エマズ・ブログ

エマズ・マーケット(ウードやサズなどの販売・修理調整・レッスン)の店主による、音楽ネタのブログです。

いよいよ楽器フェア!

2007年10月28日 | Weblog
 楽器フェアの準備で最近忙しいのですが、ようやく一段落。
あとは楽器搬入を待つだけとなりました。初めての出展なので、どのような展示にするかあれこれ考えたのですが、当初予定していた「なるべく多くの種類の楽器を」から「ウードを主力に」に変えました。というのは、とにかくまず、まだまだ知られていない楽器であるウードを認知してもらういい機会だと考えたからです。あれこれ拡散するよりもポイントを絞ろうとも思ったわけです。

 ということで、ウードの展示と試奏、また、ミニ・レッスンの時間も設け、基本マカームを体験しようみたいなことを予定しています。
 あと、ウードをはじめいろいろプレゼントが当たる企画も用意しておりますので、ぜひ11月1日~4日に横浜パシフィコで開催の楽器フェア、弊店のブースまでお越しください。お待ちしております。

古代エジプト~古代ギリシア~マカーム?

2007年10月04日 | Weblog
黒いアテナ―古典文明のアフロ・アジア的ルーツ (2〔上〕)
マーティン・バナール,金井 和子
藤原書店

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 前回の記事で、いわゆる一般的に言われている仮説=古代ギリシアの音楽がアラブ音楽に大きな影響を与えている、というものを紹介しましたが、しかし、10年ほど前に発表されて大きな論争を呼んだこのバナールの仮説を音楽まで敷衍すると、逆かもしれない、と思います。

 古代ギリシア文明は、北方からやってきたアーリア人が他の文明に関係なく独自に築いたものである、という見解。これが、昔からあった正しく常識的な見方であると、多くの現代人は思っています。
 我々も学校の世界史の授業で習ったとおり、「古代ギリシア文明は、北方からやってきたアーリア人が他の文明に関係なく独自に築いたものである」というのが正しいと思っています。
 しかし、この本の著者であるバナールは、紀元前4000年か2000年にかけて北方の白人系人種がギリシアに侵入し原住民となり、紀元前2000年から1500年の間に、エジプト人とフェニキア人がギリシアを植民地化した、と主張しています。
 古代ギリシア文明は、実は非白人の文明である古代エジプト文明の借り物で、ヨーロッパ人は近代近200年の間にこの事実を隠して歴史を改竄した、というものです。
 ヨーロッパ人は、自分の文明的ルーツを古代ギリシア文明に求め、それを根拠に白人優越主義のイデオロギーを形成していますから、このバナールの仮説はタブーに触れる大変なものだったわけです。
 
 大変に説得力のある書物なので一読をお勧めします。
 ウードの起源もいまだ古代エジプトのネフェル、古代ペルシャのバルバットからの系譜は仮説でしかないし、まだまだ謎に包まれています。マカームに影響を与えたと考えられている古代ギリシアの音階研究は実は古代エジプトがそのルーツであった、と考えるとなかなか楽しいですね。それがエジプトのアラブ音楽にまた繋がったというのは先祖がえりとも言えるわけで。
 そう考えると、今耳にするアラブ音楽には古代ギリシアのみならず、いにしえの古代エジプト音楽の面影を宿しているのかもしれません。