「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

初づくし

2005年01月05日 | 塵界茫々
お正月には「初」の字のつく言葉をよく見かけます。初春、初日の出、初詣、初夢、初荷、初売り、初稽古、初釜、、初昔、初空と際限もありません。
はては星野立子の句に
 初電話ありぬ果たして父の声
という一句もあります。父、高浜虚子から、嫁した娘へ、毎年の年賀の電話があったのでしょう。今は初メールもありますよね。
幼い日の記憶に、初荷の賑わいがあります。白地に「初荷」と墨で書かれ、笹竹に吊るされた幟がはためいて、法被姿の人たちが手締めをし、お神酒が振舞われ、見物の子供たちにおひねりが渡された風景は、もう物流の変化と、高速道を使う運搬方法では、消滅も当然でしょう。「今は昔」の思い出の一こまです。
せめて、初の字にこめられた「年改まる」の思いが生んだ独自の言の葉は、裡にこめられた願いとともに大切にして伝えたいものです。
後四日で初場所、郷土力士、魁皇の健闘を切望しています。