fantasia*diapsida

とりとめのないメモの山

dino=phylogenetics:2

2007-05-25 00:00:00 | biologie*


記事"dino=phylogenetics:1"より続き.....


恐竜Dinosaur というのは、

有羊膜類 Amniota
竜弓類 Sauropsida
爬虫類 Reptilia
双弓類 Diapsida
主竜形類 Archosauromorpha (系統学の便宜上、「主竜類の上位」という意味でおかれたグループ)
主竜類 Archosaurs 

に含まれ(それらの条件を全て満たし)、

「骨盤の寛骨丘acetabulumが貫通し、仙椎sacrals(脊椎のうち骨盤に結合するもの)が3個以上ある」

という動物だ。


さて、では鳥類はどうかというと、実は上の“恐竜の定義”から外れるものはなく、
いや、分岐分類学的には完全に「恐竜類Dinosuria」に含まれる。
過去に恐竜と鳥を分けるものとされていたものの1つに羽毛があるが、
「羽毛を持つ」ことが鳥の派生形質ではないことは周知の事実。
むしろ過去に生息していた「非鳥類型恐竜」の方が、
現生の鳥類より遥かに多様な構造の羽毛を進化させた可能性まで示唆されている。
内温性や鈎状突起も同じく。

敢えて恐竜-鳥を分ける特色を1つ挙げるなら、後脚の第1指(要は親指)が、
前を向くか・後ろを向くか、といったことか。(前向きの第1指を持つトリも多いんだが)
つい近年、始祖鳥Archaeopteryx lithographica
第1指を後ろ向きから前向きに復元しなおされたために、
「恐竜的な鳥類」→「鳥っぽい恐竜」に分類が変わった話がある。

いずれにせよ、恐竜と鳥との違いは、まったくもって少なく、今やそれは「飛行に特化した恐竜」
と考えられるまでになったのである。
1986年にはJ.A.Gauthierが分岐分類学的手法を用い、100を越える形質によってトリもArchaeopteryx
コエルロサウルス類Coelurosauriaの恐竜であることを実証している。



さて、記事も二つに分けて、長文になった。簡単に拾っただけなのに。
こんなトコロで元来パソコン苦手な人が、考えられるだけの概念を全て打ち込むのは困難だし、
実際最後の方何書いてるか分からなくなってきた。(内容端折りすぎ)
ま、学説なんて色々ですし、ひょっとしたら今日明日にも
今書いてる内容は全くのフェイクになってるかも知れない。特にこの辺の分野は議論が激しいので。
  コエロフィシスは共食いをした。→腹にあった化石は別種のもの。
  ティランノサウルス・レックスの♀♂の別は血道弓より。→血道弓新しく出てきましたし、
                                    ワニの♀♂を血道弓の有無で定義することは出来ません。

  恐竜はユカタン半島への隕石の衝突で絶滅した。→理論的に不可能。時代もズレてるし。
ちょっと前まで通説だったことが、今専門家の間では全くの過去のものとなっているのだ。



今後見直すことがあれば適宜、加筆修正していきますが、ミスなどあったら御一報。


最後に、実はもう1個有羊膜類の系統樹を作った(双弓類中心に)ので、折角だから公開しちゃいます☆
こっちの方が分かりやすいか、日本語だし。





*恐竜関係の書籍(そんなに俺、読書家やないねんけど。恐竜好きとして参考までに。) :

  ・The Evolution and Extinction of the Dinosaurs
   David E.Fastovsky / David B.Weishampel:著,(Cambridge Univ Pr)
    アメリカの大学では教科書としても用いられる有名本。
    恐竜の分類群の解説は勿論ですが、“進化”や“科学的考察”の概念も包括的に書かれて、ためになります。
    全体的に分岐分類学・進化学的な思想で貫かれており、“生物”としての恐竜が味わえます。
    下に訳本も挙げましたが、原文で読めればなお素晴らしい…かも!

  ・恐竜学 進化と絶滅の謎 
   David E.Fastovsky / David B.Weishampel:著, John Sibbick:イラスト, 真鍋 真:翻訳 (丸善)
    上の“The Evolution~”の翻訳本。少々高いですが、読みやすく、面白いです。内容も正確。
    分岐分類の考え方に従ってか、リンネ式分類名は「科」「属」「種」以外は避けられています。

   実は訳本、違う翻訳者・出版社で(いいか、違う訳者・違う出版社だからなっ!)もう1種ありますが、
   誤訳甚だしいらしく、とても読む価値は無いと聞きます…(未読ですが)

   ・恐竜大百科事典
   James O. Farlow / M.K. Brett‐Surman:著, 小畠 郁生:翻訳 (朝倉書店)
    読みやすい上、内容は研究史から分類、工学、化学、生態に進化と多彩。上の“恐竜学~”と並んで
    今の日本の恐竜本の中なら最高水準のものかも。
 

   ・The Glorified Dinosaurs: Origins & Early Evolution of Birds
    Luis Chiappe:著, (Wiley-Liss; New Ed版)
     最近出版された本で、まだ読んでません。内容はトリの起源や進化について纏めたものらしいです。
     多分かなり良い本だと思う。そのように聞く。

   ・最新恐竜学レポート
    金子 隆一:著,  (洋泉社)
       「あなたが知っている恐竜の知識は時代遅れだ! 」という本。学術的な薀蓄ってよりはエッセイです。
      出版は2002年ですが、私が感じるに日本人の一般的な恐竜の知識は相変わらず'70年代から変化せず、
      “時代遅れだ! (自戒も含めて)”と思うので、是非読んでみて下さいな。


恐竜関係の書籍って眉唾なものとか、興味本位でかかれたものとか、吃驚する位時代遅れなものが
少なくないんで、気をつけなきゃならんのです。哀しいかな。




P.S. →"植物"の系統も簡単に書いてみたよ☆緑色植物以外の各門について。

ps. ・eodromaeus: エオドロマエウスと、エオラプトル。系統と形質の評価に関して。
        2011年1月。つまりこの記事から約4年後の自分の認識。


にほんブログ村 科学ブログへ にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ


BLOG内LINK:

disosaurs of gondwana 2009: 『大恐竜展 知られざる南半球の支配者』
dinosaur expo 2009:01 - 05  『恐竜2009 砂漠の奇跡』


最新の画像もっと見る

2 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
俺も... (まきの)
2007-05-28 00:21:10
俺も恐竜が好きで、昔は本気で考古学者になろうと思った時期があった。親父から「その道へ行っても学者になれる人間なんて砂漠の一粒の砂くらいなもんだ」と止められたが...

確かに大多数の日本人のイメージは、恐竜って火星人と同じような認識を持っている様な気がする。
返信する
俺も~ (LOKI:)
2007-09-20 15:40:28
未だに両親からは半分奇異の目で見られてる部分もあるかも…?
だから(ってわけでもないけど)化石屋さんよりこれからは分岐分類屋だ!分子進化屋だ!ってこじつけて、
「ゲノムとか分子とか、新聞でよく見るでしょ?だから潰しも利くし~」などと親を誑かし(笑)医者だの弁護士だのを蹴り捨てて生物学方面へ進んだ一面もあることはある?
地球科学の方に"古生物学"って分野はあるんだけどね。地学より生物が好きではあるし。俺は化石より系統樹書いたりするほうが好きだから。
返信する

post a comment