いまさら韓ドラ!

韓国ドラマの感想をネタバレしながら書いています。旧作メイン

根の深い木 第8話

2014年04月13日 | 根の深い木
前回、7話の最後。
「このクソ野郎がぁー!」と叫ぶチェユンの表情、ご覧になりました?
次回に続く!の前にある決めゼリフなんですが、どう思う?

わたしは正直びびっちゃったのよね~。
ここでこの顔するか?と思って。

だって、いわゆる「カッコイイ決め顔」じゃないじゃん。
どっちかってーと、ちょっとゾッとするような表情だと思うんだよね。
そして、こういう顔を見せてくれるチャン・ヒョクがますます好きになったのでした。

自分をコケにした男を見つけて、ようやく思い切り戦うことができる喜び。
そういう「愉悦」みたいなものを感じたの。彼の表情に。

もともとのトルボクの性格が、こうした命のやり取りを楽しむようなあやうさを
持っていたのかもな。
いやいや、やっぱり、生き延びるために必死だった北方での経験が、
彼をして、こういう局面で、こういう顔をする男にさせたのかな。
なんにせよ、ゾッとしたの。いろんな意味で。


《あらすじ》


激しく戦うチェユンと、仮面の男ピョン。
と、そこへ、ソイから報告を聞いたムヒュルが兵を率いて捜索にやってきた。
ピョンは懐から書物を落とし、チェユンはすかさずそれを拾う。
逃げるピョンを追うチェユンであったが、チョタクを傷つけられ、追跡をあきらめるしかなかった。

チェユンはムヒュルと合流し、悲鳴が聞こえた寺付近へ着いたが、遺体は消えていた。

慶会楼に、チャン・ソンスの遺体を乗せた船が流れ着いた。
王をはじめ、多くの人々がこの光景を目撃し、ソイは気を失ってしまった。
遺体の下には、「花は花にすぎない。根になることはできない」と書かれた紙がしかれていた。

(これは密本のしわざなのか?)
王は苦悩する。
息子やムヒュルには、心配をかけぬよう、昼寝がしたいと言ってひとりになった。
寝間着を着て、絹の布団に横になるが、恐ろしさで悶々となる。
マルセンの言葉が、耳の奥にこだまする。
死に際の父の言葉が、よみがえる。
先王が歩んだよりも、残酷な道を、彼は歩んでいるのだ。
「わたしは父上とは違います。人を疑い、謀りにかけ殺すことは、絶対にいたしません!」
もだえ苦しむイ・ドに、救いはない。

遺体を目にしたマルセン、右議政も、ソイも、それぞれ強いショックを受けていた。

なかでも、ソン・サンムンは休職願を出すことにした。
死の直前、彼はヘンスと言葉を交わしていたのだから。
「彼にも刺青があった。情報をくれるとも言った」
「ではなぜ、あんなことに……」
親友であり、同じく天地契員であるペンニョンも不安そうだ。
「わたしは知りたい。それが何であろうとも」

ソンスの遺体の下にあった文章は、己丑の科挙でチョン・ギジュンが書いた解答の一節だった。
このことは、大きな意味を持つ。
右議政は、腹心のチャン・ウンソンに自分の秘密を打ち明けた。
「わたしは密本の一員だった」
その事実の重さに、右議政の告白をにわかには信じられないウンソン。
秘密を打ち明けられた彼は、もはや一蓮托生だ。
彼もまた、密本の一員となったも同然である。

長く動きのなかった密本組織。
もはや実体はないものと思われていたが、あらたな動きがあった。
鋳字所の火災、慶会楼の遺体。
これらは、かつて右議政が本元チョン・ギジュンより受けた命令書の内容を表していた。
いよいよ、密本が動き出す時がきたのである。

ピョンは、泮村行首トダムとシム・ジョンスに、昨晩の出来事を報告した。
誰かと会うはずだったチャン・ソンス。相手は誰であったのか?
それはソイであったのだが、彼らには、わからない。
ピョンは額の傷について、問われたが、チェユンとの顛末は伏せ、
密かにイ・バンジ師匠を探すよう、部下に命じた。

ソンスは、後頭部に深く針を刺され、また猛毒を使われて殺された。
カリオンの検死報告を聞き、考え込む様子のチェユン。
そのまま村を歩いていると、明らかな尾行の気配がする。
不慣れな手際の尾行者にわざと捕まったチェユンは、納屋に連れて行かれた。

