竹林の愚人  WAREHOUSE

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パンダ通

2008-01-31 07:42:54 | BOOKS
黒柳徹子 「パンダ通」 朝日新書 2007.10.30. 

パンダは、生きた縫いぐるみとよく言われている。真ん丸の体に3頭身。フワフワした容姿に、おっとりとした仕草。眺めているだけで、心癒される。 子供のころに撮られた自分の写真を見ていると、私はいつでも縫いぐるみと一緒にいた。叔父が買ってきてくれた縫いぐるみ。白と黒のユニークな模様は、デザインだと思っていたら、あるときどうも中国に生きている動物でパンダというのがいるらしいという。 チチというパンダが1957年にロンドン動物園に来てからは、日本にもパンダの情報が5年に一度くらい写真で入ってくるようになり、数少ないパンダの情報を見つけては、宝物のように、大事に、大事に、スクラップした。 1960年代の末、中国へ行く作曲家の團伊玖磨さんに「パンダを見てきて」とお願いしたら、広州の動物園にわざわざ出向き、パンダの様子を教えて下さった。 飼育係がパンダの性格を見るために手にした箒の柄でパンダを押し続けると、パンダは押されるまま端まで追いやられるが、飼育係が檻から出ると、パンダは箒を両手でポキッと折ってしまった。その力があれば、人間なんていくらでも倒せるけれど、攻撃性というものをほとんどもっていないのでは、とおっしゃっていた。 1972年10月28日、カンカンとランランが来るという日、上野動物園に向かった。子供の頃から研究していて、話しても誰も聞いてもらえなかったほど知名度のなかったパンダ。大好きなパンダが、ついに日本にやってきたのだ。そして、瞬く間に人気者になった。 動物園の使命は、みんなにこういう動物がいるというのを見せることと、絶滅するような動物の場合は、子供を産ませるということだと思う。 でも、やっぱり、のびのびと自然の中で暮らせたら、本当は幸せなんだろうなぁ、と思う。世にも不思議なパンダという神秘的な動物を大切にし、パンダだけじゃなく、人間の子供も住みやすい地球にしなければと、パンダを見ながら、いつも考えている。



広州動物園のパンダ (1980年11月撮影) 残念ながら、檻ごしのご対面でした。広州市先烈中路120号

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