〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇
= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =
☠ 青春を深海に掛けて=高井研= ☠
ᴂ 第6話 JAMSTECの拳―天帝編― ᴂ
◇◆ ボクの残り少ない青春をすべて、深海の研究に賭けよう =2/3= ◆◇
「オイ、今更ココから逃げようと思うなよ。誰もやった事のない新しい研究分野を切り開くんだ。もしかしたらなかなかうまくいかないかも知れないが、10年位は腰を据えてやってみろ!」と掘越先生はニヤッと笑って、言ったんだ。
「JAMSTECなんて信じられない」に至る病を発症していたさすがのボクも、これはもう信じるしかないだろうと思った。そして、この3年弱の間、自分なりに戦略を立てて一生懸命やってきた事は決して間違いじゃなかったと確認できて、とても嬉しかったんだ。
戦略というのは二つあった。
一つは、心優しいヤンキーだった幼なじみ友達の金言「ヤンキー(研究者)は最初になめられたらおしまいよ。最初から、がんがんツッパって(研究成果、特に論文発表)いかなあかんやろ」というものだ。これはカッコに置き換えれば、ポスドク研究者にとっても至言といえる。
そしてもう一つは、「今ソコにある現実(いま最速で最大限評価されうる論文になる研究テーマ)と辿り着くべき理想(成し遂げたいと考える研究テーマ)を両立すること」という自分で立てた戦略だった。
特に二つ目の戦略は、最初のアメリカ留学の時、ワシントン大学の研究仲間だったジム・ホールデンが思わず口にした「えっ、大学の研究者なのに論文ないやん!」という言葉に強く影響されているような気がする。
プロの研究者は、国も文化も言葉も違う「世界」と言うステージで勝負している以上、世界共通の開かれたコミュニケーション媒体である研究論文(ピアレビューされた英語で書かれた論文。以下同意)が存在のほぼすべてなのだ。研究者の能力も、夢も、想いも、人間性も、基本的には研究論文のみで理解される、厳しくはあるが屹然とした美しいルールの世界なのだ(とボクは思っている)。
研究論文こそプロの研究者のレーゾンデートル(存在理由)である以上、「オレの挑戦しているテーマは、全人類の知における極めて重大な問題であり、それゆえその解明は簡単ではない。だからその解明に至るまで、オレに論文がないのは仕方ないのだ」という言い訳はほとんど全く通用しない。
もちろん、ボクの尊敬する微生物学者カール・ウーズのように、論文が書けない状況でありながら、自分の信じた研究の成功を信じて10年近く膨大な実験を続けた挙げ句、最終的に偉大な成果=「古細菌(アーキア)の発見」等に結びつけたという例はある。その他の研究分野でもそういう感動とスペクタクルのサクセスストーリーについてよく耳にする。
しかし残念ながら、世界を見渡しても短期的な成果を厳しく求められつつあるような風潮が跋扈する昨今、そういう武勇伝はもはやかなり難しい状況となりつつあると思う。
= 母船「よこすか」と潜水調査船「しんかい6500」 (2/6) =
格調高き「よこすか」船内へ
神棚もある。船の神様・金毘羅さんが祀られている。操舵室の後方には、無線室。ここが、しんかい6500との交信を行う部屋だ。
コックピットのようなたたずまいの「管制表示部」には、受話器が取り付けられている。懐かしの緑電話のような見た目。この水中通話機を使って、しんかい6500に乗船中の人と会話をする。
電話と違うのは、まず、一方通行でしか話せないこと。話し終わったら「どうぞ」と相手の発言をうながす。タイムラグは最長で8秒。ちょっと昔の、テレビの国際生中継みたい。話しにくいことでしょう。
モニターには、しんかい6500のとらえた映像が音響信号で届き、10秒に1度、静止画で表示される。
管制表示部の脇のスペースには、ものものしい鉄の箱が並んでいる。コンピューターだ。これがないと、画像は何も表示されないのである。
階段で、ワンフロア下る。
操舵室の真下には、会議室がある。寄港をすると贈られるという記念品が飾られている。壁画もいい。紅白の梅だ。ここでの会議には「左様ですな」 「御意」などという言葉が似合いそうであるな。このフロアには、船長や機関長、司令等管理職の個室もある。
女性用設備も充実
階段で、さらにワンフロア下る。
ここには、生活空間が広がっている。しんかい6500のパイロットや、研究員の部屋もこのフロアにある。
首席研究員の部屋を覗いてみる。2方向に窓のある角部屋は、4畳半から6畳くらいの広さ。設備は、机と椅子、ローテーブル、コーナー型のソファ、デスク、冷蔵庫、テレビ、ビデオデッキ、ロッカー、洗面台、空気清浄機、そしてベッド。
この首席研究員の部屋、そして船長と機関長の部屋には、ベッドメイキングが入る。「飾り毛布っていうのがあるんですよ」 案内係を務めてくださっている方が言う。
・・・・・・・・つづく・・・・・・・
動画 : 「しんかい6500」世界一周航海「QUELLE 2013」
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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