チェユンを捕まえたのは、ソン・サンムン。
両手を縛り、尋問のまねごとをしてみるが、所詮学士だ。
すぐさまチェユンに反撃され、立場は逆転してしまった。
サンムンの腕に刺青を見つけたチェウンは、「君那弥欲」の燃えがらを手渡す。
「どんな意味だ?」
「王は菩薩にはなれない、ということだろう」
「それは知ってますよ」
「ああ、しかし文法が違う。本来は、君那欲爲弥、だ」
「それが何を意味するか調べてください」
チェユンは、それを調べてくれたら、チャン・ソンスの持っていた書物を渡すと約束した。
事件の真相を知りたい。
その一点で、彼らの目的は同じなのだ。

王は、急遽、キョンヨンを行うことにした。
(ついに王が動き始めたか)と思うマルセンだが、
意外なことにキョンヨンの議題は、税法であった。

地方税は、地方の下級官使が収穫量により決定するが、この量の報告に虚偽がある。
豪族や下級官使、はては宮中の重臣にまで、不正に私財を貯める輩がいる。
13年前、世論調査で否決された税制改革だが、その調査自体に不正があった。
よって今回は、王直々に調査員を派遣する。
この件は集賢殿の管轄とし、ナム・サチョルを責任者とする。

この決定に、腹心の部下である、集賢殿大堤学チョン・インジも当惑気味だ。
税制改革は、重臣を刺激する課題であるからだ。
「13年前の世論調査には、別の意味があったのだ。
地方の方言を収集せよと別命を出したであろう?
そなたはいつから発声の研究をしておる?」
これ以上、重臣たちに計画を邪魔させるわけにはいかない。

王の息子、広平大君は、不安げである。
あらたな世論調査の決定に、重臣の中の不満分子をあぶり出す意図があるのではないかと思うのだ。
「お前にはつつみかくさずすべてを話しておる。
余の心を読もうとするな」
「はい……」
王は穏やかに告げるが、王子はなお憂い顔である。
まさか、大業を遂げるため、父上は先王のやり方を踏襲するのでは……。
王子はムヒュルにその不安を伝える。
「王様は、誰よりも英明でお強い方です。ありえません」
ムヒュルは自分に言い聞かせるように、きっぱりと言ったが、
どうしても、不安をぬぐい去ることができなかった。

その頃、ソイは三角山を必死で這い回っていた。
ソンスから渡されるはずだった書物を探すためだ。
チェユンは、パクポから報告を受けて一緒に三角山へ出向く。
彼の持つ包みを拾わせて、どこへ持って行くのか確認しようというのだ。
そうすれば、彼女が王の側なのか、犯人側なのか、わかるだろう。

チェユンは、ソンスの殺害現場付近に包みを置いた。
泥まみれになりながら、必死で山を探し回るソイの姿をじっと見つめる。
とうとうソイが、その包みを見つけ、中の書物を食い入るように読み始めた。
そして、最後のページを読み終えると、いきなり書物を破り始めた。
泣きながら、本を燃やしてゆくソイの姿を、チェユンは見つめ続ける。

領議政と、右議政、チョ・マルセン、シム・ジョンスらは、
先ほどの王の発言について話をしている。
シム・ジョンスは、王は朱子学を軽んじているのではないかと言う。
税法の改正で打撃を受けるのは、重臣と地方の儒林である。
税率決定に関われない場合、収入が減り、私財を投じた朱子学の普及活動に支障が出るだろう。
朱子学で朝鮮を導くことが不可能になる。
シム・ジョンスの持論展開に、互いの様子をうかがうような面々である。

王は、キョンヨンの後、臣下の動向を調べるよう命じていた。
案の定、不穏な集会が開かれ、地方役人へ伝令を発した役職のものもいる。
過去の上申書を調べ、王への不満を表している者をさぐる。
「王様、重臣のなかに密本はおりません」
ムヒョルの言葉も、王には響かない。
「いるはずだ」
「王様!揺れてはなりません」
王は怒りを隠そうとしない。
「余が何をしたというのだ!自分の朝鮮を作ろうとしただけだ!
それなのに、重臣たちは余にたてつくため、謀議を巡らせているという。
いつもそうだった。
自分たちの既得権を守るために、儒教の道徳を並べ立ておって!」

