日本人なら高倉健の映画は観ておかないとなぁ……
というわけで「幸せの黄色いハンカチ」を観て桃井かおりの桃井かおりっぷりに驚いたり、
「野性の証明」を観てつたないスプラッタ描写に笑い転げてみたりでしたが、
とうとう「新幹線大爆破」観ちゃいました。
ハリウッド映画「スピード」の元ネタだよ、と言われているわりには
本家にそんなスピード感っつーか爽快感がないじゃないかと思ったら、
それは以下のようなわけであったようです。
参考→しんゆり映画祭ゲストトーク
海外での公開版は人間模様の描写がけっこうカットされてるやつだったんだねー。
そのおかげで
「新幹線に爆弾がしかけられた!スピードを80キロに落とすと爆発する!」
という仕掛け部分だけを抜粋された新しい映画ができたわけで、面白いもんですな。
しかし言うてもね、「この映画おもしれー!俺もこういうの撮りたい!」って思ったくらいの人が
ディレクターズカット版を観ないで撮るってのも考えられない話で、
完全版観たうえで、スピード感重視の作品を作ったんじゃないですかね。
あくまで推測ですが。
※ちなみにウィキには、「元ネタは『暴走機関車』だと脚本家は言っている」とあります。
〈あらすじ〉
新幹線に爆弾が仕掛けられた!
速度を80キロに落とせば爆発する。
犯人は、高度成長期の日本社会から落ちこぼれた三人の男たちだった。
誰も殺さず、傷つけず、多額の金を奪い取ろうとする犯人たちだったが、
次第にその計画の歯車が狂い始める……。
狂わせたのは警察と国鉄だけどね!
そう言っちゃうのも酷ですが、
とにかく最初っから最後まで「犯人サイド」に感情移入してしまう映画だったです。
だいたい警察が無能すぎだよね。
なにが「おーい!そいつを捕まえてくれ!」だよ。
爆弾解除の方法も全然わかってない状態で何いってんの?
狂ったの?
目の前に犯人がいたら即逮捕したくなる刑事の習性なの?
無能なの?
ってか、ヒロシもなんでマスクすらしてないの?
素顔さらしてどーすんだよ!
そして古賀(山本圭)を見つけた途端に発砲する警察。
おいおい、泳がすんじゃないのか、そういうときは。
犯人グループがふたりだけとは限らないだろ!
そのくせ、爆弾解除の報道を規制して犯人をおびき出そうと姑息な手を使う。
宇津井健でなくともあきれますぜ。
国鉄のえらい人もひどいんだよね。
爆弾がもうひとつあるという可能性が出てきて、
より周辺への影響が少ない場所で新幹線を停止させようとする。
その選択はね、間違ってないというかね、
そりゃ博多の駅について大爆発したらどーなるんだよ?ということもね、あるわけですよ。
ただ10時間もあんなら避難勧告出せんじゃないのかな、と思ったり。
ま、それは致し方ないとしても、
「爆弾解除されたから大丈夫だよ~」って嘘ついて、
結局爆発しなかったから良かった良かった、ってしれっとしてるのがムカつくんですよ。
もう宇津井さんが言い出す前にみんな思ったよね?
ああ、この人辞表出しちゃうな、って。
「黙ってお金を出してくれれば誰も死なずに済んだのに」という、
犯人側の言い分もどうかと思うのですが、
まずは人命救助を優先しようよ、乗客への誠意を見せようよ、と口をすっぱくして言ってやりたいです。
大人って汚い!
もう制作側の思うつぼに嵌まって、すごい面白く観たのですが、
びっくりしたのはまさかのビル火災。
え?ええ~?そんなんアリか~?
「絶対にあり得ないと言えますか?」と聞かれれば、
「あるかもしれません」としか言いようがない。
燃え……ちゃうんだ……。
またね、そんな情報を聞いてもね、
黙々と米ドルを包んでいる健さんがいい。
「え?大変だ!誰も殺したくないからすぐ電話を!」とかは無いわけ。
やっぱそこは犯人なんだよね。
罠かもしれないし、そこは用心しないといけない。
だって自分は逃げたいから。
お金を持って逃げたいの。
「やり遂げることこそ重要だ!」という古賀の遺言もあるけれど、
彼らは思想犯じゃない。
欲しいのはお金で、そのお金を使える自由で、
大勢の命をカタに身代金を要求する犯罪者なんですよ。
そこらへんがちゃんと卑屈なのがいいな、と。
息子も嫁も置いて金持って逃げたい、というのがいいな、と思いました。
日本にいたって夢も希望もないんだよ。
嫁だって息子連れて逃げたんだよ。
仲間のふたりも死んでしまって、健さんにはなにもない。
金を持って逃げたって、何もないんじゃないかという気はする。
それでも黙々と、健さんはお金を包む。
律儀に三等分して。
サトシのふるさとへ送るよう小包にして。
古い映画ですから、今観ると笑っちゃう部分もあります。
もう、新幹線の制御室がパッと映ったときには「マジ?」ってなりました。
おもちゃみたい!
