【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

未知なる深海へ 高井 研 =097=

2018-09-28 06:16:32 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇

= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =

 青春を深海に掛けて=高井研=  

 第6話  JAMSTECの拳―天帝編― 

◇◆ 「生命の起源」研究は別腹で! =1/3= ◆◇

JAMSTEC居候の研究員としての任期満了をひかえ、留学から帰国した高井さん。どうやら3年目以降は「正式研究員」としてやっていけそうな言質を得た。しかし、問題はもう一つあった。留学前からの懸案「次に何を研究するか」。高井さんは大きな選択を迫られていた・・・。

二つ目の懸案事項も、今書いた事と関係しているモノだった。

ボクは1997年秋にJAMSTECに来てから最初の1年半で、遺伝子を使った方法論によって、深海熱水環境に始源的な古細菌(アーキア)をはじめ多様な微生物が生息していることを明らかにした。

だが、このころから「次の研究をどーするか」はとても大きな懸案となっていた。結局アメリカへ2回目の留学をするのだが、1年経って実際アメリカから帰ってきたからには「次、どーする」の答えをそろそろ出さないといけない状況だったのだ。

情熱と冷静のあいだ

ボクが最初に深海熱水に魅せられた理由である「深海熱水から地球生命は誕生した」という大きな命題に対して、「どうやら遺伝的に始源的な古細菌(アーキア)が生息している」という確かな一歩は踏み出せた。そして、その始源的な古細菌がナニモノであるかを明らかにするためには、まずソイツらを一撃必殺で培養・分離する事が一番の近道であることは間違いなかった。

しかし、それは極めて難度の高い研究でもあった。

そんな一発勝負(=生命の起源研究)にすべてを賭けるよりは、より現実的で生産的な研究テーマを主食としながら、ギャンブルとして試行錯誤を繰り返すことによって「別腹よね~」的な成果が派生するかも・・・、というやや堅実な目論みがボクにはあったのだ。

つまり「人生は一か八かのギャンブルよ」と「まだまだ勝負所はココじゃない」という情熱と冷静のあいだ、で冷静が上回っていた。

ギャンブル的研究をちゃんと別腹に収められるような、現実的かつ生産的でありながらも面白くかつインパクトのある主食テーマが必要だった。それが「次、どーする」で求めていた答えだった。

ボクのそれまでの研究では、沖縄トラフ(南西諸島の西側に沿った東シナ海の海域)の伊平屋北、伊平屋凹地、さらに伊豆小笠原弧の明神海丘、水曜海山といった熱水活動域の熱水やチムニー中の微生物が対象だった。実は、それらの微生物多様性の比較をしているうちに、同じような熱水噴出孔チムニーであっても、それぞれの熱水フィールドで生息する微生物群集(多様な微生物集団)は大きく違っていることに、ボクは大いに興味を覚えたのだ。

そして、アメリカに2回目の留学をしている時に研究していたテーマも、地下微生物群集が、その生息環境の物理・化学的条件(特に微生物のエネルギー獲得のために用いられる化学物質の存在量や分布パターン)に強くコントロールされるという地球微生物学的研究だった。

母船「よこすか」と潜水調査船「しんかい6500」 (4/6)

 そのラボを出て、船尾方向へ進むと、そこに、しんかい6500がいた。 これか!‼!

  長さ9.7メートル、幅2.8メートル、高さ4.1メートル(これは、垂直尾翼の頭頂部までの高さ)。ざっと、路線バスくらいの大きさ。船上とは思えない、広々とした格納庫の架台に乗っている。これだけ大きくても、でも、乗員は3人。

「私らが乗るのは、このうち耐圧殻という直径(内径)2メートルの球の内部です」

 青いツナギ、潜航服に安全靴という出で立ちで取材陣を出迎えてくれたのは、しんかい6500のパイロット・小倉訓(おぐら さとし)さんだ。直径2メートルの球。深海の水圧に耐えるため、チタン合金製で、殻の厚さは73.5ミリもある。そこに大人が3人。相当狭い。

居住空間は直径2メートルの球体

 全体の大きさの割に、居住空間が狭いのは、他のものが場所をとるからだ。まず、ほかの一般的な乗り物と同じように、乗り物を動かすための装置(ポンプやモーターなど)がある。

 電池もある。しんかい6500は、リチウムイオン電池を動力源とする、電気駆動の船なのだ。バラストもある。バラストとは、おもりだ。しんかい6500は、このバラストがないと、海に浮くように造られている。このあたりは、潜水艦と違う。

「なので、潜って行くにはバラストが必要で、海底に着いたら、ひとかたまりを下ろして、海底を動き、それから浮上するときに、もうひとかたまりを下ろします」 ひとかたまりは、およそ600kg。海底に下ろされたバラストは、潜航番号が記載されているので次回潜航の目印にもなる。

 バリアブルバラストタンクというものもある。ここには、強力なポンプにより周囲の海水を出し入れする。そうやって、潜水船の重量を変化させ、浮いたり沈んだりの微調整をするのだ。

 バラスト以外にも、まだまだ、しんかい6500には装備がある。浮力材。しんかい6500は、バラストがなければ、海に浮くように造られている。とは言っても、金属の塊でもある。浮く工夫がされていなければ、自然に浮いてくるわけがない。

 その工夫が、浮力材なのだ。具体的には中空のガラス球素材を、樹脂で固めたものだそう。これが、しんかい6500には相当量が積まれていて、結構な場所をとっているのだ。

 さまざまな装備があるのだが、やはり興味深いのは、球状の居住空間。中には、椅子はない。乗ったら、寝そべるような格好で過ごすことになる。窓は3つ設けられている。3人の乗員は、ここからおのおの、深海底を眺める。その窓の外には、各種カメラと、折りたたまれた猫の前足のようなものが、2本。

・・・・・・・・つづく・・・・・・・

動画 : 「ちきゅう」10年の軌跡 

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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