「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

友とするにわろき者

2005年02月17日 | 塵界茫々
徒然草  第百十七段 
 友とするにわろき者、七つあり。一つには、高くやんごとなき人。二つには若き人。三つには、病なく身強き人。四つには、酒を好む人。五つには、たけく勇める人。六つには虚言する人、七つには、欲ふかき人。
 よき友三つあり。一つには、物くるる友。二つには医師。三つには、智恵ある友。

 これで全部です。「友とするに悪ろき者」の中で一つめ、二つめは、たとえ、「わろく」ても、友として望むべくもありませんが、振り込め詐欺でもしない限り、六、七は人間として俗世にあればそこそこでしょうし、五つめは、もはや縁がないので、問題は三つめと四つめです。四つめも、歳とともに自分でも驚くほどの酒量のおとろえですので、自覚して、友人に迷惑をかけることはもはやなさそうです。
 とすると、三つめが問題です。年に一度くらい「食べ過ぎました。」「風邪のようです。」と罹りつけのお医者様を煩わすぐらいですから、立派な該当者です。これは自分の自覚でぐらいではなんとすることもできません。
 同窓会に出席しても、この歳になると、病気の報告会よろしく、あちこちの不具合が展開され、かつて膝の具合が悪かったときには調子を合わせることもできたのですが、どこにも故障がないと申し訳ない気分になります。やはり共に語るに足らぬ「わろき者」なのでしょう。
 そして、兼好のいいたいのは、頑健な身体に恵まれた者には、どうしても弱者への思いやりが欠けることが多いこと、自分の健康を恃む思いのあることを戒めるところにあるのでしょう。そういえば、かの仙崖和尚も、としよりの見苦しさの中に「達者自慢」を挙げていました。

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いくつになってもモンクなしに (健康が一番)
2005-02-18 20:34:57
年寄りで元気な人は尊敬に値しますね。

それ相応の努力をされた結果だと思いますので。

体力相応の若い人の中にいるのがいいと思いますが如何でしょう?

でも、思いやりの戒めは、本当に大事でしょうね。

返信する