リーキーの発見に世界は興奮しました。メルビル・グロブナーもその1人でした。メルビルはリーキー夫妻に学者としては初のハバード・メダルを授与し、1965年2月号に「アフリカのリーキー家:先史時代の人間を探す家族(The Leakeys of Africa FAMILY IN SEARCH OF PREHISTORIC MAN)」という特集を掲載します。
さらに、1966年にはTV番組「リーキー博士と人類の誕生(Dr. Leakey and the Dawn of the Man)」が大ヒット。くしゃくしゃの白髪頭といたずらっぽい笑顔のリーキー博士はお茶の間でも人気を博し、人類学はナショジオ定番のテーマとなりました。番組の一部はこちらで見られます。ちなみに、赤いシャツを着ている白髪のおじさんがメルビル・グロブナーです。
しかし、滞在日数が残り少なくなったある日のこと。反乱者だった航海士の子孫レンと潜っていたマーデンはついにやりました! そのときの様子を『ナショナル ジオグラフィック』1957年12月号の「バウンティ号の残骸を発見(I found the Bones of the Bounty)」のなかでたくさんの写真とともにレポートしています。
協会がエベレストに興味がなかったはずはありません。何しろ世界でいちばん高い山ですからね。それに1933年8月号には「エベレストを空から征服(The Aerial Conquest of Everest)」という記事を掲載しています。イギリスの軍人である著者のブラッカー中佐は、空撮した写真をたくさん並べつつ、エベレストの山頂を飛び越えたときの様子をこんなふうに書いています。
「あなたはなぜ山に登るのですか?」という質問に対する「そこに山があるからだ(Because it is there.)」という有名な答えは、1921、22、24年とエベレストに3度チャレンジをしたイギリス人、ジョージ・マロリーの言葉です。本来の質問は「あなたはなぜ山に登るのですか」ではなく「あなたはなぜエベレストに登りたかったのですか(Why did you want to climb Mount Everest?)」でした。
にもかかわらず、初登頂から1年以上が過ぎた1954年7月号の「エベレストの勝利(Triumph on Everest)」という特集で、『ナショナル ジオグラフィック』はハントの「包囲と猛攻(Siege and Assault)」とヒラリーの「頂上征服(The Conquest of the Summit)」という手記を掲載しました。
「そうだよ、俺たちはついにこいつをやっつけたんだ!(Well, we knocked the blighter off!)」 『ナショナル ジオグラフィック』ではこうなっていますが、ヒラリーが実際に発した言葉は「そうだよ、ジョージ、俺たちはついにこん畜生をやっつけたんだ!(Well, George, we knocked the bastard off!)」でした。ヒラリーは著書でも素直にこう書いていて、いまではよく知られた表現です。
前置きが長くなりましたけれど、トルストイがダライ・ラマに会った紀行文「チベットを越えてインドから中国へ(Across Tibet from India to China)」が掲載されたのは1946年8月号でした。“トルストイの紀行文”と聞けば、ほら、孫でもちょっとはありがたみがあると思いませんか?(笑)
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2012年8月1日 / (Web編集部)
46年7月号にビキニ環礁で暮らしていた住民の引っ越しのレポートを掲載しています。 タイトルは「さよならビキニ(Farewell to Bikini)」。最初と最後の段落を引用してみましょう。 「1946年2月の中頃のこと。マーシャル諸島のラリック列島にあるビキニ環礁の住民が、突然、現代文明に襲撃された」
その一方で、ネバダの核実験のレポートから半年後の54年1月号には特集「人類の新たなるしもべ、原子力はみんなの友だち(Man’s New Servant, the Friendly Atom)」が掲載されます。サブタイトルは「“飼いならされた”原子力は病と闘い、工場と農場を助け、産業にとって重要な新エネルギー源となるかもしれない(”Tamed” Atomic Energy Fight Disease, Help Factories and Farmers, and May Become an Important New Source of Industrial Power)」
その筆頭が「原子力の時代(The Age of Atomic Power)」でした。こんな書き出しです。 「それ(ロケット)以上にセンセーショナルなのは、原爆によって幕が開いた原子力の新時代だ。 原爆のすさまじいパワーは、想像も及ばない宇宙の営みの力、太陽をはじめとする恒星が膨大な熱を出しながら何百万年も輝き続ける力とほぼ同じである」