SFセミナー2013、合宿企画編。
本会が終了していよいよ合宿会場へ移動するわけですが、その前に寄らなければいけないのが秋葉原。
ただいまSF関係者の注目を集めつつある施川ユウキの『バーナード嬢曰く。』を入手するためですが、
秋葉原にあるCOMIC ZINで買うと、描きおろしカードがついてくるのです。
店内に入り1階の奥へ進むと、特設コーナーにずらっと並んだ『バーナード嬢曰く。』を発見!
ネット書店では品切れだし、近所のリアル書店でも見かけたことがなかった本がこれだけ置いてあると、
なんか不思議な気もしますね。
とにかく喜んで購入したあと、チェックイン開始に間に合うよう合宿会場へ移動。
今回は本会に引き続き、ジョー・ホールドマン夫妻も合宿企画に参加してくれました。
最初は諸注意と企画案内、そして関係者の紹介ですが、例年の事とはいえこれが結構長い。
40分ほどかかったあとに、ようやくホールドマンさんの挨拶になったのですが・・・。
ホールドマンさんからの言葉は「まず最初に挨拶があると思ったら40分近く待たされまして、
皆さんも疲れたでしょうから、私の知っている日本語で簡単に挨拶をします・・・(そして沈黙)」
日本語知りません、というオチに場内は拍手喝采でしたが、ご本人の心中はどうだったやら。
まあギャグと考えれば気にすることもないんでしょうけど、今回は遠くからわざわざ来てくれた
特別なお客さんだし、何はさておき真っ先に挨拶してもらうべきだったのではないでしょうか。
さて、合宿企画1コマめ。
翻訳SFファンとして選んだのはやっぱり「中村融の部屋」でしたが、ここでは中村さんと旧知の仲である
東京創元社の名編集者・小浜徹也さんの独壇場。
本会企画ではあまり触れられなかった大学時代近辺の同人活動を中心に「天才SF青年・中村融」の肖像を
名調子で語り尽くしました。
中大SF研当時に刊行した会誌「Bagatelle」の戦慄すべき内容は翻訳・評論も含めてほぼ中村さんの仕事で、
SF研の後輩を指揮して全編手書き(当時はガリ版刷り)の誌面を作成。
イラストは実弟である中村亮さんと、ローラリアスで知り合った末弥純さんが担当したという裏話などは、
若くして才能をバリバリ発揮していた当時の雄姿が眼に浮かぶようでした。
思い入れのあるケイン・サーガの邦訳が当たらなかった苦い思い出など、うまくいかなかった逸話も含めて
「SF・ファンタジー界における一時代」の表裏を垣間見た気がします。
2コマ目に選んだのはアンナ・カヴァン『アサイラム・ピース』読書会。
評論家の岡和田晃さんの司会進行により、先日刊行されたカヴァンの『アサイラム・ピース』について
感想を述べ合おうというものです。
出演者と参加者にネットでお世話になっている方々がいらっしゃると聞き、無謀にも課題図書も読まずに
参加してしまったのですが、案の定ろくな感想も言えずじまい。
ただし会の内容は未読の私にも大変参考になるもので、カヴァンの無機質な表現や圧倒的な閉塞感、
人工物と自然の対比、あるいはその美しい自然が逆に人工的にも見えるとの指摘が次々と提出され、
ひとつの解釈に留まらない多彩な『アサイラム・ピース』像が描き出される過程は、実に刺激的でした。
何よりもイベントに参加してるというヒリヒリした緊張感であったり、作品を介して他の参加者と
直接向き合う感触は、本会も含めた企画の中で一番手ごたえがありました。
読書会の終了後は、部屋に集まっていたネット仲間の皆さんにご挨拶。
その後はちょっとしたオフ会のノリで、企画終盤までご一緒させていただきました。
3コマ目は「これでアナタもSFスキャナー」。
SFマガジンの名物である海外SF紹介コーナー「SFスキャナー」を長年にわたり執筆されている
「ミラクルボイス」東茅子さんに、SFスキャナーになるまでの道のりを聞く・・・というもの。
しかしてその真実は、御母堂から『渚にて』と『ジャッカルの日』をプレゼントされたいたいけない少女が
ビジョルドを目当てにアナログを読み始め、やがてお茶大SF研の先輩に導かれてSFレビュアーの道に入り、
最後は気恥ずかしくて手に取れなかったハーレクイン・ロマンスを読むに至る・・・という成長物語(?)でした。
とか言いつつも、情報誌「ローカス」をどう活用するかや作品の目星をつけるために購読している雑誌など、
実用的な情報もしっかり盛り込まれ、スキャナーになりたい人にもちゃんと役立つ内容だったのはさすがです。
なお、東さんはアナログを読んでレビューしてくれる後継者を募集中だそうですので、我こそはと思う強者は
名乗りを上げてみては?
