さあ!いよいよ物語は現在へと戻って参りました。
イ・ドもトルボクも成長し、立派になりましたね。
ジュンギくんに会えなくなるのは寂しいですが、かわりにチャン・ヒョクが登場。
やっぱり自分好みのいい男が画面にいるってのはいいわ!
「根の深い木」という不思議なタイトルの意味もわかって、
ドラマは大きく動き始めます。
《あらすじ》
夜の闇を必死に逃げるチャン・ドジュンであったが、とうとう力尽き倒れる。
下男ソジンは、ドジュンの遺言を伝えるべく、矢に打たれながらもなんとか隠れ家にたどり着いた。
ドジュンの息子ギジュンに、父親の死を伝える。
「この巾着の持ち主が密本の書を持っています……。必ずや密本を……密本……」
男もまた、死んだ。彼の息子も、父の遺骸にすがって泣いている。
ムヒュルは、闇の中、居合わせたトルボクに襲われた。
子どもとは思えない殺気に、本気で反応してしまった彼は、
トルボクの左腕に刀傷を負わせていた。
ここで殺すか?
官警の呼子に、ムヒュルは刀を収める。
「命が惜しくば、ここを去れ!」
トルボクは、巾着を取った男を見失ってしまった。
偶然ついてきた馬の背の荷物を持ち、タムを探しに行く。
山中には、皆殺しにされたたちの死体が無造作に捨てられていた。
死体の山の中に、自分が贈った紅を見つけた。
「タム……!」
思い切り泣いた後、トルボクは決心する。
必ずここに、戻ってくる。
数年がたち、トルボクも青年といえるまでに成長し、
辺境の警備隊に兵士として潜り込んでいた。
都では、先王が死去。
とうとう、父のいない世が訪れたのだった。
そしてまた、時が過ぎた。
イ・ドは、王としてキョンヨンを重んじ、新しい政治を模索していた。
大臣からの評判は悪いが、王はどこ吹く風だ。
そんな王を、ムヒュルが側近として仕え、支えている。
ある日、北方からキム将軍の伝令が届いた。
コ・インソルが事故死を装って殺されたという。
これは、王が計画している、あることに関係があるのだろうか?
疑問に思ったムヒュルは、伝令を持って来た男に話をきくことにした。
男の名は、カン・チェユン。
キム将軍の推薦で、兼司僕(キョンサボク:王や宮殿の警護を担う武官)になった男だ。
しかし、この男は食わせ者で、来て早々に賄賂を配ったという。
なんだか調子のいい男なのだ。
しかも、ムヒュルにまで賄賂を送ろうとして、一喝されてしまう。
罰は鞭打ちだ。
ただ、視聴者もよく知るように、この男はただのお調子者ではない。
王の命を狙う、トルボクその人であるのだ。
ここで、物語は第1話冒頭のシーンへとつながってゆく。
王の暗殺をもくろむチェユンは、夜半、集賢殿へ出かける王と偶然出会うのだ。
思わぬ遭遇に、一瞬の計算をするチェユン。今なら成功率は8割。
しかし、腰の刀がない。
朝鮮一の剣の使い手ムヒュルも合流した。
暗殺成功の確率がどんどん下がってゆく……。
道に迷ったという言い訳は、なんとか通用した。
名を聞かれ、チェユンは答える。
「カン・チェユンと申します」
千載一遇のチャンスが、失われた。
王は、集賢殿へ入る。
当直のホ・ダム学士は、椅子に座ったまま死んでいた。
ホ・ダムは殺された可能性が高い。
「毘婆沙論」(ビバシャロン:サンスクリット語の経典)も盗まれていた。
王の計画を知るものが、関係者を殺しているのか?
王は怒りを禁じ得ない。
集賢殿は出入りを禁止され、警備のものが門を見張ることになった。
チェユンは、これがチャンスと集賢殿に忍び込む。
ここなら、ここに隠れることができれば、暗殺の確立は格段に高くなる……。
集賢殿の中は、現場保存がなされていた。
(学士が病死なら、なぜ保存を?)
