サンデーたかひろ

絵描き・ながさわたかひろの制作実況 “from Machida, Tokyo”

『愛の水道橋博士』:TARO賞展出品作品

2023年01月29日 | 愛の肖像画

《現在、療養中の博士にエールを送ります》

 2020年10月、芸人(というか著述家、ルポライターでもある)水道橋博士の大著『藝人春秋Diary』が上梓された。芸能界から政界まで、濃い~お歴々の表と裏を描き切ったルポルタージュである。
 東京・高田馬場で催された発売記念トーク&サイン会に参じ「描かせてください!」ご快諾いただき、パシャリ。それからすぐに取りかかり、丸ひと月。一日中、手を入れていた日もあれば、手をつけなかった日もあるが、その間、描きかけの博士は僕の狭い部屋の一角に鎮座し、見つめ見つめられ、鉛筆画が仕上がった。
 見てほしいとTwitterのDM機能を使って博士へ連絡すると「いつでも良いですよ。明日は終日、高円寺界隈にいますし、明後日はパンディットでイベントをしています。そちらでも」という返事。パンディットとは、高円寺のトークライブハウス。明後日のイベントとは、先の衆院選を、これまで無敗を誇ってきた自民党の石原伸晃(いしはらのぶてる)が敗れた“東京8区”からの視点で振り返ろうという企画。演者は8区在住の3人。水道橋博士×畠山理仁(ジャーナリスト)×コラアゲンはいごうまん(石原伸晃にまつわる奇跡のような鉄板ネタをもつ芸人)。迷わずパンディットに向かった。
 18時半開場のイベントで、18時に開場入りするとのこと。そのちょっと前に到着。当然、入り口のドアは閉まっている。でも、すでに中には人の気配。こんなとき扉を開けるのは、いつだってドキドキだ。でも、これまでの経験から躊躇するだけ入りづらくなることも知っている。覚悟を決めてそっと開き、中をうかがうと、視線の先の博士と目が合った。
 「アッ!な、ながさわです。絵を持ってきましたッ!」と叫ぶ。「あ~どうもどうも」と博士。「いまお忙しいようなら、後でまたお声がけします」「いいよいいよ。大丈夫。見せて」と。「ありがとうございます!では…」ガサゴソ「思ってたより大きいねー」「ハイ、気持ちの分だけ」バサッ!「ウッ!うわー、こりゃ凄い!…これ、後ろに置いておこうよ」と、イベントの最中、博士の背後に博士の肖像画が置かれる、というような展開に。つまり気に入っていただけたご様子。嬉しい。
 イベント終了後、博士にあらためて“お言葉“をお願いした。「でも、これには書けないよー」と言う博士に「いや、書いてくれないと完成しないので」と無理くりお願いする。必死だ。「鉛筆とマジック、筆ペン、どれにします?」「ん~じゃあ、鉛筆で。間違えても消すことができるし」と博士。「いや、間違えも正解。そのままで!」「わ、分かった!」そう言って鉛筆を持ち、勢いよく、筆圧強く手を走らせる博士。そうして書いてくれた言葉は、〈出会いに照れるな〉。故・百瀬博教(ももせひろみち)さんの、博士お気に入りの言葉だ。
 「ここ、帽子の汗ジミまで描かれてるね」と博士。「ハイ、博士の背景、その過ごした時間を大事にしたいので」などとは答えられる筈もなく、面と向かい、しどろもどろ。〈出会いに照れるな〉が胸に刺さる。でも、そんな自分だから絵を描くのだ。思いは絵の中にある、きっと汲んでもらえてる。そう信じる。
 「いつでもなんでも相談してよ」と博士。ありがとうございます!好きなアノ人とのコラボシリーズ、新作『愛の水道橋博士』完成!

 

(2021年11月22日了)

 


 

第26回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)展の出品作品です。
会期までに作品テキストを小出しに更新していきます。
会期は、2月18日(土)〜4月16日(日)
場所は、川崎市岡本太郎美術館
です。

ぜひ見に来て下さい!

 

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