サンデーたかひろ

絵描き・ながさわたかひろの制作実況 “from Machida, Tokyo”

『愛の近田春夫』:TARO賞展出品作品

2023年01月15日 | 愛の肖像画

(2019年2月28日了)

 前作『愛の安齋肇』が完成したトークイベント「空耳人生 友の会」。その日のゲストが、なんと近田春夫さん!
渡りに船…いや、これを安齋さんからのプレゼントと受けとめ、その場でお願いし、お写真を撮らせていただいた。
何しろ、6年越しで再び巡ってきたチャンスだった。

 6年前、2012年の12月30日。NHKラジオ第1で、いつもは金曜午後に放送されている『ロックンローラー近田春夫の歌謡曲って何だ?』の特番が、
東京タワーの展望台に設置されたクラブ333特設スタジオから生放送され、僕のリクエストが読まれた。
「“絵描き・ながさわ”さんからのリクエスト『レディハリケーン』!但し、今日は、かけませんけど~」
この言い回しはこの番組のお約束で、僕はこの時、近田さんの“目の前”で嬉々としてそれを見ていた。そう、この公開生放送を見に行っていたのだ。

(右端でカメラを構えているのが僕)

で、番組の放送前に近田さんにご挨拶し、「近田さんを描かせて下さい!」
そしたら「いいよ~」って。お写真を撮らせてもらうことに成功!

これを『近田春夫に褒められたくて』として銅版画にするつもりが、あとあと撮った写真を確認して青ざめた。すべてブレブレ!
よっぽど緊張していたんだと思う。泣く泣く断念せざるを得なかった。

 でもすでに描くということは伝えているわけで、その後またチャンスをうかがっていたものの、しばらくは空振りが続く。
そして数年が経ち、2018年3月7日に催されたのが、パール兄弟の年イチ恒例ライブ「金・銀・パール ~パールとビブラトーンズ~」。
ビブラトーンズ… つまり、ゲスト近田春夫!

 ◀︎ サイコー!

近田さんが公の場で歌うのは久々だったし、この機は逃せない!と、パール兄弟のサエキさんに連絡をとった。

 ◀︎『美術手帖』2013.4月号より

サエキさんとは『サエキけんぞうに褒められたくて』でお世話になって以来だったのだが、快く…か渋々かも分からないけれど、
とにかく気持ちを汲んでいただけて、楽屋入りを許してもらえた。
で、とりあえずそばまで近づくことはできたのだが、このときも足がすくんじゃって、結局お願いできず終い。
スタッフが集合写真を撮ってるところを遠巻きに撮るのがやっとだった。情けない。

(その日のことを描いた『オレ新聞』)

 しばらく休業状態だった近田さんの音楽活動がここらから活発化し始め、
10月31日、何年かぶりの新作『超冗談だから』リリース!

HMV record shop 渋谷で発売記念トークショー&サイン会があると知り、オレ新聞を引き伸ばしたパネルを持参、
それにサインをもらうことで良しとするつもりだったんだけど、いざもらってみて、

「それは違う!」と、家に帰って猛省した。もちろんこのパネルはグッドだけど、そういうことではないのだ。

(この日の『オレ新聞』)

 そんな折の「空耳人生 友の会」で、三たび四たび訪れしチャンスだった。
「オレをもっと正面から、ちゃんと描けよ」近田さんにそう言われてるような気がして、このとき、素直に「描かせて下さい」と伝えることができた。
『愛の安齋肇』の幸福なフィナーレ直後だったということが大きかったと思う。

 絵はその翌日からすぐにとりかかった。というのも、2月28日に近田さんの、
今度はベストアルバムリリースと“お誕生日パーティ”を兼ねたイベントが決まっていたから。

 

2月28日

16:40 渋谷〈eplus LIVING ROOM CAFE&DINING〉へ向かう。
エレベーターを降り、店員さんをつかまえて、
「今日出演される近田さんにお会いしたいのですが」
「お約束ですか?」
「いえ、先日お写真を撮らせていただいて… 絵を描いて来たんです。それを見ていただきたくて」
「少々お待ち下さい」
と、なんともスムーズに取り次いでもらえた。こんなのって相手にされないことも多い。店員さん次第なんだ。
すると突然ご本人が現れて、
「アッ!せ、先日、安齋肇さんのイベントでお写真を撮らせていただいた絵描きです。近田さんを描いた絵をお持ちしました。見ていただけますか?」
「じゃあ、中へ入りましょうか」とお付きのお姉さん。ちょうどリハーサルを終えたところだったらしい。タイミングが良かった。
「ありがとうございます!」

 で、いざ近田さんを前にして、ここでもやっぱり手がおぼつかなくなり、絵を出すのにモタモタしちゃって
「す、すみません。いますぐに出しますので(とかなんとか。心臓バクバクしながら)…
近田さんに“褒めて”もらいたくて、気持ち込めて描きました。見て下さい!」と絵を差し出す。

すると近田さん、しばらくの間じっくり見やり「いいね~」と一言。ホッ。
隣りのお姉さんに「なんか書くもの、持ってきてくれる?」と。
「いや、持ってきました!」と僕。4Bの鉛筆を差し出す。そして記していただけた言葉、

自分のこんなにすてきな表情!! はじめて見たよ

と。嗚呼、なんという… 泣。

18:30「近田春夫リビング秘密党結成!お誕生日パーティ」開場。
自分はステージ前、左寄りの席。開演前も終演後も、近田さんもフロアにいて、終始アットホームな雰囲気なるも、
人が行き交うこの中で、果たして絵を差し出すことができたかどうか。それって大迷惑と紙一重だし。
怖気づき、また何も言い出せずに帰路についていたかもしれない。
パーティ前に見ていただくことができて本当に良かった。店員さんに感謝。安齋さん、サエキさんに感謝。
そして近田さん、本当にありがとうございます。これからも着いていきます!

 


 

第26回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)展の出品作品です。
会期までに作品テキストを小出しに更新していきます。
会期は、2月18日(土)〜4月16日(日)
場所は、川崎市岡本太郎美術館
です。

ぜひ見に来て下さい!

 

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