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とりとめのないメモの山

Ovalipes punctatus

2009-02-28 00:00:00 | biologie*
ヒラツメガニ Ovalipes punctatus (De Haan, 1833).

節足動物門 Arthropoda
甲殻亜門 Crustacea
軟甲綱 Malacostraca
真軟甲亜綱 Eumalacostraca
ホンエビ上目 Eucarida
十脚目(エビ目) Decapoda
抱卵亜目(エビ亜目) Pleocyemata
短尾下目(カニ下目) Brachyura
ワタリガニ科 Portunidae  。

甲長20cmそこそこの浅海に棲むカニで、
地方によってはマルガニとかエッチガニとか呼ばれるが標準和名はヒラツメガニだ。
もともと流通が少なくて地元消費がほとんどだったが、
最近では何故か、たま~にスーパーでも見かけるようになった。
ズワイガニのような食べ応えのある筋肉はないが、
癖がなくていい出汁が出るので、ぶった切ってカニミソごと味噌汁などにすると美味いですぞ。


カニ(短尾類)の特徴は、なんと言っても名前のごとく"尾が短い"ことである。
十脚目の大多数を占めるエビなどと比べると、かなり形が独特に変形しているように感じるが、
単に頭胸部が大きくなって逆に腹部が短縮し、頭胸部の腹側に腹部をピッタリ折り曲げているからなんだか変な形に見えるわけで、
この腹部(所謂"蟹のフンドシ")を伸ばしてやると、ちゃんとその裏には肢が生えている。
ちなみにカニの中でも、九州などで食べるアサヒガニ Ranina ranina (Linnaeus, 1758)などでは腹部の折りたたみが不完全。※注1

 ちなみに"カニ型"の体制は短尾類のみならず、
 ヤドカリに代表される異尾類でも複数の系統で独立に発生している。
 短尾類の連中をそのまま"カニ類"と呼ぶなら、
 タラバガニもハナサキガニもヤシガニもカニダマシも"カニ"ではない。
     ⇒ハルマンスナモグリNihonotrypaea harmandi (Bouvier, 1901)の記事も参考のこと
思うに、節足動物ってーのは、陸の連中も含め、泳いだり潜ったりするよりも歩行に特化すると、
体長が短縮して肢数が大幅に減るような傾向にあるような気がする。

ところで、パッと身で分かるカニの特徴は、十脚類の名の通りの5対の歩脚のうち、
第1番目の肢がハサミ上に変化していること。
他4対は先端が分枝することもなく歩行に特化しているのだが、
ヒラツメガニのようなワタリガニ科では第5脚が二次的に平たくなり、遊泳脚として機能している。


※注1:
マニア受けするアサヒガニくんである。
ハワイで"kona crab"と呼ばれるアイツだ、と言った方が通じる方もおられるかもしれない。
たぶん日本国内より東南アジアや南太平洋の島々などでよく食されている。
形態から、カニの中でも"原始的な"系統なのかなぁと想像されるが、実際どう言われているんだろう?
コイツの標本に関しては「いや~こいつは美味しかったよ~」と話す某μ先生所蔵物を
ちょいと弄くらせていただいたことがあるが、まさに大変カッコいい甲殻類と感じた次第、
そのうちどこかで食す機会あれば飛びつく算段でいる。
ちなみに海洋堂の手がけた国立科学博物館公式フィギュアにもアサヒガニがある。もちろん持ってます。

BLOG内LINK:
specimens: その他の収蔵標本。
Tetraclita japonica: クロフジツボ。同じ甲殻類の誼。
Nihonotrypaea harmandi: ハルマンスナモグリ。同じ甲殻類の誼。


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