「集賢殿をたてて、何ができるというのだ?」
父の言葉が脳裏によみがえる。
王は誰もいない真夜中の集賢殿にひとり、入ってゆく。

彼はそこで、若き日の自分と出会うのだ。
まだ髭も蓄えていなかった、年若い自分が話しかけてくる。
「どうした?」
「密本だ。父上が、正しかった。やつらが、契員を殺した。
権力には毒がある。毒を外に出さなければ、中が腐っていく」
卑屈に笑いながら、王は話をせずにはいられない。
若き日の自分は、言葉少なに返事をする。
「だから?」
「権力の毒はうちに隠すだと?文治を目指すだと?」
王は、ツバを吐きかけた。
「お前の思い上がりが、この事態を招いた。
お前がなんの罪もない契員を殺した。
余ではなく、お前が!殺したのは余ではなく、お前だ!」
若き王は、読んでいた本をぱたりと閉じた。
「では」
近づいてくる若き王に、気圧されるように退く王。
「今からでも遅くはない。イ・バンウォンの墓前で涙を流し、赦しを請え」
その言葉に、思わず襟首をつかんだ。
「おのれ、誰に向かって……」
「イ・バンウォンはイ・バンウォンであり、イ・ドはイ・ドにしかなれない。
お前はその程度の人間だ」
「やめろ……やめてくれ……やめろ!」
王は、力なく床に崩れ落ちた。

ソイを追っていたチェユンは、彼女が検案所に入っていったのを見た。
程なく出てくるソイの様子は、何かを隠しているようにも見える。
チェユンはソイの追跡はさておき、検案所に入っていった。
中では、カリオンが成均館に届ける干し肉を切っている。
「ソイは何しにここへ来た!」
刀で脅しつけると、カリオンは震えながら言った。
「酸棗仁とエゴノキを取りによく来られます」
「酸棗仁は眠れなくさせ、エゴノキは気を失わせる」
「いいえ、酸棗仁は煎じて飲めばよく眠れるので、当然そうしていらっしゃるかと。
エゴノキは、眠れない日が続くというのでしかたなく……」
「気を失うほど強い薬を飲んでいるというのか」
「はい、いつも眠れないと……」

チェユンは、カリオン話を信じた。
「眠れないのは怠け者だからだろ?なんで本当だってわかるんだよう?」
パクポはどうにもわからない。
「俺も飲んでいたからな……」
思いがけないチェユンのつぶやきに、ただうなずいてみるパクポだった。

チェユンはひとり、ソイの様子をうかがっている。
酸棗仁を飲みながら、縁側で文字を書いているソイ。
また薬に手を出したソイに、チェユンが声をかけた。
「おやめなさい。酸棗仁を煎じずにそのまま飲めば眠れなくなる。
エゴノキは気を失わせる作用があり、悪事に使われている。
余計なお世話でしたか?」
ソイは、慌ただしく片付けを始め、その場を去ろうとする。
「確かに、わたしには関係ないことだが。
眠るのが、恐ろしいのですか?」
チェユンのその問いに、ソイの動きが止まる。
「なぜ、眠るのがそんなに怖いのですか?」
ソイはゆっくりとふりかえり、チェユンの顔をまともに見つめた。
「酸棗仁で寝ずに過ごして、エゴノキで気を失って眠る。
体が持ちませんよ。それはダメだ」
チェユンが優しく告げて、去ろうとしたとき、王が邸内に入ってきた。

慌てて刀を外し、平伏するチェユンに、王は声を荒げる。
「なぜそれを知っている?なぜそれをしっているのか、答えぬか!」
チェユンは、観念したかのように静かに答える。
「わたしも……それを飲んでいました」
チェユンを見る、ソイの表情が変わる。
「なにゆえだ。体に悪いと知りつつ、なぜ飲んだ?」
「わたしのかわりに、父が死に、眠れなくなったからです」
「……それほど父に会いたかったのか」
「いいえ。怖かったのです。
わたしにとって……父はすべてでした。
ですが、父に先立たれ、恐ろしくなり……悪夢のような毎日でした。
何の罪もない父を理由もなく殺すこの世が、恐ろしくて……。
目を閉じたら、父が恐ろしい顔で……
どうしてだ、なぜ死ななければならない。そう言いそうで……」
チェユンの目が、じわりと赤くなる。
きいている王も、目をしばたたかせながら、言葉が上手く出てこない。

「……どう克服した」
「父を殺した、奴への復讐を誓い、飲むのを、やめました」
チェユンは、置いた刀を握りしめ、顔をあげて王を見た。
ムヒュルは唇をかみ、チェユンに近づこうとした王を止めた。

