残照日記

晩節を孤芳に生きる。

言語道断

2012-01-17 14:26:21 | 日記
【分を尽くせ】明恵上人
≪人は阿留辺幾夜宇和(あるべきようわ)と云ふ七文字を持(たも)つべきなり。僧は僧のあるべき様、俗は俗のあるべき様なり。ないし、帝王は帝王のあるべき様、臣下は臣下のあるべき様なり。このあるべき様を背く故に、一切悪きなり。≫(「栂尾明恵上人遺訓」より)

≪大型客船コスタ・コンコルディア(乗客・乗員約4200人)がイタリア西岸で座礁した事故で、運営会社は15日、船の針路や避難指示について「船長の判断ミスが重大な結果を招いた」との判断を示した。AP通信などが伝えた。 スケッティーノ船長(52)は乗客全員の避難を確認せず、先に下船したという。イタリアの法律では、緊急時に船長が船を放棄した場合、12年以下の禁錮刑が科される。また島に近づきすぎたことが座礁の原因とみられ、捜査当局は航行情報を記録したブラックボックスを回収して原因解明を進めている。≫≪停電で室内が真っ暗になる中、避難指示はなく、救命ボートに詰めかけた乗客を船員は押しとどめた――。救出された日本人乗客が、避難時の混乱した状況を語った。 …≫(1/14朝日新聞)

∇有数の豪華客船であるのに、適切な≪避難指示はなく≫、船長が≪乗客全員の避難を確認せず、先に下船した≫というのが事実なら言語道断である。咄嗟に、1982年に起きた日本航空350便の羽田沖墜落事故のことを思い出した。墜落直後、航空機の機内で、あるスチュワーデスが涙声ながら、「落ち着いてください、この飛行機は沈みません」とアナウンスして、乗客の過度の不安を鎮め、着実に誘導したことを。又、この度の東日本大震災でも「自分の役目をまっとうした名も無き人々」の美談が幾つも聞かれた。例えば津波に押しつぶされた宮城県南三陸町で、防災放送の担当職員だった遠藤未希さん(24)。大きな揺れの後、津波の来襲と高台への避難をひたすら呼び掛け続けた。

∇≪3月11日、未希さんは防災対策庁舎の2階で放送していた。「6メートルの津波が来ます。避難してください」。冷静で聞き取りやすい呼び掛けが何度も繰り返された。海岸にいた両親にもその声は届いた。が、未希さんは津波に呑み込まれて死んだ。 庁舎に残った職員約30人のうち、助かったのは10人。高台の高校に避難した人からも波にさらわれる職員の姿が見えた。……(母親の)美恵子さんは「放送が途中で切れた」と知人に聞かされた。最後の方は声が震えていたという。「放送するのに精いっぱいで、逃げられなかったんだろうね。実際は怖かったと思う。」 。避難所へ逃げた女性(64)は「あの放送でたくさんの人が助かった。町民のために最後まで責任を全うしてくれたのだから」と思いやった…。≫(産経新聞他) それらに比すれば“豪華客船”とは、名ばかりの「お粗末」さよ!