〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇
= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =
☠ 青春を深海に掛けて=高井研= ☠
ᴂ 第7話(最終話) 新たな「愛と青春の旅立ち」へ ᴂ
◇◆ ボクの熱意とジタバタだけではどうしようもない問題 =3/3= ◆◇
カンラン岩、アリかもしれない
超マフィック岩体探しのプロの沖野さんが、インド洋かいれいフィールドの付近に、超マフィック岩がある可能性が高いと言うのだった。数日後、その沖野さんからメールが来て、「かいれいフィールドから西へ15km程離れた地形的な高まりが、地殻深部から上部マントルが引きずり出された構造、つまりカンラン岩の固まり、である可能性が高い」というアイデアが書いてあった。
「キタタタタタ←(゜Д゜,,)→タタタタタァ」。
しかし、喜ぶのはまだ早かった。沖野さんはかなりインド洋かいれいフィールド周辺の超マフィック岩ハンティングに興味を持ってくれたようだったが、今一歩、ボクの事を「ウサン臭い関西人」という目で見ているのを、ヒシヒシと肌で感じていたのだ。
他分野の研究者の場合、その人の研究内容や研究履歴がまずよくわからないし、交流の機会も少ないので、どうしても会って話した時の表面的なイメージで判断してしまいがちである。
京都大学出身なのに関西人ノリを寄せ付けないとはどういうことだと憤りを感じながらも、「博士学生の子と姉妹って言われちゃった♡きゃぴ」という彼女のセルフボケに乗じてキョンキョンと呼んでみたら、しばらく沖野さんに無視の刑を食らった身としては、対沖野戦略に慎重になるのは無理もなかった。
これからの地球科学は分野横断が鍵よ!
それから1ヶ月ぐらい後だっただろうか。JAMSTECで、ボクが所属している生物系の研究グループではなくて、岩石や固体地球を研究しているグループのセミナーで発表する機会が訪れた。
そこでもボクは、世界熱水微生物生態系制覇だけでなく、「インド洋かいれいフィールドにはカンラン岩が必要なのだ。異論は認めない」説を熱く語り、仕入れたばかりの沖野説にも言及した。セミナー終了後、一人の軍事オタク風の男が近寄ってきた。
その男は、2000年11月に行われた「しんかい2000」による小笠原弧水曜海山フィールドの調査で船室のルームメイトだった熊谷英憲さんだった。その航海は、かつてない大荒れの海況で、ボクと熊谷さんは、船酔いで死んでいた調査船「なつしま」のザコ部屋の窓が大波に打ち付けられて吹っ飛び、海水がドバーっと浸水してくるという「なつしま沈没未遂事件」をナマ体験した仲だった。
ソファーで今にも吐きそうにぶっ倒れていたボクの身体の上を、大量の海水が美しいアーチをかけて浸水してきた時、そこには燦然と輝く虹まで見えた!と後世にまで伝えられている。
それはさておき、熊谷さんはその時、アメリカウッズホール海洋研究所への留学から帰ってきたばかりで、久しぶりの再会だったのだが、インド洋かいれいフィールドでの超マフィック岩探しには、かなり興味を持ったようだった。
それに熊谷さんとは、「なつしま」のザコ部屋で、熱水の地質学背景と微生物生態系の関わりについて、随分熱く議論して、「地球科学研究者の中では珍しく、すごく広い視野を持ち、生物学に対する理解度が深い学際的な男よ、そらそうよ」という印象を持っていた。
「この男!使える!」
今一歩、沖野さんにウサン臭いと思われているボクではなくて、昔からインド洋の海嶺系の研究に携わってきて、あまり男汁臭のしない(あくまで当社比)熊谷さんなら、「インド洋かいれいフィールドでの超マフィック岩探し」をうまくリードしてくれるに違いない。そう思ったボクは、熊谷さんの人の良さにつけ込んで、「これからの地球科学は分野横断が鍵よ!そういうもんやろ!」と有無も言わせず、ソッコーで共同研究の話を決めてしまったんだ。
朴訥な雰囲気を纏いながらも、JAMSTECの策士=隠し球の名手元木の再来と言われている(嘘です。言われてません)熊谷さんも冷静に、「それもアリよ。くわっ」と思ったかどうかは知らないが、その計画に賛同してくれたんだ。
= しんかい6500パイロットチーム <ベテランが語るパイロットの醍醐味>3/6 =
あの、その頃いろいろあって、とは、どんないろいろですか? 「それはね、要はね、彼女に振られましてね」
おお、なんということでしょう。
潜りたくなかった
「3カ月の航海から帰ってきたら、ほかに、男がいたと(笑)。よくある話です。まあ、船に乗っている3カ月間は、こちらは何も変わらないわけです。でも、陸上ではその間にいろいろなことがある。と思えるようになれたのは、10年くらい経ってからですよ(笑)」
そして、整備の仕事を始め、5年ほどして「潜らないか」と言われた。
「当時は、パイロットと整備と航法管制がわかれていましたが、パイロットは4人しかいなかった。人は簡単に増やせないので、それぞれ、みんなでやろうという話になったんです」
打診されて、どうでしたか。
「潜りたくなかったですよ。怖いでしょう。潜っている人のことは、ちょっと変だと思っていましたから」
パイロットになりたくてなりたくて、まっしぐらに進んできた若手の片桐昌弥さん、池田瞳さんとは、だいぶ違う。
では、今はどうかというと「司令職は、潜れないんですよ」と言う。
司令は、母船よこすかの上で、総指揮をしなくてはならないからだ。
「櫻井さんがいるときしか、潜れないんです」
高校の先輩でもあり、しんかい6500の運航チーム総括でもある櫻井司令が総指揮を担ってくれれば、小倉さんはパイロットとして潜れるということだ。
「今は、潜りたいですよ。やっぱり潜航は楽しいです。特に今は出向の身ですし、ずっといられる現場ではないし、運航チームにいられるうちは潜りたいです」
・・・・・・・・つづく・・・・・・・
動画 :熱水海底下生命圏を調査!(前編)
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