「復讐を誓ってからは身も心も楽になったか?」
「いいえ。復讐を誓ってからは身も心も疲れ果て、毎日が地獄のようでした」
「なのになぜ、その道を進むのだ」
チェユンは顔を伏せながらも、ギロリと王をにらみつけている。
「自ら誓いを破ってしまったら……わたしでなくなります」

「誓いをやぶれば、自分ではない?」
「それだけ追い詰められ、それだけ憤り、それだけ、正しい……決意だからです」
チェユンは再び顔を上げ、王と見つめ合う。
「それだけ追い詰められ、それだけ憤り、それほど正しい決意。そういうことか」
「はい」
(トルボクの決意がこれほどのものとは……)
王は心でつぶやく。
そして天を見上げ、息を吐くと、ふっと笑った。

「そなたはそなたの道を進め」
王がチェユンにかけた言葉に、ハッとするムヒュル。
チェユンは、刀にかけた手の力を抜き、いぶかしげに王を見る。
(余もまた余の道を進む)

(つづく)


ううううう~ん、なんか、来るな~。
来るねぇ、これは。

ソイを尾行するカン・チェユン。
なんか甘々のBGMがかかった時には、おいおい!と慌てて突っ込みましたが、
その後の王との対話で安心しましたよ。

Loveは少しあってもいいんだけど、こんなわざとらしい演出はいらんのじゃ!
このままこの回ラストまで突っ走るのかと、本気で心配したわ。
ちゃんと最後、渋く決めてくれて良かった。王様万歳。

今回は、これまで危ういところで踏みとどまっていた王様が、
ぐいーんと揺らいじゃう回。
いやいや、心配しましたね。
ムヒュル、ドキドキしたよねぇ?

もう王様が昼寝すると言ってからの悶々とか、
集賢殿の過去との対決(自問自答)には、引き込まれた。
「わたしじゃない!お前だ!」って、結局あなたなんですけど。


ここで〝笑う〟芝居を入れてくるのがこの役者さんの凄さだと思う。

自分のせいで人が死んでいく現状がつらくて仕方がないイ・ドは、
罪悪感に押しつぶされそうになっちゃってんのね。
で、誰かのせいにしたい。
自分は悪くないって、誰かに言ってもらいたい。
でも、王様だもん。
誰もそんなこといってくれない。

いや、ソイだってムヒュルだってそう言ってくれるだろうけど
(実際、ソイはそう言い続けたけど)
「そうだよな、わたしは悪くない」って思った途端に、悪い王になってしまうよね。
だから、俺のせいじゃないって言って逃げたいけど、逃げられない。
その痛みを忘れないこと、毒はうちに隠すこと。
王としての決意はそこにあるんだから。
イ・ドがイ・ドである意味と、理由は、そこにあるんだから。

で、それを思い出させてくれるのが、自分の命を狙うチェユンだという皮肉。

この妙味が、ぐっとくるわけさ~。

チェユンは、ソイを疑ってた。
とういか、海の物とも山の物とも判別がつかないでいた。
と、そこへきて、彼女が自分と同じような苦しみを背負っているんだ、と気付く。
寝るのが怖いから、ぎりぎりまで体を酷使して、薬を使って起きて、
どうしようもなくなると、気を失うようにして眠りにつく。
そうやって、なんとか生きてきた自分と彼女の苦しみが重なり合う。
この気持ちは、なんなのだろうね……。

ってとこで安易なBGM使わないでよねー!(怒)

えへ、でもちょっと嬉しかったりして。

いつになく優しいチェユンの声音が嬉しいシーンなんですが、
ここは定石。
もっとこう、私的に、来るシーンが次のシーンなわけですよ。

いきなりの王様出現に、ハッとしてすぐさま平伏の姿勢になるチェユン。
いつもの猫っかぶりに見えなかったのはなぜかしら。
いろいろ考える前に、体が反応した、って感じだったような気がする。

それはもちろん、おかしな疑惑を持たれないために身につけた習慣だと思う。
王様への復讐心を隠して、普通の官使。成り上がりの田舎者の演技。
けど、
あの日、ホ・ダムの死を調べよ、と任命されたあの日、
王の目を見たチェユンの中に、何か復讐の念とは別の気持ちが芽吹いたような気がするんだ。

それが何かはわからない。
ただ、彼にとっての王が、単純に父の敵と憎むべき人間ではなくなった気がするの。
王の中にある、覚悟というか、なにか暗くて重たい、業のようなものを、
チェユンは感じたんじゃないかな~って。
単純にいうと、王への畏怖というか敬意のタネがぽつんと落ちたんじゃないかなーって思うのさ。

どうかなー。どう思う?