疑問に思うチェユンが外へ出ようとした時、ムヒュルに見つかってしまった。
「ここで何をしている!」
厠を探していたという言い訳は、通用しない。
前夜の「道に迷った」という言い訳を、ムヒュルは覚えていた。
何かがあやしい。
拷問の焼きごてを前にしても、チェユンはのらりくらりとムヒュルの追求をかわそうとする。
ムヒュルは、ホ・ダムを殺した犯人はチェユンだと思っている。
チェユンは頭の中で情報を組み立てた。
(ホ・ダムという男は急死ではなく、殺されたのか……。
キム将軍からの包みをわたしたあの男がホ・ダムという名だった……)
チェユンは、
「おそらくホ・ダム学士とコ・インソルを殺したのは同一人物です」とムヒュルに話す。
「どういうことだ?」
チェユンは、コ・インソルともっとも親しく、彼の死が事故ではないと見抜いた男だったのだ。
ムヒュルに渡そうとしていた賄賂は、インソルの死について調べた捜査日誌だった。
取り調べの現場へ、王が直接現れた。
キム将軍に話を聞いてやってきたのだ。
「ふたつの事件の共通点はなんだ?」
「一つ目は、緑色の包みです。ふたりとも、あの包みを持っていた。犯人の狙いはそれです。
二つ目は、事故死を装って殺されていた点です。
そして三つ目。事件の夜には、必ず、フクロウの鳴き声が」
王は、カン・チェユンをこの事件の捜査責任者に任命する。
これにはムヒュルも驚いたが、チェユン自身も驚いた。
「解決せよ。できなければ、次はお前が疑われる。命がけでやれ」
王の言葉と、その目に射られたように、チェユンは身動きができない。
我にかえって、「はい、はい、王様」と答えるので精一杯だ。
出ていこうとする王の背中に、チェユンが声をかけた。
「もし解決したら!
わたしの願いを叶えていただけますか?」
無礼な物言いにムヒュルは眉をしかめるが、王は興味を示した。
「申してみよ」
「王様の杯を賜りとうございます。
杯を賜ることができたら、亡き父がさぞかし喜ぶことでしょう」
王は、約束した。
もし解決できれば、チェユンの杯に酒をついでやるという。
(いいだろう……)
チェユンは心の中でつぶやく。
(解決してやる。杯が満ちる前に、お前は死ぬんだ。イ・ド……)
(つづく)
いやいや~、たった1話の中で、ぐぐぐっと物語が詰まってまいりましたね!
何より、とうとう先王が死去されました。
彼の老けたお顔にびっくり~!
起き上がっちゃうとお元気な感じが否めませんが、
寝たままお話しされているところは、もうすぐ死にそうな老人って感じがすごく出てるわね。
こないだまでお元気で、なかなかハンサムな美中年だったのに~。
この、先王とイ・ドのやり取りがまた素晴らしいんですよ。
「お前は相変わらず、バカげた考えを抱いているのか」と、
文治の王を目指そうとするイ・ドを認めない父。
しかしイ・ドは、まさにこの時、父が死ぬ時のために準備を進めてきたわけなのです。
お前はわたしの墓にすがって泣くことになるぞ、という父親に、
王たる者、そんなヒマなどない、と言い切る息子。
ああ~、世代交代だ~という感じがひしひしと伝わってきます。
ただ、この先王という人はやっぱりすごくて、顔を近づけた息子の胸ぐらをぐっとつかむんですね。
そして、「やり遂げろ」という。
そうすれば、お前を王位に据えたことが、わたしの最大の功績となるだろう、と。
息子の「そうなります!」という力強い返事を聞いて微笑む父。
この、なんというか、彼の中にある、息子への深い愛情が感じられる名シーンだと思うんですよねぇ~。
こういうひねた言い方ですが、息子へ精一杯の激励をした先王。
方法論は違えど、朝鮮という国を守り、強くしたいと思う気持ちは同じだったと思うんですね。
反発し合いながらも、認め合っていた父と息子。
橋の上で、つーっと涙を流すイ・ド。
あの涙は、息子として、純粋に父の死を悼んだ涙だったのだと思います。
孤独な王の真の理解者は、同じ立場の王しかいないんじゃないでしょうかね。
こんな父と息子の葛藤が、前菜というか出し汁みたいなポジションなわけで、
もったいないというかなんというか、
ますますこのドラマの行く末が楽しみですだよ。
これで尻つぼみだったら先王が化けて出ちゃいますね。
とにかくがんばってほしいものです。
トルボクの、死体を探すシーンも壮絶でした。
あんな風に、人とも思えぬ扱いを受けてうち捨てられる奴碑の遺体。
やるせない思いでいっぱいになりますし、単純に、見ていてとっても怖くなる風景でした。
そこで拾った紅入れ。
トルボクは、タムが死んだものと思ってしまうわけですが、
実は生きてるんだよね!
