今月29日に藤沢で恒例の年末ライブに出演させてもらってきました(写真)。
今年もあと1日で終わりますが、とりあえず本日、今年もお世話になりましたお客様に深く感謝いたします。ありがとうございました。
平成大不況の波を楽器の世界でも大きくかぶっているようで、弊店も例外ではありません。まあもともとユーザーの絶対数が少ない世界なので、開店後もう数年たちますがまだまだずっと赤字でして、実際来年こそは黒字にしたいと強く思っています。移転先もまだ見つからないのも焦ります・・・。
そんな厳しい中でもなんとかやっていられるのは、やはりまだ日本ではまったく少数派もいいところの中東楽器群をなんとかもう少し知らしめたいという使命感だけですね。
ちなみに、以下は最近知った日本での楽器の演奏人口です(すべて概数)
チェロ→3万人
バイオリン→10万人
ブラスバンド(管楽器群)→100万人(現役の数。OB・OGを含むと500万人)
ピアノ→200万人
ギター→650万人
だそうです。いやー、やはりギターはクラシックからフォーク、エレキと様々なだけにダントツですが、予想通りピアノやブラバン関係が強いですね。
若者に人気がない純邦楽でさえも、いや、最近は津軽三味線が大人気だから増えてますね、三味線は約4~5万人では、と言われています。
で、ウードの親戚である西欧のリュートはと言いますと、だいたい200から300人ではないかと言われているそうです。近年結構な人気もありますし、個人的にはもう少し多い気がしますが。
さてウードやサズですが・・・。統計はどこにもないのでわからないのですが、自分の手応えから察するとリュートの半分以下は確実でしょう。演奏はせずにお土産レベルの物をおいてあるだけ、という人を入れても100人? 演奏人口は数十人?
そんな感じがします。いやはや・・・。
すごい差ですよね。私はこの楽器に関わっているということを別にしても、やっぱりあまりにアンバランスだと思います。
これについて話し出すと、明治以降の西欧化教育や第二次大戦後のアメリカ文化など止めどもなく成ってしまうのですが・・・。
やはり、存在自体が知られていない、ということが一番の理由ではないかと思います。とにかく学校教育(音楽の教科書など)でも目にしないし、マスメディアでも一般的な媒体にはまず普段は出てきません。
また、存在を知ってその魅力を理解した場合でも「演奏が難しいのではないか」といった心配をする人が多いようです。でもシタールは日本の演奏人口は数千人と言われています。
「民族音楽の特殊性」ということで普遍的な楽器ではないからと敬遠する人もいます。でも二胡や沖縄三線も統計は出ていないようですが、これまた数千人~数万人はいるはずです。
あとは勝手に「民族楽器=素朴なだけで、本格的な楽器ではない」という思い込んでいる人も少なくなく、また、ときどきカチンと来るのが「へえ、十万以上するウード?! 高すぎでしょ! 現地なら日本円で数千円だよ!」とか面と向かって言われる場合。まあ無知な人ほど知ったかぶる傾向があるのであまり腹も立ちませんが、ウードなどは現地でも基本的に「高価な楽器」というイメージであり、プロ用では現地の演奏家も日本円に換算して数十万円の楽器を普通に購入しています。70万~80万、それ以上のウードも珍しくありません。イランでもプロ用の高級器はやはり日本円にして数十万円、ヴァイオリンやギターを考えたら、ちゃんとした楽器が桁違いに安く作れるわけがないわけで、本当に製作家に対して失礼な話です。もちろん単なる土産物レベルならば数千円の楽器は現地ではよく見かけますが。
また、中東諸国の一般的な物価から考えて勝手に決めつけるのでしょうが、それらに反してトルコなどは物価はかなり高くなってきており、サウジアラビアなどの湾岸諸国も物価は高めです。実際に旅行で行った人はわかるでしょうが、そうでないと未だ「欧米=生活水準も物価も高い、中東=生活水準も物価も低い」などという偏見でものを見がちです。
先日いらっしゃったお客様はリュートをやっておられて、最近ウードにも手を伸ばした、とおっしゃっていましたが、替え弦は1セット2万~3万円はするそうです。ウードと弦の数はそれほど変わらないのですが、材質が相当に良いのかもしれません。もちろん、それもここでなにやらけちを付けるつもりは毛頭無く、その価格もユーザーの少なさからいって当然でしょう。ただ、弊店でウード弦セットは2千円台からありますが、それでも手にとって「高すぎる!」と憤慨されたことがあります。市場原理をわかっていない人が多すぎるのです。それでなくとも、クラシックギターの弦でも1セット数千円は珍しくないですし、ウードの場合は複弦なので単純にでも2倍ですからね。
上で述べたように中東への偏見もまた感じたことがありまして、トルコからの楽譜集を仕入れ値段そのままで(利益ゼロ。本の裏表紙にはトルコリラで価格が印刷されていました)出しておいたことがあるのですが、楽器フェアに来ていた欧米人が値段を尋ねたので教えると、「信じられん! こんなものにそんな高い値段だと? 暴利だな!」と一方的に怒って立ち去った、というまるで鳩が豆鉄砲を食ったような経験もあります。
いろいろな意味で日本(だけでもないですが。西欧も含め)の音楽風土と人々の先入観が変わらなければだめだな、と思っています。
絶対数が少ない以上、採算が合わないので楽器自体の価格をもう少し上げないとこのまま赤字は続くでしょうし、いつまでやっていられるかわかりません。ですが、やはりなんとか押さえた値段で、一人でも多く演奏を始めたいと思う人が増えて欲しいので、苦しいところをなんとかやっています。
ですので、来年の抱負は、とにかくもっともっと知ってもらって、もっともっと手にしてもらう、これだけです。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。良い年をお迎えください。
今年もあと1日で終わりますが、とりあえず本日、今年もお世話になりましたお客様に深く感謝いたします。ありがとうございました。
平成大不況の波を楽器の世界でも大きくかぶっているようで、弊店も例外ではありません。まあもともとユーザーの絶対数が少ない世界なので、開店後もう数年たちますがまだまだずっと赤字でして、実際来年こそは黒字にしたいと強く思っています。移転先もまだ見つからないのも焦ります・・・。
そんな厳しい中でもなんとかやっていられるのは、やはりまだ日本ではまったく少数派もいいところの中東楽器群をなんとかもう少し知らしめたいという使命感だけですね。
ちなみに、以下は最近知った日本での楽器の演奏人口です(すべて概数)
チェロ→3万人
バイオリン→10万人
ブラスバンド(管楽器群)→100万人(現役の数。OB・OGを含むと500万人)
ピアノ→200万人
ギター→650万人
だそうです。いやー、やはりギターはクラシックからフォーク、エレキと様々なだけにダントツですが、予想通りピアノやブラバン関係が強いですね。
若者に人気がない純邦楽でさえも、いや、最近は津軽三味線が大人気だから増えてますね、三味線は約4~5万人では、と言われています。
で、ウードの親戚である西欧のリュートはと言いますと、だいたい200から300人ではないかと言われているそうです。近年結構な人気もありますし、個人的にはもう少し多い気がしますが。
さてウードやサズですが・・・。統計はどこにもないのでわからないのですが、自分の手応えから察するとリュートの半分以下は確実でしょう。演奏はせずにお土産レベルの物をおいてあるだけ、という人を入れても100人? 演奏人口は数十人?
