅の旅路

祝……大ベルセルク展が大阪ひらかたパークで開催決定キター! 
悲……大阪ナイフショーは完全中止になりました。滅べ疫病神

Black and Black 15

2014年10月31日 23時38分10秒 | Nosferatu Blood
 香港の劉剛懿《リゥカンイー》と劉斗龍《リゥツォウロン》、楊美玲《ヤンメイリン》の三人と一緒に写った写真や生まれたばかりのアルマを囲んで当時の教室のメンバー全員で写った写真と一緒に、生まれたばかりの凛を抱いた忠信の父親が孫の家族と一緒に写った写真も混じっている。背景は風雨で汚れた、ところどころ剥がれかけた白い漆喰の壁の土蔵だった。  アルカードがはじめて老夫婦の家に来たのはグリゴラシュとの潰し合い . . . 本文を読む
コメント

Black and Black 14

2014年10月31日 23時36分27秒 | Nosferatu Blood
     *    喘鳴に似た咆哮をあげながら、アルカードは屋上床を蹴って屋上を駆けた――ナイフを手にした若い女が繰り出してきた刺突が装甲板の隙間から左肩を貫くのを無視して、女の顔面を右手で鷲掴みにする。踝を踵で蹴り潰す様にしてアキレス腱を挫く動作で足を刈りながら、アルカードは女の体を押し倒した。  頭蓋骨の砕ける鈍い音とともに、後頭部から屋上床に激突した女の体がびくりと一度大きく痙攣する。  全 . . . 本文を読む
コメント

Black and Black 13

2014年10月31日 23時35分52秒 | Nosferatu Blood
     *    テレビ画面の中で、主人公の女性が布団に入って眠っている――フィオレンティーナとしてはさっさと画面から視線を離したがっている様に見えたが、凛が横から話しかけるのでそれもままならないらしい。  息子役の子供と若い女性の笑い声が聞こえたあと、今度は女の子の声が聞こえて、床に就いていた女性がむくりと起き上がる。隣の布団が空になっているのを見て、フィオレンティーナがまた全身を緊張させるの . . . 本文を読む
コメント

Black and Black 12

2014年10月31日 23時35分19秒 | Nosferatu Blood
     *    頭上は分厚い黒雲に覆われ、ヘリポート上は分岐点から吹き上げてきたビルの剥離流と強い横風が合わさって強風が吹き荒れている――全身甲冑の上から羽織った黒いコートの裾は強風に晒されても、仕込まれた分厚いスペクトラ・シールドとチェーンメイルのために小揺るぎもしなかったが。  少し離れたところを通る首都高速を、無数のヘッドライトの光芒がさながら光の河の様に流れてゆく。深夜なので周囲のビル . . . 本文を読む
コメント

Black and Black 11

2014年10月31日 23時33分18秒 | Nosferatu Blood
     *   「で――」 硝子テーブルの上にグラスを並べつつ、アルカードはぼやいた。 「結局いつも通りのこの面子か」 「不服ですか?」 と、これはパオラである。彼女はコンビニで買ってきたスナック菓子を皿の上に出しながら、 「だいたいこの状況に不平を述べるとか贅沢です」 「なにが」 そう返事をすると、パオラは立ち上がって母親みたいなポーズで腰に手を当て、 「だって、アルカード以外は全員女の子じゃ . . . 本文を読む
コメント

【あべのハルカスでヘリポートが見学出来るということを最近はじめて知った】行けばよかったかな。

2014年10月31日 22時32分07秒 | 日記・雑記
あべのハルカスのてっぺん!「ハルカス300ヘリポートツアー  もうだいぶ前に書いたので無意味なんですけど、あべのハルカスってヘリポートの見学が出来るんですね。  もうちょっと早く知ってれば、Black and Blackをうpする前に見学に行ったんですが。まあ、俺の興味はヘリポートそのものよりもその周囲の構造物にあるから、裏方が見られなきゃ意味無いのだけど。  現在と回想を混ぜるのが好きな俺です . . . 本文を読む
コメント

Black and Black 10

2014年10月31日 00時04分04秒 | Nosferatu Blood
 対するアルカードは握るとも開くともつかぬ程度に左右の五指を軽く曲げ、とっさの打撃戦にも組み討ちにも対応出来る体勢だ。武器は無い――武装の持ち合わせは軽く百を超えるが、この状況なら必要無い。  フゥゥゥゥ、とグリゴラシュが呼気を吐き出す。  シィィィィ、と歯の間から息を吐き出して、アルカードは数ミリぶんほど前足をずらした。  互いの間合いを測って、動く――互いにじりじりと間合いを詰めながら、ふたり . . . 本文を読む
コメント