なにあのパネル。
昔の科学館にああいうのあったよ。
ありゃ~、ちゃちいセットだな~、と思いきや、
先ほどのインタビュー記事を読んでいただくとわかりますが、
あれほぼ実物と同じなんですね。
それがわかったら今度は驚愕の嵐。
あんなちゃっちいパネルで新幹線のATCとか完全に制御してて、
運転士はすげぇ技術で85キロギリギリで走行したりして、
新幹線すげぇ!
日本の技術ってすごいね!
ありがとう!技術者のみなさん!
で、その運転士役が千葉真一なんだけど、
もはやわたしの目には「あばれる君」にしか見えない。
ごめんなさい。
とっても真面目な青木運転士なのに。
青木運転士と倉持室長と犯人沖田。
この三人の男たちの熱が、胸を打つ映画でした。
自分の持ち場を守り、必死に乗客の安全を守ろうとした青木運転士。
仕事に誇りを持ち、犯人と真摯に向き合おうとした倉持室長。
最後まで逃亡をあきらめず、必死に逃げた犯人沖田。
途中、妊婦を助けようと奮闘した女医さんも熱かった!
夢の新幹線が開通して、世の中はいけいけどんどんの高度成長期。
そんな社会の片隅で、誰からも救いの手を差し伸べられず、
すさんでいく人間も確かに存在した。
豊かになったはずの日本で、子どもの貧困が6人に1人だとか、
保護を受けずに餓死する人がいるとか、
なんだか現代日本に通じるものがあるんじゃないか。
現代の若者がこの映画を観て、「面白いじゃん!」っていう時、
いったい誰に共感して観ているのかなぁ、と知りたくなりました。
未見のみなさんもぜひ!
※ この映画と共に話題にされる映画で「太陽を盗んだ男」という
カルトな人気を誇る日本映画があるのですが、
こちらもすごく面白いし、やっぱ今観るべきなんじゃないかというテーマでして、
ぜひみなさんに観ていただきたいな、と。
わたしも随分若い頃観たわけですが、今もって忘れられない映画です。
というわけで「幸せの黄色いハンカチ」を観て桃井かおりの桃井かおりっぷりに驚いたり、
「野性の証明」を観てつたないスプラッタ描写に笑い転げてみたりでしたが、
とうとう「新幹線大爆破」観ちゃいました。
ハリウッド映画「スピード」の元ネタだよ、と言われているわりには
本家にそんなスピード感っつーか爽快感がないじゃないかと思ったら、
それは以下のようなわけであったようです。
参考→しんゆり映画祭ゲストトーク
海外での公開版は人間模様の描写がけっこうカットされてるやつだったんだねー。
そのおかげで
「新幹線に爆弾がしかけられた!スピードを80キロに落とすと爆発する!」
という仕掛け部分だけを抜粋された新しい映画ができたわけで、面白いもんですな。
しかし言うてもね、「この映画おもしれー!俺もこういうの撮りたい!」って思ったくらいの人が
ディレクターズカット版を観ないで撮るってのも考えられない話で、
完全版観たうえで、スピード感重視の作品を作ったんじゃないですかね。
あくまで推測ですが。
※ちなみにウィキには、「元ネタは『暴走機関車』だと脚本家は言っている」とあります。
〈あらすじ〉
新幹線に爆弾が仕掛けられた!
速度を80キロに落とせば爆発する。
犯人は、高度成長期の日本社会から落ちこぼれた三人の男たちだった。
誰も殺さず、傷つけず、多額の金を奪い取ろうとする犯人たちだったが、
次第にその計画の歯車が狂い始める……。
狂わせたのは警察と国鉄だけどね!
そう言っちゃうのも酷ですが、
とにかく最初っから最後まで「犯人サイド」に感情移入してしまう映画だったです。
だいたい警察が無能すぎだよね。
なにが「おーい!そいつを捕まえてくれ!」だよ。
爆弾解除の方法も全然わかってない状態で何いってんの?
狂ったの?
目の前に犯人がいたら即逮捕したくなる刑事の習性なの?
無能なの?
ってか、ヒロシもなんでマスクすらしてないの?
素顔さらしてどーすんだよ!
そして古賀(山本圭)を見つけた途端に発砲する警察。
おいおい、泳がすんじゃないのか、そういうときは。
犯人グループがふたりだけとは限らないだろ!
そのくせ、爆弾解除の報道を規制して犯人をおびき出そうと姑息な手を使う。
宇津井健でなくともあきれますぜ。
国鉄のえらい人もひどいんだよね。
爆弾がもうひとつあるという可能性が出てきて、
より周辺への影響が少ない場所で新幹線を停止させようとする。
その選択はね、間違ってないというかね、
そりゃ博多の駅について大爆発したらどーなるんだよ?ということもね、あるわけですよ。
ただ10時間もあんなら避難勧告出せんじゃないのかな、と思ったり。
ま、それは致し方ないとしても、
「爆弾解除されたから大丈夫だよ~」って嘘ついて、
結局爆発しなかったから良かった良かった、ってしれっとしてるのがムカつくんですよ。
もう宇津井さんが言い出す前にみんな思ったよね?
