Ravelの Boleroを比較した際に、Stardustのダイナミックレンジについても、ふと気になったのでこちらも比較してみることにした。まず手持ちの2枚。上段が JDL-5041、下段が JDL-2082。多少ダイナミックレンジの違いがありそうだが、後半部分の音量が JDL-2082の方が小さいことが目に付く。クラッチノイズがところどころにスパイク状に入っているのが見えるが、これは仕方がない。それよりも曲の長さが違う!

まさかと思ったのだが、エンディングの部分を拡大してみるとさらによくわかった。

JDL-5041の方が7秒ほど早くエンディング。拍手の長さかとも思ったが全体を通して確認すると、確かに JDL-5041が早い。そこで NHK FMで放送されたものも確認しておくことにした。まずは全体のダイナミックレンジ。上段が JDL-5041、中段が JDL-2082、下段が NHK FMで放送されたもの。

NHK FMの音源は後半部分の音量がかなり大きいことがわかる。そしてエンディングはどうだろう。

拍手の長さはやや短めだが、これは放送局側が音量を絞ったのかもしれない。そして速度は JDL-2082とぴたりと一致した。周波数特性からは FMの音源は JDL-5041に似ていると思ったが、速度は JDL-2082に一致した。とりあえずは JDL-5041はカッティングの際の速度もしくはテープ速度が違っていたのではないかと考えられる。
それにしてもカッティングレベルも速度も3者3様。こうなったら初出のレコード原盤を探さねばならないか。
ネットで検索してみると、The Billboard紙の 1954年4月24日の記事が出てきた。ここには look to Decca for Great Rhythm & Blues & Jazzという広告紙面があり、Gene Norman Presents JUST JAZZも掲載されていた。DL 7013 (33 1/3 RPM Long Play); ED 598 (Two Record 45 RPM Extended Play); DAU-815 (78 RPM Album).と書かれていた。
さらに調べてみると、Billboard紙には DL 7013は 1951年2月10日、6月23日、DAU-815は 1952年1月16日にも掲載されていた。2月10日の紙面には、"NEW RELEASES - ALBUMS" として DL 7013が掲載され(10-inch Long Play Microgroove Unbreakable Record・$3.85)、同時に 9-154も掲載されていた。こちらは Four 45 RPM Unbreakable Records・$4.15と記されていた。また、このジャムセッションの発売について、16ページに掲載されている。ということで、Stardustの LP盤の初出は 1951年のようだ。記事には HAMP'S JAM - Decca Issue Out After He Leavesという見出し。つまり Lionel Hamptonと Deccaの契約が終わったということか。6月23日の広告紙面には、NEW ON 78 RPMとして、Gene Norman presents JUST JAZZ Concert LIONEL HAMPTON ALL STARS and THE ALL STARS Selections Include: Star Dust (Four Parts) ― The Man I Love (Four Parts) Decca Album A-815・Four 10-inch 78 RPM Records・Price $4.75と書かれているので、EP盤だけでなく SP盤も4枚組みで発売されていたようだ。
DL 7013の音源は、CDでは The Lionel Hampton Story (PROPERBOX12)という4枚組に収録されている。CDをとりあえず注文したので、入手できたら確認してみよう。