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ファン・ジニ 第十九話 

2013年12月29日 | ファン・ジニ
おっと思わぬ展開になってまいりました。
こう来るのか……。

《あらすじ》

ペンムは死んだ。
しかし、王宮での宴は予定通り行われる。
メヒャンの鳴鼓舞をプヨンが舞い、ペンムの鶴の舞いをジニが舞う。
優れた踊り手が、女楽行首の座を得るのだ。

みなに励まされ宮中に上がるジニだが、師匠の死の衝撃は計り知れない。
舞台に立ち、舞い始めたその時、
ひそひそと囁かれる噂話を耳にしたジニは棒立ちになり、とうとう倒れてしまった。
ペンムを殺したのはあの女だ、権力が欲しくて師匠を殺した。
あの舞は、邪悪な舞いだ。
ジョンハンは、舞台に伏して意識を失ったジニを抱き上げ、そっと運び出した。

ジニの不始末のせいで、官僚らに責められるジョンハン。
王の宴を汚した罰だ。
卑しいキーセンを死刑に処し、ジョンハンも咎を負えと、批判される。
彼は辞職願いを王に差し出した。
どんな罰でも受ける覚悟である。
王はその心を受け止めて、ジョンハンを留意する。
これからも、民に寄り添う官史であってくれ、と。

ジニは松都教坊に戻るが、言動がおかしくなった。
舞うことも、コムンゴを奏でることもできない。
どれほど宴席に出されても、でくの坊のように座っているばかり。
これでは、廃人同然だ。

酒浸りになり、精神を病む一歩手前のジニを案じ、オムスはムミョンを都へ送り出した。
ジニの噂をきいて心配していたジョンハンは、
メヒャンに諭されて一時は松都行きを我慢していた。
しかし、ムミョンの言葉をきいて決心し、急ぎ松都へ向かう。

ジニは、ペンムが身を投げた断崖の上にいた。
行首さまの側に行きたい。
そこでなら、もう一度舞うことができるような気がする……。
あわや飛び降りようとした瞬間、ジョンハンがその手をつかんだ。
握ってしまえば、二度とはなせなくなるとわかっていた愛する女の手。
もう二度と、はなさない。

(つづく)

あいやー!
ジニが廃人になってしまうとは!
あれほど盛り上がっていた行首をかけた舞いの披露は中止か!
ちょっとこういう展開は予想していなかったですね。

でも踊れないかー。
不眠と食欲不振で憔悴しきっているジニに、まわりからのプレッシャーがきついんですわ。
「王の御前で鶴の舞いを完璧に演じ、勝て」と。
それが亡くなったペンムへの供養だ、と。

そのせいで王宮への敷居を越えられなくなって固まってしまったジニに、
メヒャンがやさしく声をかけます。
「殿下のお涙をちょうだいせよ。それが師匠への何よりの供養じゃ」
この言葉に、ジニは心をあらたにして、敷居をまたぎます。

でも、舞う前に王が聞いちゃうんだよね。
ペンムとは誰か、って。
で、このペンムの鶴の舞いってのは、彼女の師匠から引き継がれたものですってジョンハンが言う。
そういやその師匠のことは幼少の頃に見て知ってるよ、
敬意をはらいたいからペンムを連れてきなさい、
何、死んでいるとな?なぜじゃ?うむ、断崖から落ちたとな?さても残念なことじゃ、と王が言う。
もういきなりジニはドヨドヨ。

そして我らのゲス兄さんが、最高のゲス発言をしくさるんじゃ。

ジニがペンムを殺したって言うんだよ?こいつ!
もとはと言えばさぁ、ピョクゲスがジニを手に入れたがって執着したからじゃん。
あれ?でもこんなにこじれたのは、ジニが挑発したせい?
いやいや、そもそも若様が死んじゃってジニがひねくれちゃって
それはペンムのせいであって、でもキーセンになりたいって言い出したのはジニで、
とか言ってるとわけわかんなくなりますが、
どっちにしろひどい発言です。

で、ジニはぐるぐるしてあたまが真っ白になっちゃう。

う~ん、そもそも無理があるんだよね。
ジニは、鶴の舞いについてペンムをひどく罵倒したことを後悔しているようだけど、
あの舞いに心がないことは、間違いないと思っている。
今でも、あれが最高の舞いだとは、思えない。
クズだって言い方はひどかったけど、自分の理想の舞いとはかけ離れている。
しかも、それはペンムも死ぬ前に認めていて、白紙の舞譜を残したぐらいなのだ。
ペンムの舞譜を完璧に踊ったからといって、それが本当に師匠の供養になるのか?

そういう疑問や矛盾を抱えながら、ジニは舞えなかったと思うんだよね。
直接の引き金は王の発言とゲス兄さんのひそひそ話だけど、
それがなくても、はたしてジニは舞うことができただろうか?
と、わたしは疑問に思うのです。

彼女が王の前で舞うべき鶴の舞いは、
あらたに「ファン・ジニ」作となる、鶴の舞いであるべきではないか?