彼の性格上、遺体を見ないと納得しないような気もするんですが、
あの風景の中、心も疲れ果ててしまったのでしょう。
それでも、必ず戻ってくる!と力強く誓うトルボク。
はやく会わせあげたいなぁ。
このカップルは悲恋で終わっても誰も得しないんだから、
絶対最後はしあわせになってほしいわ~。
この回、これまでとは別の子役さんたちが出てきます。
彼らの出番は短いものなのですが、
わたし、すごくいいなぁ!と驚いてしまいました。
まず、ギラギラしたトルボクを演じる彼。
絶望して出奔し、そのあとは、どこでどうして生きてきたのでしょうか?
10才くらいだった彼が、16、7才になっている感じですね。
血まみれ泥まみれ。の子が成り上がるのは並大抵の根性じゃ無理だもの。
この彼が、すごい生命力を感じさせるんですよね。
どうせ、まだ子どもだろう、とか軽くあしらわれたんでしょうね。
それが悔しくて、実力さえありゃ文句はねえだろうって感じで、
女真族の首をとってきちゃう剛胆さ。
何がなんでも生き抜いてやる!という感じが、まさしくトルボク。
なんていうか、見た目とか似てなくても、その人が感じられればそれでいいんだな、って思います。
そして、ギジュン役の彼。
こちらはいかにも文官、という雰囲気。思慮深さと幼さがまだ同居している感じ。
少年時代のぷっくりちゃんとは打って変わって細身の彼ですが、
子どもではなく、かといって大人でもなく、青年というにはまだ幼いような本当に微妙なお年頃。
でも声がね、大人の声になっていますよね。
下男の息子さんも、年若い男の子で、こちらは大声でわんわん泣いています。
対照的に、ギジュンとしては様々な覚悟を決めたであろうこの瞬間を、
うまく演じているなぁと思って感動しました。
演技力、ももちろんですが、その年齢にしか出せないオーラ、というか、
空気感って絶対あると思うんですよ。
いくら演技が上手くても、実年齢より若すぎる役、老けすぎた役は、
やはり見苦しいというか、どこか無理があるように思います。
ドラマの中で、ほんのつなぎのシーンだったかもしれないけど、
その年代の役者を使ったシーンが入ってくることで、
物語のリアリティとか、躍動感が出たんじゃないかなぁ、とわたしは思っています。
ですので、ちょびっとですけど、みられて嬉しかった。
地上放送ではカットされるかもしれない部分ですよね~。
月日は流れて、現在。
立派な口ひげを蓄えたイ・ドが、けっこうやんちゃな王様で面白い!
気弱な印象はすっかり消えてしまいました。
汚い言葉を使ってみたり、激しく怒ったり、すごく人間らしい王様。
これがあの魔方陣に取り憑かれていた王なのか?
頭の上の重しが取れると、人間のびのびするもんですね。
彼は、とある計画を密かに進めているようです。
サンスクリット語で書かれた経典なんか、どうするんでしょうね?