ああ、この人辞表出しちゃうな、って。
「黙ってお金を出してくれれば誰も死なずに済んだのに」という、
犯人側の言い分もどうかと思うのですが、
まずは人命救助を優先しようよ、乗客への誠意を見せようよ、と口をすっぱくして言ってやりたいです。
大人って汚い!
もう制作側の思うつぼに嵌まって、すごい面白く観たのですが、
びっくりしたのはまさかのビル火災。
え?ええ~?そんなんアリか~?
「絶対にあり得ないと言えますか?」と聞かれれば、
「あるかもしれません」としか言いようがない。
燃え……ちゃうんだ……。
またね、そんな情報を聞いてもね、
黙々と米ドルを包んでいる健さんがいい。
「え?大変だ!誰も殺したくないからすぐ電話を!」とかは無いわけ。
やっぱそこは犯人なんだよね。
罠かもしれないし、そこは用心しないといけない。
だって自分は逃げたいから。
お金を持って逃げたいの。
「やり遂げることこそ重要だ!」という古賀の遺言もあるけれど、
彼らは思想犯じゃない。
欲しいのはお金で、そのお金を使える自由で、
大勢の命をカタに身代金を要求する犯罪者なんですよ。
そこらへんがちゃんと卑屈なのがいいな、と。
息子も嫁も置いて金持って逃げたい、というのがいいな、と思いました。
日本にいたって夢も希望もないんだよ。
嫁だって息子連れて逃げたんだよ。
仲間のふたりも死んでしまって、健さんにはなにもない。
金を持って逃げたって、何もないんじゃないかという気はする。
それでも黙々と、健さんはお金を包む。
律儀に三等分して。
サトシのふるさとへ送るよう小包にして。
古い映画ですから、今観ると笑っちゃう部分もあります。
もう、新幹線の制御室がパッと映ったときには「マジ?」ってなりました。
おもちゃみたい!
なにあのパネル。
昔の科学館にああいうのあったよ。
ありゃ~、ちゃちいセットだな~、と思いきや、
先ほどのインタビュー記事を読んでいただくとわかりますが、
あれほぼ実物と同じなんですね。
それがわかったら今度は驚愕の嵐。
あんなちゃっちいパネルで新幹線のATCとか完全に制御してて、
運転士はすげぇ技術で85キロギリギリで走行したりして、
新幹線すげぇ!
日本の技術ってすごいね!
ありがとう!技術者のみなさん!
で、その運転士役が千葉真一なんだけど、
もはやわたしの目には「あばれる君」にしか見えない。
ごめんなさい。
とっても真面目な青木運転士なのに。
青木運転士と倉持室長と犯人沖田。
この三人の男たちの熱が、胸を打つ映画でした。
自分の持ち場を守り、必死に乗客の安全を守ろうとした青木運転士。
仕事に誇りを持ち、犯人と真摯に向き合おうとした倉持室長。
最後まで逃亡をあきらめず、必死に逃げた犯人沖田。
途中、妊婦を助けようと奮闘した女医さんも熱かった!
夢の新幹線が開通して、世の中はいけいけどんどんの高度成長期。
そんな社会の片隅で、誰からも救いの手を差し伸べられず、
すさんでいく人間も確かに存在した。
豊かになったはずの日本で、子どもの貧困が6人に1人だとか、
保護を受けずに餓死する人がいるとか、
なんだか現代日本に通じるものがあるんじゃないか。
現代の若者がこの映画を観て、「面白いじゃん!」っていう時、
いったい誰に共感して観ているのかなぁ、と知りたくなりました。
未見のみなさんもぜひ!
※ この映画と共に話題にされる映画で「太陽を盗んだ男」という
カルトな人気を誇る日本映画があるのですが、
こちらもすごく面白いし、やっぱ今観るべきなんじゃないかというテーマでして、
ぜひみなさんに観ていただきたいな、と。
わたしも随分若い頃観たわけですが、今もって忘れられない映画です。
見ました。かなり前にもTVで見た記憶が
ありましたが忘れてたので、改めて見ました。
タイトルにも書きましたが、先日新幹線で
あのような事件が起きて、この映画も
あながち荒唐無稽な作品だと片付ける事も
出来ないなと思いました。あれがもしテロ
だったらとか考えるとゾっとします。・・・話が
それましたが、この作品は今見るとさすがに
古いと感じるのは仕方ないですね。でも
逆に今この作品を作るとこれ以上に面白い
作品になるのか?なんて思ったりします。
では、また面白い作品を見られたら紹介
して下さいね。
うちのブログは韓ドラばかりでプーさんにはコメントしづらいものばかりですいません……。
新幹線の人的セキュリティについては、
この時代も現代もそう変わらないのかな。
帰省でたくさんの人が乗っている車内だったら……と考えると怖いです。
確かに今この映画をリメイクしても、これ以上面白いものは作れないでしょうね。
普遍性と時代性を併せ持った名作なんだと思います。