そんな感じがします。いやはや・・・。
すごい差ですよね。私はこの楽器に関わっているということを別にしても、やっぱりあまりにアンバランスだと思います。
これについて話し出すと、明治以降の西欧化教育や第二次大戦後のアメリカ文化など止めどもなく成ってしまうのですが・・・。
やはり、存在自体が知られていない、ということが一番の理由ではないかと思います。とにかく学校教育(音楽の教科書など)でも目にしないし、マスメディアでも一般的な媒体にはまず普段は出てきません。
また、存在を知ってその魅力を理解した場合でも「演奏が難しいのではないか」といった心配をする人が多いようです。でもシタールは日本の演奏人口は数千人と言われています。
「民族音楽の特殊性」ということで普遍的な楽器ではないからと敬遠する人もいます。でも二胡や沖縄三線も統計は出ていないようですが、これまた数千人~数万人はいるはずです。
あとは勝手に「民族楽器=素朴なだけで、本格的な楽器ではない」という思い込んでいる人も少なくなく、また、ときどきカチンと来るのが「へえ、十万以上するウード?! 高すぎでしょ! 現地なら日本円で数千円だよ!」とか面と向かって言われる場合。まあ無知な人ほど知ったかぶる傾向があるのであまり腹も立ちませんが、ウードなどは現地でも基本的に「高価な楽器」というイメージであり、プロ用では現地の演奏家も日本円に換算して数十万円の楽器を普通に購入しています。70万~80万、それ以上のウードも珍しくありません。イランでもプロ用の高級器はやはり日本円にして数十万円、ヴァイオリンやギターを考えたら、ちゃんとした楽器が桁違いに安く作れるわけがないわけで、本当に製作家に対して失礼な話です。もちろん単なる土産物レベルならば数千円の楽器は現地ではよく見かけますが。
また、中東諸国の一般的な物価から考えて勝手に決めつけるのでしょうが、それらに反してトルコなどは物価はかなり高くなってきており、サウジアラビアなどの湾岸諸国も物価は高めです。実際に旅行で行った人はわかるでしょうが、そうでないと未だ「欧米=生活水準も物価も高い、中東=生活水準も物価も低い」などという偏見でものを見がちです。
先日いらっしゃったお客様はリュートをやっておられて、最近ウードにも手を伸ばした、とおっしゃっていましたが、替え弦は1セット2万~3万円はするそうです。ウードと弦の数はそれほど変わらないのですが、材質が相当に良いのかもしれません。もちろん、それもここでなにやらけちを付けるつもりは毛頭無く、その価格もユーザーの少なさからいって当然でしょう。ただ、弊店でウード弦セットは2千円台からありますが、それでも手にとって「高すぎる!」と憤慨されたことがあります。市場原理をわかっていない人が多すぎるのです。それでなくとも、クラシックギターの弦でも1セット数千円は珍しくないですし、ウードの場合は複弦なので単純にでも2倍ですからね。
上で述べたように中東への偏見もまた感じたことがありまして、トルコからの楽譜集を仕入れ値段そのままで(利益ゼロ。本の裏表紙にはトルコリラで価格が印刷されていました)出しておいたことがあるのですが、楽器フェアに来ていた欧米人が値段を尋ねたので教えると、「信じられん! こんなものにそんな高い値段だと? 暴利だな!」と一方的に怒って立ち去った、というまるで鳩が豆鉄砲を食ったような経験もあります。
いろいろな意味で日本(だけでもないですが。西欧も含め)の音楽風土と人々の先入観が変わらなければだめだな、と思っています。
絶対数が少ない以上、採算が合わないので楽器自体の価格をもう少し上げないとこのまま赤字は続くでしょうし、いつまでやっていられるかわかりません。ですが、やはりなんとか押さえた値段で、一人でも多く演奏を始めたいと思う人が増えて欲しいので、苦しいところをなんとかやっています。
ですので、来年の抱負は、とにかくもっともっと知ってもらって、もっともっと手にしてもらう、これだけです。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。良い年をお迎えください。