わたしは前知識として、イ・ドの計画がぼんやりとわかっているのですが、
「くそったれ」とか言ってみたり、使い方が間違っていないか女官に聞いてみたり、
「生きた言葉」を大事にしていこうという王様みたいですね。
え?ジュンギくんがなぜ、こんな王様に?と思う向きもおありでしょうが、
外見の一致はそんなに重要ではありません。
若きイ・ドの面影が、王の中にある様子を見て取れれば、それでいいんです。
わたしは王様の目ぢからに、それを感じましたわ。
様々な経験を乗り越えてここまできたに違いない、トルボクあらためカン・チェユンですら、
その目と、迫力に圧倒されてしまったのですから。
もう、このシーン、大好きです。
王を間近に見て、夢か現実か、射すくめられたようなカン・チェユン。
えへへ、ジュンギくんがいなくなってもわたしがしあわせなのは、
カン・チェユンがいるからです。
ずるいですね。
でも、ドラマの中にひとりくらいは、好みの男性がいたほうが楽しいじゃないですか。
お調子者のふりをして、実は周到に暗殺計画を練っているカン・チェユン。
頭のいい男に、わたしは弱いんですな。
また、ふりをして、と書きましたが、実際のチェユンは、お調子者的な明るさを持った人だと思うんですね。
無理してお調子者の演技をしているんではなくて、
のびのび育っていれば、きっとああいう明るくて快活な人物になっただろうな、と思うんです。
トルボクだった頃の性格というか、特徴というか、
そういう内面的な面影をうまく引き継いだキャラクター設定だと思います。
しかしわたしも最初はまんまと騙されましたよ。
ムヒュルへの賄賂を出さずに、すかさず命乞いしたときには、ちょっとがっかりしちゃった。
なーんだ、たいしたことのないものだったのかな、って。
精力剤とか、普通のものでムヒュルの反応を見るつもりだったのかな?と思いました。
ちょっと浅はかだな、って思った。
それが、実はチェユンは、コ・インソルの変死事件を調査した有能な捜査員だったとは!
こては本当に意外で、びっくりしましたね~。
そしてホ・ダムの死についても捜査をまかされることになったチェユン。
王の迫力に気圧されていた彼ですが、チャンスを逃すことはしません。
「王の杯を賜る」場面では、自分と王との距離はほんの数十センチ。
こんな機会を得ることはできないでしょう。
暗殺成功の確率は、ほぼ10割に跳ね上がるのではないでしょうか?
その頃にまだ、王を殺したいと願っているかは不明ですけどね。
王の秘密計画を阻もうとする勢力は、どこの誰でしょうか?
ふくろうの鳴き声がしたとなると、密本?
でも、密本はイ・ドにとっては必要な組織だし、
彼は密本の希望に沿った考え方をする王なんじゃないの?
ぶっちゃけ味方同士でしょ?
あ、でも、あの時チョン親子を保護できなかったわけで、
イ・ドと密本とは、距離があるのかしら?
王が誤解されているとか……。
まぁなんにせよ、詳しいことはチェユンが調査をしてくれないことにはわかりません。
これからどんな秘密が暴かれてゆくのか、非常に楽しみです。
ちょっとしか出ませんでしたが、学者の中にも面白そうな子がいましたね。
むちゃくちゃ優秀みたいなソン・サンムン。
わりと自由奔放な性格のようで、妻夫木くんに似たハンサムさんが手綱を握っています。
賢こすぎて素直すぎて空気読めない君みたいになっちゃってんのね。
賢こすぎるわりに勉強嫌いみたいだけど。
今後活躍しそう。
マルセンは、先王が亡くなって自分も年がいっちゃっていまいち元気がない。
元気、なくはないけど、政治への影響力が低下してんのね。
ほら、もう時代は力の政治じゃないからさー。
好みのおじさんなんだけど、今はダメンズ状態よね。しょぼい。
かわりにムヒュルがまつげバシバシの美丈夫になっていて笑った。
役者さんがかわったわけじゃないんだけどさー。
妙に貫禄がついたというか……。
こういう生真面目そうな男もいいよね。
ちょっとからかってやりたくなるというか。
さて、次週はとうとうシン・セギョンが登場するのでしょうか?