ま、それはわたしの個人的な感想なんだけど、
そう思いつつ見ると、チェユンの表情がまたいいんだよね。

ソイに対して、素の心で話をしてたから、
「答えよ!」と王様に言われて、スッと嘘がつけなかったのかな。
それとも、ここまで話したって、王はなにも覚えてないし、
トルボクの父のことなんか知りもしないだろう、と考えたのかな。
チェユンは、本当のことを語ります。

すべてだったお父さんが死んじゃって、怖くて仕方なかったなんてきいて、
わたしもぶわっと涙が……。
しかも、愛していたお父さんが、自分を責める悪夢を見るのではないかと
恐ろしくて、眠ることができなかったなんて……。

あんなに攻撃的だったトルボク。
でもあれは、恐怖の裏返しだったのね。怖いから、体中に針をまとったのね。
虚勢をはりながら、漏らしてたトルボクの姿が思い出されて涙が……。

イ・ドも、寝るのが怖いんだよね。
父親が夢に出るのが怖い。わたしのいう通りだったろう!と高笑いされそうだものね。
ソイももちろん、眠るのが恐ろしい。
きっと、トルボクに「お前のせいでみんな死んだ!」と責められたシーンを見てしまうからね。

でも、トルボクは克服した。
父の仇に復讐を誓ったから。
だからといって、全然楽になるわけじゃないのよー!
それこそ、もっと過酷な日々が始まっただろうと思うのよ。
憎悪を抱き続けることが、どんなに心を疲弊させるか、
復讐のために精進する訓練が、どんなに体を酷使するものなのか。
単純に考えたって、そうなるだろうって想像がつくよね。

イ・ドも、もちろんわかって聞いてる。
それでもなお、復讐の道を進む彼の想いを知りたいのね。

「誓いを破れば、自分が自分でなくなる」

うう、トルボクの決意の重さはいかばかりか……。
こう決心しなければ生きてこられなかった過酷さはどんなものだったのだろうか……。
ここはみんなで彼の少年時代を思い、オイオイ泣いていいところですよ!

王様もムヒュルも、彼がトルボクだと知ってますからね。
心の中では彼の生き様に驚嘆していることでしょう。



この回の最初ね、チョタクが傷の手当てをされて助かった場面ね、
パクポの軽口に、チェユンが真剣に怒るじゃないですか。

「卑しい身分、卑しい人間はいるかもしれないが、
この世に卑しい命なんてありゃしないんだ」

あの静かな、本気の彼の怒りがね、すべての根源だと思うの。
王様は別に、卑しい命だから死んだっていい、と思って
トルボクのお父さんを犠牲にしたわけじゃないんだけどさ、
取るに足らない卑しい命、として扱われたお父さんの死が、許せないんだよね。

パクポみたいに、恵まれた人間にはわからない。
生まれてからずっと、人間扱いされていなかった人たちの気持ちなんて、
わかるわけないよね。
チェユンの気持ちをちゃんとわかってるチョタクがいてくれて、本当によかったと思う。

チェユンは、うつむいて話すとき、わりと憎悪を目に光らせてるでしょ。
憎しみを隠そうとしないでしょ。
でも、顔を上げたときには、ふっと憑きものが落ちたような顔をする。
これは、王や側近を油断させるための仮面なのかもしれないし、
そうでないかもしれない。


顔を上げたときのフラットな表情。

お父さんのことを思い出すとき、つらい日々をなぞるとき、
思わず瞳に力がこもるけれど、
彼は、個人的に王を憎んでいるわけじゃないと思うの。
チェユンの怒りの向いている先は、理不尽な世の中そのものなんだと思うの。
その象徴としての王。
と同時に、父の具体的な死を誘発した王。
その「王」を殺すのが、彼の復讐なんだと思うの。

だから、王を見る目が妙にギラギラしたりしないし、
どこか達観したように、目の前の王を殺すための算段を練っているのじゃないかしら。

と、まぁいろんなことを考えてみてしまいます。

美しい、美しい、と書きながら載せてなかったソイ。
彼女の美しさが十分発揮できてない気がする……。
もうちょっと表情が豊かでもいいですけどねー。
心に傷を負った女性ですから、固いのかなー、と良い方に解釈。
ええ、もちろん贔屓してますよ。いいんですよ、わたしアカデミー賞審査員じゃないし。
彼女のこと好きだからいいんです。


タムだった頃を思い出すよねぇ。

今回、汚れた顔で泣きながら本を燃やすところはよかった。
食べちゃったらどうしようかと心配しましたが、燃やすだけだった。ほっ。
これは彼女が映像を瞬間記憶できるからですね。
すべては彼女の頭の中に、ということでしょうか?
そのわりに帳面に書き付けていたのは何なのかしら?

