エマズ・ブログ

エマズ・マーケット(ウードやサズなどの販売・修理調整・レッスン)の店主による、音楽ネタのブログです。

「ロックする」ウード奏者ハジ・ユーネス

2008年07月24日 | Weblog

「ロックするウード奏者(形式としてのロックを演奏するわけではなく、ロック的なドライブ感を感じさせる演奏をする人)」といえば、アバディが有名ですが、このモロッコの奏者ハジ・ユーネスもかなり「ロック」しています。
ここではスペインものをメドレー的につなげていますが、少々荒っぽさもあるものの、迫力に満ちた演奏です。なぜかトーンにブルース・ギターっぽさを感じてしまいました。

ウード+ギター、ベース、ピアノ、パーカッション

2008年07月20日 | Weblog


ウード界のサラブレッドこと、オマル・バシールのこれまた素晴らしい演奏です。
イージー・リスニングっぽいなどと批判する人もいますが、全然そうは思いません。
聞きやすいけれども、イージー・リスニングとは似て非なるソウルとドライブ感!
いいですねえ。


こちらは、父ムニール・バシールの曲をやっています。でも2世とか親の七光りみたいなものをまったく感じさせないのがさすがです。オマルはあくまでオマルです。

サズの新ラインアップ

2008年07月17日 | Weblog
前回イスタンブールに行った時に訪れた製作工房と注文の詰めが終わり、いよいよ製作が始まります。父親の代から製作をしている、評価の高い由緒正しい工房です。伝統を守りつつ、フラットボディのサズなど、新しい意欲的な楽器なども製作したり、とてもエネルギーにあふれた人たちです。
写真は、彼らの楽器乾燥室。何年も自然乾燥させた木材を、ボディにした後またここで長く乾燥させます。
楽器の到着をどうぞお楽しみに。

イラクのウード奏者 サード・マムード・ジャワド

2008年07月16日 | Weblog

トルコのウード奏者/作曲家のシェリフ・ムヒエッディン・タルガン(2008年04月01日の記事を参照)の難曲をスムーズに、またテクニック至上にならず情緒的に演奏しています。


ジャミル・バシールの名曲「ラクサティ・アル・ムファッダラー」も新鮮な解釈の演奏です。


完全指弾きで創作フラメンコにも挑戦しています。右手の人差し指と中指による1,2コースの16部音符連弾が音の粒が揃わずリズムもズレぎみで、ちょっとやりにくそうですが、これはウードの弦のテンションがギターより弱いこと、フレットがないために音が切れにくい、そのため指が引っかかりやすい、という理由に思われます。実際にやってみるとそうです。リーシャで弾けば全然問題ないのですが。
しかしよくこんなにキレよくコードを弾けるものです。

訃報

2008年07月11日 | Weblog
トルコの製作家、ハルク・エライディン氏がお亡くなりになりました。
突然の悲報に大変なショックです。享年70歳でした。
トルコのアイドゥン在住のハルクさんの友人から連絡をいただき知りました。取り急ぎ奥様に電話してお悔やみを申し上げたのですが、当然ながら大変に落胆されており、こちらももう言葉が出てきませんでした。
柔和な笑顔を思い出して、もう永遠に会えないのだと思うと涙が止まりません。
つい最近までとても元気で、まったく夢にも思いませんでした。わずかな体調不良で入院され、急激に悪化してしまったそうです。「今年の夏は暑い」と聞いたので、日本の扇子をプレゼントに贈っていたのですが、入院後に届いたそうで、もう使ってもらうことはなくなってしまいました。

サズとウード製作家としてだけでなく、歳は離れていましたがよき友人として本当に暖かく接してくれました。
アイドゥンにしばらく滞在した時、彼の工房でさまざまな修理・調整の技法などを教えてもらうことができたのは、私の誇りです。その時に渡された自筆のサズのフレット間隔尺は一生の宝物です。
イズミール空港まで車を運転して迎えに来てくれたとき、なかなか見つからなくて、「和服で来ると思ったのでキモノの人を探していてわからなかったよ(自己紹介の写真を和服のもので送っていたため)」と笑って握手してくれたのが昨日のように思い出されます。
日本のことは映画『ショーグン』を通して見聞きしていて、最初から私のことを「さん」づけて呼んでくれました。こちらは「ハルク・ベイ(トルコ語で「さん」にあたります)」と呼び返していました。
いつかご夫婦で日本を訪れたい、とおっしゃっていて、私も大変楽しみにしていたのですが、かなわぬ夢となってしまいました。

製作家としてもちろん一流で、彼の楽器は例外なくしっかりした作りと奥の深いサウンドを誇り、国内外で定評がありトルコでも5本の指に入る人だったのは間違いありません。温厚で誠実な性格でありながら、こと楽器に対しては大変に厳しい姿勢でした。そこがまた尊敬できるところでもありました。

素晴らしき友人として、また卓越した製作家として、彼を失ったのは大きな悲しみです。また、彼の優れた楽器を手にすることももはやできません。でも、彼は日本でサズやウードが広まるのを願ってエマズ・マーケットにも多大な協力を惜しみませんでした。今後、当店も微力ながらこの素晴らしい楽器を広めることに貢献できるなら、それはハルクさんが喜んでくれることのはずです。そう信じてやっていきます。

ご冥福を心よりお祈りいたします。


正しい指関節の角度 その2

2008年07月02日 | Weblog
改めて確認したら、ムトゥルー・トルンの教則本にちゃんと載っていました。
それぞれ右側が「悪い形」、左側が「良い形」です。
赤で囲んだ部分が今回クローズアップしている内容です。
骨格まで描かれていて良くわかりますね。
やはりあらゆる面で、関節に対して無理をかけるフォームが悪いのが納得できます。
下手すると腱鞘炎やさまざまな障害の原因になるでしょう。ちょっとでも無理なフォームになったらすみやかに矯正するのが大事です。