美、とはいえ、男子ばっかのこの世界。
そろそろ美しい女性も登場して、ドラマを盛り上げていってほしいところです。
イ・ドもトルボクも成長し、立派になりましたね。
ジュンギくんに会えなくなるのは寂しいですが、かわりにチャン・ヒョクが登場。
やっぱり自分好みのいい男が画面にいるってのはいいわ!
「根の深い木」という不思議なタイトルの意味もわかって、
ドラマは大きく動き始めます。
《あらすじ》
夜の闇を必死に逃げるチャン・ドジュンであったが、とうとう力尽き倒れる。
下男ソジンは、ドジュンの遺言を伝えるべく、矢に打たれながらもなんとか隠れ家にたどり着いた。
ドジュンの息子ギジュンに、父親の死を伝える。
「この巾着の持ち主が密本の書を持っています……。必ずや密本を……密本……」
男もまた、死んだ。彼の息子も、父の遺骸にすがって泣いている。
ムヒュルは、闇の中、居合わせたトルボクに襲われた。
子どもとは思えない殺気に、本気で反応してしまった彼は、
トルボクの左腕に刀傷を負わせていた。
ここで殺すか?
官警の呼子に、ムヒュルは刀を収める。
「命が惜しくば、ここを去れ!」
トルボクは、巾着を取った男を見失ってしまった。
偶然ついてきた馬の背の荷物を持ち、タムを探しに行く。
山中には、皆殺しにされたたちの死体が無造作に捨てられていた。
死体の山の中に、自分が贈った紅を見つけた。
「タム……!」
思い切り泣いた後、トルボクは決心する。
必ずここに、戻ってくる。
数年がたち、トルボクも青年といえるまでに成長し、
辺境の警備隊に兵士として潜り込んでいた。
都では、先王が死去。
とうとう、父のいない世が訪れたのだった。
そしてまた、時が過ぎた。
イ・ドは、王としてキョンヨンを重んじ、新しい政治を模索していた。
大臣からの評判は悪いが、王はどこ吹く風だ。
そんな王を、ムヒュルが側近として仕え、支えている。
ある日、北方からキム将軍の伝令が届いた。
コ・インソルが事故死を装って殺されたという。
これは、王が計画している、あることに関係があるのだろうか?
疑問に思ったムヒュルは、伝令を持って来た男に話をきくことにした。
男の名は、カン・チェユン。
キム将軍の推薦で、兼司僕(キョンサボク:王や宮殿の警護を担う武官)になった男だ。
しかし、この男は食わせ者で、来て早々に賄賂を配ったという。
なんだか調子のいい男なのだ。
しかも、ムヒュルにまで賄賂を送ろうとして、一喝されてしまう。
罰は鞭打ちだ。
ただ、視聴者もよく知るように、この男はただのお調子者ではない。
王の命を狙う、トルボクその人であるのだ。
ここで、物語は第1話冒頭のシーンへとつながってゆく。
王の暗殺をもくろむチェユンは、夜半、集賢殿へ出かける王と偶然出会うのだ。
思わぬ遭遇に、一瞬の計算をするチェユン。今なら成功率は8割。
しかし、腰の刀がない。
朝鮮一の剣の使い手ムヒュルも合流した。
暗殺成功の確率がどんどん下がってゆく……。
道に迷ったという言い訳は、なんとか通用した。
名を聞かれ、チェユンは答える。
「カン・チェユンと申します」
千載一遇のチャンスが、失われた。
王は、集賢殿へ入る。
当直のホ・ダム学士は、椅子に座ったまま死んでいた。
ホ・ダムは殺された可能性が高い。
「毘婆沙論」(ビバシャロン:サンスクリット語の経典)も盗まれていた。
王の計画を知るものが、関係者を殺しているのか?
王は怒りを禁じ得ない。
集賢殿は出入りを禁止され、警備のものが門を見張ることになった。
チェユンは、これがチャンスと集賢殿に忍び込む。
ここなら、ここに隠れることができれば、暗殺の確立は格段に高くなる……。
集賢殿の中は、現場保存がなされていた。
(学士が病死なら、なぜ保存を?)
