「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

捨てる

2005年05月01日 | 塵界茫々

 残り時間を考えると、積年のもろもろの「もの」を捨てなくてはいけないと痛感しています。頭ではよく理解しているのですが、現実には、すべてに耐乏を余儀なくされ、ないないづくしの生活を送ってきた青年期以来、ものを捨てることを忘れた生き方をしてきました。

この歴史は一朝には身から取りさることは困難で、「いつか、何かの役に立つ」と考える思考回路に娘が呆れています。
 空き箱、空き缶から始まって、サイズの合わなくなった服に到るまで、空間を塞いでいます。本だけは新刊の場所を確保の必要から、悩みぬいた末、三分の一を捨てました。

 若い人たちの生活をみていると驚くほどの明快さで惜しげなく廃棄していきます。先日マンションを移るにあたって、孫は16年分の荷物がダンボール箱3個だけだったようで、さすがに母親の娘も驚いていました。

 この歳になると、欲しいものが減ってきて、できるだけ買わないことにストレスはありません。旅をしても消耗してしまえるものしか買わないことにしています。後は捨てるだけです。

 新しい年度だからと思い、荷物を捨てようと整理を始めてみて、我ながら捨てられない症候群が重症であるのにうんざりして、いっそ全部を捨ててしまうというのはどうだろうかとさえ思案しています。
 改めてどうしても必要なものだけを買ってくるというのはどうでしょう。今日も整理途中の、片付かない雑多な「もの」の中です。