美しい人は、薬を飲む所作も美しいですね。
ちょっと自分で薬を飲んでご覧なさいな。
錠剤なんか、水と一緒に口に含んで、舌と喉の動きで飲み込んでしまうでしょう?
そこを、くっとあごをあげて、薬を飲み込む彼女の白い喉の美しさ。
演出はツボを心得てるよな。

チェユンも、心に傷を持つ者同士のシンパシーを感じているようですが、
このこがタムだと気付くのはいつの日か……。
しかし毎回思いますが、わからんもんかなぁ。
小学校の同級生、仲良しの子だったら特に、今会ったらすぐわかる気がするんだけど……。

今回は重いシーンが多かったですが、サンムンの場面は楽しかったですね。


この子、気持ちが全部顔に出ちゃうのね。

捕まえたつもりが捕まえられちゃったサンムン。
殴られててかわいそうですね。
しかしこの子が「パスタ」にでてきたヒョヌくんか~。
全然意識してなかった。
重要な役どころを演じる役者さんになったのね。

知りたがり屋のサンムン。
彼の好奇心が、身を滅ぼさなければいいけど。

仮面の男ピョン。
もう書きたくないけど、ピョン、って書かないと話が進まないから書くね。
もっと響きのいい名前はなかったのかしら。
ピョンって、かわいすぎるやろ。
この人、チェユンとのこと、誰にもいわなかったね。
こういう個人的な因縁が、大きな流れに影響してくるのはよくある話。
こちらも楽しみです。

このドラマはミステリーともあって、誰にも心揺れず、チェユンだけを見ていられて良かったなー。
恋愛がからんでくると、いい男が何人も出てきて困っちゃうんですけども、
そういう悩みはありません。
サンムンやペンニョンは弟的にかわいい。
ピョンは、これまた影のあるカッコよさげな人ですが、
見た目が特に好みじゃないので、惑ったりしません。

あ、チョ・マルセンとムヒュルは別格だからね。
ってか、別枠で好きだから。
特にマルセン叔父。(別に叔父でもなんでもないけど、そう呼びたい)
先王に仕えていたのはあれとして、やはり国を憂う気持ちが大きく、
私服を肥やす悪い奴じゃないところが好き。
対密本戦では、強い味方になると思うのよね~。
もう年がいってて実行部隊とかは無理だろうけど。
先王が亡くなったときの大泣きの様子を思い出しては、ふふ、と笑ってしまう。
イ・バンウォンのこと、尊敬してたんだね、すごく。


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2 コメント

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Unknown (ユキネェ)
2014-04-13 16:10:17
「チュノ」に続くチャン・ヒショク3作目の時代劇ですね!
王や英雄よりも反骨精神むき出しの庶民が似合う。
彼のワイルドな魅力にゾッコンです(*^^*)
「カリオン」役のユン・ジェムンがまたいい!
現代モノですが「マイダス」で、この二人が企業買収と株取引をめぐる先の読めない欲望の復讐劇を演じていて、「根の深い木」とついダブって見てしまいました。
現代では刀ではなくファンドマネーが武器の戦いで、二人のスリリングな関係が楽しめます。





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3作目なのね (ビスコ)
2014-04-13 22:30:32
ユキネェさんこんにちは!コメントありがとうございます。

えっ?3作目なの?と慌ててググりまして、わかりました。
「大望」「チュノ」ときての「根の深い木」なわけですね。
大望(テマン)は2003年のドラマだから、今から10年前のチャン・ヒョクなんですね~。
きっとすごく若いんだろうな。

先ほど第10話を観たところです。
カリオンがいい、というのはこれから徐々にわかってくるに違いないですね。

「マイダス」については、まったくノーチェックでした。
チェユンとカリオンが対決か~。
以前競演したときとはまったく違う設定のドラマを演じるのって、
俳優さんはどんな気持ちなんでしょうね?
見ている方は不思議な気分になりそう。
ふたりの現代劇、面白そうです。

いろいろ教えていただいてありがとうございました!
チャン・ヒョクやっぱりカッコイイですよね。
>彼のワイルドな魅力にゾッコンです(*^^*)
わたしもです~
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