疑問に思うチェユンが外へ出ようとした時、ムヒュルに見つかってしまった。
「ここで何をしている!」
厠を探していたという言い訳は、通用しない。
前夜の「道に迷った」という言い訳を、ムヒュルは覚えていた。
何かがあやしい。
拷問の焼きごてを前にしても、チェユンはのらりくらりとムヒュルの追求をかわそうとする。
ムヒュルは、ホ・ダムを殺した犯人はチェユンだと思っている。
チェユンは頭の中で情報を組み立てた。
(ホ・ダムという男は急死ではなく、殺されたのか……。
キム将軍からの包みをわたしたあの男がホ・ダムという名だった……)
チェユンは、
「おそらくホ・ダム学士とコ・インソルを殺したのは同一人物です」とムヒュルに話す。
「どういうことだ?」
チェユンは、コ・インソルともっとも親しく、彼の死が事故ではないと見抜いた男だったのだ。
ムヒュルに渡そうとしていた賄賂は、インソルの死について調べた捜査日誌だった。
取り調べの現場へ、王が直接現れた。
キム将軍に話を聞いてやってきたのだ。
「ふたつの事件の共通点はなんだ?」
「一つ目は、緑色の包みです。ふたりとも、あの包みを持っていた。犯人の狙いはそれです。
二つ目は、事故死を装って殺されていた点です。
そして三つ目。事件の夜には、必ず、フクロウの鳴き声が」
王は、カン・チェユンをこの事件の捜査責任者に任命する。
これにはムヒュルも驚いたが、チェユン自身も驚いた。
「解決せよ。できなければ、次はお前が疑われる。命がけでやれ」
王の言葉と、その目に射られたように、チェユンは身動きができない。
我にかえって、「はい、はい、王様」と答えるので精一杯だ。
出ていこうとする王の背中に、チェユンが声をかけた。
「もし解決したら!
わたしの願いを叶えていただけますか?」
無礼な物言いにムヒュルは眉をしかめるが、王は興味を示した。
「申してみよ」
「王様の杯を賜りとうございます。
杯を賜ることができたら、亡き父がさぞかし喜ぶことでしょう」
王は、約束した。
もし解決できれば、チェユンの杯に酒をついでやるという。
(いいだろう……)
チェユンは心の中でつぶやく。
(解決してやる。杯が満ちる前に、お前は死ぬんだ。イ・ド……)
(つづく)
いやいや~、たった1話の中で、ぐぐぐっと物語が詰まってまいりましたね!
何より、とうとう先王が死去されました。
彼の老けたお顔にびっくり~!
起き上がっちゃうとお元気な感じが否めませんが、
寝たままお話しされているところは、もうすぐ死にそうな老人って感じがすごく出てるわね。
こないだまでお元気で、なかなかハンサムな美中年だったのに~。
この、先王とイ・ドのやり取りがまた素晴らしいんですよ。
「お前は相変わらず、バカげた考えを抱いているのか」と、
文治の王を目指そうとするイ・ドを認めない父。
しかしイ・ドは、まさにこの時、父が死ぬ時のために準備を進めてきたわけなのです。
お前はわたしの墓にすがって泣くことになるぞ、という父親に、
王たる者、そんなヒマなどない、と言い切る息子。
ああ~、世代交代だ~という感じがひしひしと伝わってきます。
ただ、この先王という人はやっぱりすごくて、顔を近づけた息子の胸ぐらをぐっとつかむんですね。
そして、「やり遂げろ」という。
そうすれば、お前を王位に据えたことが、わたしの最大の功績となるだろう、と。
息子の「そうなります!」という力強い返事を聞いて微笑む父。
この、なんというか、彼の中にある、息子への深い愛情が感じられる名シーンだと思うんですよねぇ~。
こういうひねた言い方ですが、息子へ精一杯の激励をした先王。
方法論は違えど、朝鮮という国を守り、強くしたいと思う気持ちは同じだったと思うんですね。
反発し合いながらも、認め合っていた父と息子。
橋の上で、つーっと涙を流すイ・ド。
あの涙は、息子として、純粋に父の死を悼んだ涙だったのだと思います。
孤独な王の真の理解者は、同じ立場の王しかいないんじゃないでしょうかね。
こんな父と息子の葛藤が、前菜というか出し汁みたいなポジションなわけで、
もったいないというかなんというか、
ますますこのドラマの行く末が楽しみですだよ。
これで尻つぼみだったら先王が化けて出ちゃいますね。
とにかくがんばってほしいものです。
トルボクの、死体を探すシーンも壮絶でした。
あんな風に、人とも思えぬ扱いを受けてうち捨てられる奴碑の遺体。
やるせない思いでいっぱいになりますし、単純に、見ていてとっても怖くなる風景でした。
そこで拾った紅入れ。
トルボクは、タムが死んだものと思ってしまうわけですが、
実は生きてるんだよね!