初恋が破れてから、ずっと対立していたジニとペンムだけど、
実は意地っ張りなところも、芸に対する真摯な姿勢も、本当はそっくりな師弟だと思う。
だからこそ、母を置いてまで、ジニは死んで師匠のもとへ行きたいと願う。

彼女にとって、ペンムは越えなきゃいけない大きな壁だった。
ずっと自分の上に君臨していて、親も同然で、
ちょっとやそっとじゃ傷つかない冷酷な心の持ち主だと思っていたからこそ、
あんな風に手ひどく呪いの言葉をぶつけた。
絶対倒れるはずない、と、どこかで思っていた。
でもそうじゃなかった。
彼女もひとりの人間で、苦しみを友として生きてきた、ひとりの哀しい女なのだった。

そう気付いたときはすでに遅く、ペンムは死んじゃってて、
自分はどうしていいかわからなくなっちゃってる。

ジニはそういう心境なんじゃないかと思いました。

しかしここまで狂いかけるとは……。
終始強気だったわりに、意外にもろいジニの精神。
そんなになるんだったら、あんなことしなきゃよかったのに……。

ペンムが死んじゃったというのに、プヨンは相変わらず陰謀を巡らせていました。
鶴の舞い、教えてもらえなかったし、そもそもどーでもいい人だもんね、
彼女にとっては。
舞譜を2本書け、と肉体を武器に取引していたのは、このためだったのね。
さいわいメヒャンは小娘に二度もしてやられるほどお人好しではなく、
プヨンの悪事は阻止されました。
メヒャン自身も、つるっと政治信条を撤回してしまいましたし。

本当に優れた最高の芸人が、女楽の行首となるべきだ、と彼女はいいます。
実力でものにせよ、と。
間違いを素直に認めるのはいいことですが、
幼少の頃から仕込まれてきたプヨンは、はぁ?いまさらなにいってんの?って感じですよね。
わたしの歪んだ性格はあんたが作ったんでしょ?と
わめきだしても仕方がないと思いますよ。
そんなことしなかったけどね。

今回もまた、ムミョンが影ながらジニのしあわせに貢献しましたね。
ほんとにいい男……。
最初はオムスさんが都に行ってジョンハンに助けを求めようとしたのですが、
ムミョンが行って正解だったと思います。
オムスさんだったら、ジョンハンはこなかったと思うのね。
同じ女を愛した男が、その苦痛と屈辱に耐えてでも、
女を救うために憎い恋敵に頭をさげにきた。
その決意の重さを理解できるからこそ、ジョンハンは松都へ向かったと思うの。

ジニのために文字通り身を投げ出して尽くしても、自分に彼女は救えない……。
絶望してひねくれてもおかしくないムミョンは、
それでも愛した女の真の幸福のためにプライドなんか捨てられるのです。
だって今までどおり、彼女の側にくっついていたら、
あの断崖で腕をとったのはムミョンだったはずなのよ?
でもそれじゃダメなんだ、とわかっているから、ジョンハンを呼びに行ったムミョン。
あー、彼の爪の垢を煎じてゲス兄さんに飲ませてやりたい。

ジョンハンが妓夫になれば、ジニは芸も捨てずに愛も得られた。
すべてを捨ててもかまわない、とジョンハンは思ったはず。
ただねぇ、その「すべて」の重さがウノとは違ったのかな。
両班としての地位、権力、そういうものなら、ためらわず捨てられたはず。
めんどくさいのは、王その人ですよ。
王が、ジョンハンに感じている期待とか、信頼とか、
そういうものが捨てられなかったんだと思うのね。
イエスマンばっかりの王宮を放置しておけば、
いずれは民からの信頼を失い、孤立してしまうだろうし。
民のことなんてかけらも考えない官僚に国を任せたら、
ますます貧しいものたちは苦労するだろうし。
王のこととか、民のこととか考えたら、惚れた女のためにすべてを
捨てられなかったんじゃないかな~。

若いウノは、まだ見ぬ地位や権力なんかはぜんぜん欲しくなかった。
でも、母親は捨てられなかった。
ウノにしてもジョンハンにしても、優しすぎるから、ジニをひとりにしちゃったのね。
そういうところは、よく似たふたりだわ。

最後はとうとう、断崖の上で抱き合うふたり。
入水を止めたあの初めての出会いが、すべての運命だったのかもしれませんね。

だけどね、わたしとしてはこのまま終わってもらっちゃ困るのよね。
ジニには、なんとしても鶴の舞を完成させてもらわなくては。
そうでなくてはね、あなたの「明月」という妓名は偽りのままですよ。
とげとげととんがって火花をまき散らし、
まわりのものを燃やし尽くして、大気圏に突入して燃え尽きていく流れ星になっちゃう。
あなたには、見るものに慈悲の光を投げかける月になってほしいの。
それが、ペンムに対する供養というものじゃないかしら?
あの人死んでもあなたを甘やかしたりしないと思うわよ?


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