さて、最後の企画部屋は「セミナーオークション・ダークリー」。
筒井康隆が私家版として作ったNULL2号、たんぽぽ娘が本邦初訳された宇宙塵などなど・・・。
SF界屈指のコレクターが名品・珍品を持ち寄って出品するとあって、見るだけでも楽しめる
資料性の高い(笑)オークションとなりました。
でも正直なところ、一部の出品には価値がさっぱりわからないものもちらほらと。
『現代ソビエト短編集 りんご漬』なんて聞いたこともないよ!うーん、やはり古本道は奥が深い。
しかし出品者であるコレクター同士ではその価値も一目瞭然らしく、参加者の食指が動かないと見るや
「これは珍しいよ!」「オレも持ってないなぁ・・・この版は」と煽ったあげく、そのうち出品者同士が
互いに入札を始めるという驚愕の展開に。しかも既に持ってるはずの本をガチで競りあってるし!
私もいくつか買わせてもらいましたが、あの領域には到底踏み込めません(^^;
夜2時過ぎに寝たあと、翌朝8時ごろに大広間へと起き出して来たら、タカアキラさんとU-kiさんが
『翠星のガルガンティア』について熱く語りあう部屋と化しており、「あれは逆転世界の逆転版だ」
「それじゃ転世界でしょ!」といった楽しい会話を聞かせてもらいました。
やがて話題が『花の詩女 ゴティックメード』に差し掛かったころ、ネット仲間の皆さんも大広間に合流。
ここでゴティックメードの説明をしているうちに閉会式が始まり、各企画の関係者から報告がありました。
行けなかった企画も盛り上がっていたようでちょっぴりもったいない気持ちもありましたが、個人的には
ちょっとしたオフ会もできたし本も買えたしと、大いに堪能させていただきました。
そして閉会後は参加者同士で来年のラファティ生誕百周年への期待などを語りつつ、帰路に着いたのでした。
本会が終了していよいよ合宿会場へ移動するわけですが、その前に寄らなければいけないのが秋葉原。
ただいまSF関係者の注目を集めつつある施川ユウキの『バーナード嬢曰く。』を入手するためですが、
秋葉原にあるCOMIC ZINで買うと、描きおろしカードがついてくるのです。
店内に入り1階の奥へ進むと、特設コーナーにずらっと並んだ『バーナード嬢曰く。』を発見!
ネット書店では品切れだし、近所のリアル書店でも見かけたことがなかった本がこれだけ置いてあると、
なんか不思議な気もしますね。
とにかく喜んで購入したあと、チェックイン開始に間に合うよう合宿会場へ移動。
今回は本会に引き続き、ジョー・ホールドマン夫妻も合宿企画に参加してくれました。
最初は諸注意と企画案内、そして関係者の紹介ですが、例年の事とはいえこれが結構長い。
40分ほどかかったあとに、ようやくホールドマンさんの挨拶になったのですが・・・。
ホールドマンさんからの言葉は「まず最初に挨拶があると思ったら40分近く待たされまして、
皆さんも疲れたでしょうから、私の知っている日本語で簡単に挨拶をします・・・(そして沈黙)」
日本語知りません、というオチに場内は拍手喝采でしたが、ご本人の心中はどうだったやら。
まあギャグと考えれば気にすることもないんでしょうけど、今回は遠くからわざわざ来てくれた
特別なお客さんだし、何はさておき真っ先に挨拶してもらうべきだったのではないでしょうか。
さて、合宿企画1コマめ。
翻訳SFファンとして選んだのはやっぱり「中村融の部屋」でしたが、ここでは中村さんと旧知の仲である
東京創元社の名編集者・小浜徹也さんの独壇場。
本会企画ではあまり触れられなかった大学時代近辺の同人活動を中心に「天才SF青年・中村融」の肖像を
名調子で語り尽くしました。
中大SF研当時に刊行した会誌「Bagatelle」の戦慄すべき内容は翻訳・評論も含めてほぼ中村さんの仕事で、
SF研の後輩を指揮して全編手書き(当時はガリ版刷り)の誌面を作成。
イラストは実弟である中村亮さんと、ローラリアスで知り合った末弥純さんが担当したという裏話などは、
若くして才能をバリバリ発揮していた当時の雄姿が眼に浮かぶようでした。
思い入れのあるケイン・サーガの邦訳が当たらなかった苦い思い出など、うまくいかなかった逸話も含めて