彼の性格上、遺体を見ないと納得しないような気もするんですが、
あの風景の中、心も疲れ果ててしまったのでしょう。
それでも、必ず戻ってくる!と力強く誓うトルボク。
はやく会わせあげたいなぁ。
このカップルは悲恋で終わっても誰も得しないんだから、
絶対最後はしあわせになってほしいわ~。
この回、これまでとは別の子役さんたちが出てきます。
彼らの出番は短いものなのですが、
わたし、すごくいいなぁ!と驚いてしまいました。
まず、ギラギラしたトルボクを演じる彼。
絶望して出奔し、そのあとは、どこでどうして生きてきたのでしょうか?
10才くらいだった彼が、16、7才になっている感じですね。
血まみれ泥まみれ。の子が成り上がるのは並大抵の根性じゃ無理だもの。
この彼が、すごい生命力を感じさせるんですよね。
どうせ、まだ子どもだろう、とか軽くあしらわれたんでしょうね。
それが悔しくて、実力さえありゃ文句はねえだろうって感じで、
女真族の首をとってきちゃう剛胆さ。
何がなんでも生き抜いてやる!という感じが、まさしくトルボク。
なんていうか、見た目とか似てなくても、その人が感じられればそれでいいんだな、って思います。
そして、ギジュン役の彼。
こちらはいかにも文官、という雰囲気。思慮深さと幼さがまだ同居している感じ。
少年時代のぷっくりちゃんとは打って変わって細身の彼ですが、
子どもではなく、かといって大人でもなく、青年というにはまだ幼いような本当に微妙なお年頃。
でも声がね、大人の声になっていますよね。
下男の息子さんも、年若い男の子で、こちらは大声でわんわん泣いています。
対照的に、ギジュンとしては様々な覚悟を決めたであろうこの瞬間を、
うまく演じているなぁと思って感動しました。
演技力、ももちろんですが、その年齢にしか出せないオーラ、というか、
空気感って絶対あると思うんですよ。
いくら演技が上手くても、実年齢より若すぎる役、老けすぎた役は、
やはり見苦しいというか、どこか無理があるように思います。
ドラマの中で、ほんのつなぎのシーンだったかもしれないけど、
その年代の役者を使ったシーンが入ってくることで、
物語のリアリティとか、躍動感が出たんじゃないかなぁ、とわたしは思っています。
ですので、ちょびっとですけど、みられて嬉しかった。
地上放送ではカットされるかもしれない部分ですよね~。
月日は流れて、現在。
立派な口ひげを蓄えたイ・ドが、けっこうやんちゃな王様で面白い!
気弱な印象はすっかり消えてしまいました。
汚い言葉を使ってみたり、激しく怒ったり、すごく人間らしい王様。
これがあの魔方陣に取り憑かれていた王なのか?
頭の上の重しが取れると、人間のびのびするもんですね。
彼は、とある計画を密かに進めているようです。
サンスクリット語で書かれた経典なんか、どうするんでしょうね?
