「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

歌会始の儀

2005年01月16日 | みやびの世界
 皇居正殿、松の間で行われた歌会始の儀の中継をみました。
 室町時代以来の宮廷行事であったものが、戦後は広く一般人の詠進歌も参加できるようになっています。今年は27000余首が寄せられたそうです。選歌10首の披講を聞いていて、まだこんな世界が残されていたのかと驚きました。
 「としのはじめにーーーー、同じくーーーー「歩み」-ーーーと言うこと、仰せごとによりて詠める歌」,「中田の久美子」と独特の節回しで読師が読み上げ、歌も一句ごとながく語尾をのばしてゆったりと講頌されてゆきました。姓名の読みも柿本の人麻呂という言い方と同じです。
 選ばれた歌はそれぞれの暮らしをうたった優れたものでしたが、読師(どくじ)、講師(こうじ)、召人(めしうど)など、王朝の歌合せそのままの用語がつかわれて進行する儀式の,みやびの世界に現実を一とき忘れました。
 同じ日、小型探査機ホイヘンスが土星最大の衛星タイタンの大気圏に突入、地表に着地したニュースがもたらされました。350年ぶりにその素顔があきらかになるかという、こちらも宇宙の壮大なロマンの世界です。来年のお題は「笑」です。