「SF・ファンタジー界における一時代」の表裏を垣間見た気がします。
2コマ目に選んだのはアンナ・カヴァン『アサイラム・ピース』読書会。
評論家の岡和田晃さんの司会進行により、先日刊行されたカヴァンの『アサイラム・ピース』について
感想を述べ合おうというものです。
出演者と参加者にネットでお世話になっている方々がいらっしゃると聞き、無謀にも課題図書も読まずに
参加してしまったのですが、案の定ろくな感想も言えずじまい。
ただし会の内容は未読の私にも大変参考になるもので、カヴァンの無機質な表現や圧倒的な閉塞感、
人工物と自然の対比、あるいはその美しい自然が逆に人工的にも見えるとの指摘が次々と提出され、
ひとつの解釈に留まらない多彩な『アサイラム・ピース』像が描き出される過程は、実に刺激的でした。
何よりもイベントに参加してるというヒリヒリした緊張感であったり、作品を介して他の参加者と
直接向き合う感触は、本会も含めた企画の中で一番手ごたえがありました。
読書会の終了後は、部屋に集まっていたネット仲間の皆さんにご挨拶。
その後はちょっとしたオフ会のノリで、企画終盤までご一緒させていただきました。
3コマ目は「これでアナタもSFスキャナー」。
SFマガジンの名物である海外SF紹介コーナー「SFスキャナー」を長年にわたり執筆されている
「ミラクルボイス」東茅子さんに、SFスキャナーになるまでの道のりを聞く・・・というもの。
しかしてその真実は、御母堂から『渚にて』と『ジャッカルの日』をプレゼントされたいたいけない少女が
ビジョルドを目当てにアナログを読み始め、やがてお茶大SF研の先輩に導かれてSFレビュアーの道に入り、
最後は気恥ずかしくて手に取れなかったハーレクイン・ロマンスを読むに至る・・・という成長物語(?)でした。
とか言いつつも、情報誌「ローカス」をどう活用するかや作品の目星をつけるために購読している雑誌など、
実用的な情報もしっかり盛り込まれ、スキャナーになりたい人にもちゃんと役立つ内容だったのはさすがです。
なお、東さんはアナログを読んでレビューしてくれる後継者を募集中だそうですので、我こそはと思う強者は
名乗りを上げてみては?
さて、最後の企画部屋は「セミナーオークション・ダークリー」。
筒井康隆が私家版として作ったNULL2号、たんぽぽ娘が本邦初訳された宇宙塵などなど・・・。
SF界屈指のコレクターが名品・珍品を持ち寄って出品するとあって、見るだけでも楽しめる
資料性の高い(笑)オークションとなりました。
でも正直なところ、一部の出品には価値がさっぱりわからないものもちらほらと。
『現代ソビエト短編集 りんご漬』なんて聞いたこともないよ!うーん、やはり古本道は奥が深い。
しかし出品者であるコレクター同士ではその価値も一目瞭然らしく、参加者の食指が動かないと見るや
「これは珍しいよ!」「オレも持ってないなぁ・・・この版は」と煽ったあげく、そのうち出品者同士が
互いに入札を始めるという驚愕の展開に。しかも既に持ってるはずの本をガチで競りあってるし!
私もいくつか買わせてもらいましたが、あの領域には到底踏み込めません(^^;
夜2時過ぎに寝たあと、翌朝8時ごろに大広間へと起き出して来たら、タカアキラさんとU-kiさんが
『翠星のガルガンティア』について熱く語りあう部屋と化しており、「あれは逆転世界の逆転版だ」
「それじゃ転世界でしょ!」といった楽しい会話を聞かせてもらいました。
やがて話題が『花の詩女 ゴティックメード』に差し掛かったころ、ネット仲間の皆さんも大広間に合流。
ここでゴティックメードの説明をしているうちに閉会式が始まり、各企画の関係者から報告がありました。
行けなかった企画も盛り上がっていたようでちょっぴりもったいない気持ちもありましたが、個人的には
ちょっとしたオフ会もできたし本も買えたしと、大いに堪能させていただきました。
そして閉会後は参加者同士で来年のラファティ生誕百周年への期待などを語りつつ、帰路に着いたのでした。
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