愛煙家の多事総論

このブログは愛煙家こと私が、世の中の色々なニュースに対して、自分勝手な評論をする駄ブログでございます。

迫られる決断

2005-10-30 21:07:38 | 雑感
今日は始発の銀座線に乗り、会社へ。

別にそこまで急ぐ必要なんざ少しもないし、そもそもまだ出張休みの最中なのだから出社の必要すらないのだが、会社で使っているノートパソコンを、この際自分の家に持って帰って、整理しようと思ったのだ。

で、始発の銀座線に乗り込む。

通勤ラッシュ時には暑いわ臭いわ痴漢は出るわ、議員秘書がこれ見よがしに国政語るわ・・・で、何かとやかましい銀座線だが、始発、日曜日ということもあって、自分の乗った車両の乗客は、自分と、初老のおじさん一人。

目的の駅に着くまで、音楽を聴きながら本を読もうと思っていたのだが・・・。

そのおじさん、俺の前に座った。

ちなみに俺はガラガラの電車に乗るとき、大抵すみっこに座る。
特にこれといった理由は無いが、やはり極力他人に気を使わずに済むすみっこが好きなんだろう・・・とは思う。

で、そのおじさんも同じような考えなのか、はたまた寝たいから身体をもたせられるすみっこに来たのかどうかは分からないが・・・。

とにかく俺の目の前に座った。

電車が発車し、ガタコンガタコンとゆれ始める。

さて本でも読むか・・・と思い、視点を本に落とそうとしたとき、妙なものが目に入った。

見間違いかと思い、目をこすってもう一回見てみたが間違いなかった。

目の前のおじさん、

頭皮部分だけが不自然に揺れている

カツラだとは思うが、何故揺れる?
しかも微妙におでこから浮いているし。

頭に何か出っ張りでもあるから、カツラを被ったら浮いてしまったのだろうか。つーか出っ張りってなんだよ?
だとしたら何だ?分からない、分からないよ神様!
それにしても普通は気がつきそうなもんだが・・・。

俺の気持ちをよそに、おじさんはのん気そうな顔でスポーツ新聞を広げる。

電車は一駅過ぎ、二駅過ぎる。

その間誰も乗ってこなかった。

俺は失礼とは思いながらも、おじさんの頭をちらちらと見ていた。
俺は妄想した。

おじさんはこれから出社するんだろうか?出社したときに他の人に見られたら、おじさんの社会的地位は失墜するんじゃないか?つーか会社に行くまでにかなりの人に見られるだろ!いや、でもよく考えろ。今時ああいったかぶるタイプのカツラは古いと聞いている。もしかしたら罰ゲームなのかもしれない。そう、きっと罰ゲームだ!出なきゃいくら鈍い人間でも気づくだろ。だってかつらが揺れてんだぜ?ああ、でもおじさんがまだ眠気が取れてなかったら、案外気づかないもんかも・・・。それに、あのカツラも地毛が全く残ってない人が装着するオールタイプなのかもしれない。だとしたら、おじさんはこれまで自分がカツラだということ周りの人に隠してきたのだろう。それが今日ばれるかもしれない。つかばれる。だっておでこから浮いてるし、揺れてるし。ばれる、絶対ばれるって!どうしよう、ここは意を決して教えてあげるべきだろうか?今なら俺一人しかいない。おじさんも恥ずかしい気持ちをするかもしれないけど、俺一人しかいないとすればほっとするかも知れない。だけど見ず知らずの人。そこまでするのはおせっかいというものかもしれない。それに逆ギレされないとも限らない。だが、もしおじさんがこのまま衆人環視の中を歩き回れば、おじさんの精神的ダメージは計り知れないと思うぞ?もしかしたら自殺しちゃうかも・・・。それは止めねば。それに、あんなもん揺らして歩き回られたら、ある意味公然猥褻に近いもんがある。そう、俺が教えてあげれば、おじさん、ひいてはアレを見て笑いをかみ殺す人を救うことにもなる。だけどどうやって教えるよ、俺?頭が揺れてますよ?カツラが浮いてますよ?そんなの言っている最中に俺自身が爆笑しちまいそうだ。やはりここは黙って見て見ぬ不利をするのが一番なのかも。いやいや、良く考えてみろ。俺だって社会の窓全開で街を闊歩しているときに、親切なおばあちゃんが教えてくれたじゃないか。あれは恥ずかしかったなあ。じゃなくて、そう、人間は助け合うべきだ。でなけりゃ生きてる甲斐も無い。だが、自分より若造の男に指摘されたら流石に怒るんじゃないだろうか。いやでも。いや、しかし・・・



と江川達也の東京大学物語の主人公ばりに支離滅裂で終わりの無い逡巡を繰り返した挙句・・・

教えてあげることにした。

自分が降りる駅ではなかったが、電車が駅に着いたのを幸いに、おじさんの近くに寄り

「すいません、カツラ、浮いてますよ」

と。

ああ、言っちまったよ・・・。
さ、早くこの場から逃れるべ・・・。

と思っていたら、おじさんは予想もしなかった行動を。

「え?ウソ!?」

と言い、あろうことか公共の場で、俺という人間が目の前にいるのに、

カツラを脱いだ。

ちょ・・・おじさん・・・それはいくらなんでも・・・。

と、おじさんの見事に禿げ上がった頭頂部に白い布らしきものが。
ティッシュか、ガーゼか知らないが、恐らく蒸れて汗が気持ち悪いから、その予防策に入れたのだろうが・・・。


とどめを刺されました。




色々と苦しい目にあったけど、教えて良かった・・・よな?
家に帰ってからも、少し考えさせられた。

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