わたしは前知識として、イ・ドの計画がぼんやりとわかっているのですが、
「くそったれ」とか言ってみたり、使い方が間違っていないか女官に聞いてみたり、
「生きた言葉」を大事にしていこうという王様みたいですね。
え?ジュンギくんがなぜ、こんな王様に?と思う向きもおありでしょうが、
外見の一致はそんなに重要ではありません。
若きイ・ドの面影が、王の中にある様子を見て取れれば、それでいいんです。
わたしは王様の目ぢからに、それを感じましたわ。
様々な経験を乗り越えてここまできたに違いない、トルボクあらためカン・チェユンですら、
その目と、迫力に圧倒されてしまったのですから。
もう、このシーン、大好きです。
王を間近に見て、夢か現実か、射すくめられたようなカン・チェユン。
えへへ、ジュンギくんがいなくなってもわたしがしあわせなのは、
カン・チェユンがいるからです。
ずるいですね。
でも、ドラマの中にひとりくらいは、好みの男性がいたほうが楽しいじゃないですか。
お調子者のふりをして、実は周到に暗殺計画を練っているカン・チェユン。
頭のいい男に、わたしは弱いんですな。
また、ふりをして、と書きましたが、実際のチェユンは、お調子者的な明るさを持った人だと思うんですね。
無理してお調子者の演技をしているんではなくて、
のびのび育っていれば、きっとああいう明るくて快活な人物になっただろうな、と思うんです。
トルボクだった頃の性格というか、特徴というか、
そういう内面的な面影をうまく引き継いだキャラクター設定だと思います。
しかしわたしも最初はまんまと騙されましたよ。
ムヒュルへの賄賂を出さずに、すかさず命乞いしたときには、ちょっとがっかりしちゃった。
なーんだ、たいしたことのないものだったのかな、って。
精力剤とか、普通のものでムヒュルの反応を見るつもりだったのかな?と思いました。
ちょっと浅はかだな、って思った。
それが、実はチェユンは、コ・インソルの変死事件を調査した有能な捜査員だったとは!
こては本当に意外で、びっくりしましたね~。
そしてホ・ダムの死についても捜査をまかされることになったチェユン。
王の迫力に気圧されていた彼ですが、チャンスを逃すことはしません。
「王の杯を賜る」場面では、自分と王との距離はほんの数十センチ。
こんな機会を得ることはできないでしょう。
暗殺成功の確率は、ほぼ10割に跳ね上がるのではないでしょうか?
その頃にまだ、王を殺したいと願っているかは不明ですけどね。
王の秘密計画を阻もうとする勢力は、どこの誰でしょうか?
ふくろうの鳴き声がしたとなると、密本?
でも、密本はイ・ドにとっては必要な組織だし、
彼は密本の希望に沿った考え方をする王なんじゃないの?
ぶっちゃけ味方同士でしょ?
あ、でも、あの時チョン親子を保護できなかったわけで、
イ・ドと密本とは、距離があるのかしら?
王が誤解されているとか……。
まぁなんにせよ、詳しいことはチェユンが調査をしてくれないことにはわかりません。
これからどんな秘密が暴かれてゆくのか、非常に楽しみです。
ちょっとしか出ませんでしたが、学者の中にも面白そうな子がいましたね。
むちゃくちゃ優秀みたいなソン・サンムン。
わりと自由奔放な性格のようで、妻夫木くんに似たハンサムさんが手綱を握っています。
賢こすぎて素直すぎて空気読めない君みたいになっちゃってんのね。
賢こすぎるわりに勉強嫌いみたいだけど。
今後活躍しそう。
マルセンは、先王が亡くなって自分も年がいっちゃっていまいち元気がない。
元気、なくはないけど、政治への影響力が低下してんのね。
ほら、もう時代は力の政治じゃないからさー。
好みのおじさんなんだけど、今はダメンズ状態よね。しょぼい。
かわりにムヒュルがまつげバシバシの美丈夫になっていて笑った。
役者さんがかわったわけじゃないんだけどさー。
妙に貫禄がついたというか……。
こういう生真面目そうな男もいいよね。
ちょっとからかってやりたくなるというか。
さて、次週はとうとうシン・セギョンが登場するのでしょうか?
美、とはいえ、男子ばっかのこの世界。
そろそろ美しい女性も登場して、ドラマを盛り上げていってほしいところです。
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