Black and Black 9

2014年10月31日 00時03分36秒 | Nosferatu Blood
「アルカード、さすがにそれは――」 不謹慎じゃないですか? とフィオレンティーナが咎めようとすると、アルカードは適当に首を振って、 「泥棒した娘を咎めるどころか、被害者を凶器で殴ろうとする様な爺の生き死になんぞ知らんよ。誰も見てなかったら、殺して下水にでも死体を棄てるところだ――そのほうが世のためだからな。あんなもん野放しにしたら、癇癪起こしてまた誰か殴って、今度はもっと深刻な怪我させるぞ」 アル . . . 本文を読む
コメント

Black and Black 8

2014年10月31日 00時03分15秒 | Nosferatu Blood
「あの病気って、一回発症したら二度と起こらないんだと思ってました」 「亮輔さんが言うには、感染しても発症までいかないだけなんだって――高齢になると免疫が効かなくなって、再発症する例もあるんだって教えてくれた。だからヘルペスって高齢の人に多いのね」  それってつまり、まだ若い恭輔はともかく忠信は下手すれば感染して帰ってくるのではないだろうか? 「あ」 なにに反応したのか、蘭が壁越しに老夫婦の自宅に通 . . . 本文を読む
コメント

Black and Black 7

2014年10月31日 00時02分29秒 | Nosferatu Blood
     *    昼食の時間帯にお昼を摂れることは、この店ではまず無い。食事客に食事を提供するのが仕事なのだから、食事客が多い時間帯に食事を摂れる道理も無い――それはほかの飲食店でも、事情は似た様なものだろう。  ちょっと手の空いたアレクサンドル老が用意してくれた賄いの食事の載ったお盆を手に、事務所の扉を開ける――ピークは過ぎてすでにフロアはかなりがらがらになりつつあったが、たまにぽっかりと空い . . . 本文を読む
コメント

Black and Black 6

2014年10月31日 00時01分43秒 | Nosferatu Blood
     ‡   「Aaaaaa――raaaaaa《アァァァァァァ――ラァァァァァァッ》!」 咆哮とともに――剣の間合いに踏み込み、一撃でローザの頭部を薙ぐ。切断された髪の切れ端が混じった血糊が飛び散り、びしゃりと音を立てて壁にへばりついた。胸の前で手首を押さえていたローザが鼻から上を削り取られて祈る様な姿勢で膝を突き、そのまま床に崩れ落ちる。  子供のころはよく懐いていたものだが――みずからとど . . . 本文を読む
コメント

Black and Black 5

2014年10月31日 00時00分17秒 | Nosferatu Blood
「わかりました」 アルカードはうなずいて、 「それはそちらにお持ちください――こちらのお客様方には新しいものをお持ちします」  それを聞いて、大皿を手にした女性たちが勝ち誇った様な笑みを浮かべた。大皿を取られた女性たちが不満げに顔を顰めるのを黙殺して、続ける。 「こちらのお客様の盛り合わせ料金はコースから引かせていただきます。そちらはコースぶんの料金と、こちらのお客様方にお出しする追加ぶんの料金を . . . 本文を読む
コメント

Black and Black 4

2014年10月30日 23時59分53秒 | Nosferatu Blood
     *    昨夜の集中豪雨は、関東圏各地でかなりの被害を出しているらしい――土砂崩れが起きた地域もあるし、場合によってはその泥が家に流れ込んだところもあるらしい。  ショベルカーを自在に操って土砂を撤去する作業員を背に、家の軒先が土砂に呑み込まれた六十歳くらいのおじさんがテレビのインタビューに答えている。たまたま帰省していたのか、垢抜けた格好の若い女性に抱っこされた三歳くらいの男の子が玄関 . . . 本文を読む
コメント

Black and Black 3

2014年10月30日 23時59分33秒 | Nosferatu Blood
     *    事務所の扉を開けると、休憩中なのかテーブルに突っ伏す様にしてくつろいでいるパオラの姿が最初に視界に入ってきた――事務所に入ってきたフィオレンティーナに気づいて、パオラが軽く手を振ってみせる。 「休憩?」 「いえ……」 事務所に足を踏み入れると、パオラの向かいでまたしても缶コーヒーを前にテーブルに頬杖を突いているアルカードの姿が視界に入った――居眠りでもしているのか、穏やかに目を . . . 本文を読む
コメント

Black and Black 2

2014年10月30日 23時59分11秒 | Nosferatu Blood
     *    高層ビルの屋上に設けられたヘリポートを、大粒の雨滴が叩く――周囲のビルのビル風が互いに干渉しあって形成された複雑な風に巻き上げられた雨滴が、渦を巻きながら降り注いでくる。  分厚い黒雲に覆われて、月明かりは無い――ヘリパッドの外周に設置された常夜燈の弱々しい明かりだけが、ヘリポートを照らし出している。  頑丈な鋼鉄製の構造材で造られた四角いヘリパッドの中央に、丸で囲まれたHの文 . . . 本文を読む
コメント