イランのウード(かの国ではバルバットと呼ばれます)教則VCDですが、女性のウード教師がうっとりするようなエレガントな演奏で丁寧に教えてくれます。
気が付いたのは、運指が、標準的なものとやや異なり、人差し指と中指を多く用い、場合によっては薬指が来るべき場合にも中指を使うことが多い、ということです。
標準的な運指というのは、ギターで言うと半音づつあるフレットの第1フレットの位置は人差し指、第2フレットは中指、第3フレットは薬指、第4フレットは小指、というポジションになり、これがポジションを高音側にずらしていっても同じ原則で指を用います。
でもこのVCDの先生の場合は、前述したような指使いを用いる場合もあるのです。
自分で試してみても、確かに場合によっては異なった指使いのほうが弾きやすい場合もあるようです。
思い出したのが、ジャズの名ギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトです。ジプシー・スウィング(マヌーシュ・スウィング)でおなじみですね。
18歳の時に火事によって左手の薬指と小指が動かなくなってしまうというハンディを乗りこえて、まったく独自の音楽を編み出した素晴らしいミュージシャンですが、彼のビデオを見てもやはりほとんど人差し指と中指しか動かしていません。でも流麗なフレージングは素晴らしいです。マニアは同じようにわざとその2本指だけで演奏する足かせを課したりするようですね。
和音を多く使い、指使いも当然厳密にならざるを得ないリュートやクラシックギターに比べると、ウードは奏法がむしろジプシージャズ・ギターあたりのほうがよっぽど近しい感じもあるので、指使いはある程度幅があるような気がします。