減価する通貨が導く近代超克への道

自然破壊、戦争、貧困、人心の荒廃・・・近代における様々な問題の根本に、私たちが使う「お金の非自然性」がある

日本を変えるため、そして『守るため』の投票

2007-07-29 09:45:50 | Weblog
本日参院選の投票日です。どこ・誰に投票すればよいかと悩んでいる方は、ぜひ以下のろろさん記事を参考にしてください。

日々是勉強
「明日は参議院選挙~これだけは忘れないでほしいこと 」
http://roronotokoro.blog113.fc2.com/blog-entry-4.html

>>>>>>>>>>>>>>>
 私が思う、今回の選挙(及び次の衆院選)の最大の焦点は、「グローバリスト政権の暴走をいかに阻止するか」という点にあります。

 安倍政権がグローバリスト(利益の極大化のために、日本国内への影響をかえりみず対外進出を行い、国家間の垣根を取り払おうとする勢力)の忠実な使用人であることは、以下の記事で繰り返し述べてきました。

  ●【破滅への】東アジア共同体とアジア・ゲートウェイ構想【片道切符】
  ●「自民党は野党よりましだ」と思っている人々へ
  ●【参院選】自民ダメ、民主ダメ・・・ならばどうする?

 彼らの狙いを簡単にまとめると、「外国(特に中国)との一体化を図ることによって一部の人間の利益を極大化する」ことに尽きます。
 これを防ぐには、あらゆる手を使うしかありません。参議院で野党が議席を伸ばすことで、それが可能になります。
・・・・

現実の社会が約束事だらけでうまく行かないように、民主主義も曲がりくねった細い道なのです。それを邪魔だの鬱陶しいだのと言い、安倍政権の法案成立はスピード感があってよい、などと論評しているブログは、ファシズムを支持しているのと変わりがありません。
逆に言えば、野党が議席を伸ばすとその辺の抵抗がしやすくなるということです。
・・・・

安倍政権を支持している方は自主国防や国家としての自立を錦の御旗にしているようですが、今の日本は国防以前に、経済の面でグローバリストの道具になってしまっています。ここを阻止し、うまく行けば跳ね返して、初めて自主国防は意味を持つのです。現状で憲法9条を改正し、自由度の高い軍隊を作っても、グローバリストの利益確保手段(アメリカ軍への編入や、アジア権益の防衛)に使われるだけです。

もっとも、安倍政権の場合、軍事力云々の以前の段階で外国に対して屈従しているのが現実です。経済面では三角合併の要件厳格化見送りや社会保険庁解体(年金を外資のためにミンエーカするのが見え見え)を実行し、何より「アジア・ゲートウェイ構想」などというグローバリゼーション構想を掲げてるのです。

もはや、保守であると自覚する人々が安倍政権、いや自民・公明党政権を支持する理由はありません。
  
具体的な投票について、もう一度おさらいしておきます。

(1)鳥取のような一人区では、民主党に投票する

(2)東京のような複数改選の選挙区では、
  「国民新党」か「共産党」に投票する。
  (改選人数が二人なら、民主でもよい。)

(3)比例区は、第一に「維新政党新風」、
  第二に「国民新党」「共産党」のどちらかに投票する

(4)「自民党」「公明党」「社民党」には絶対に投票しない  


  理由は、上のリンク記事で述べたとおりです。とにかく、グローバリストの日本破壊を止めるのが現状では優先です。
  「民主党のような売国を支持するのか」などという筋違いの批判は無視しますので、悪しからず(筆者は、民主党を「支持」などしていない)。

  そして、与野党の角逐を続けさせながら、本当の保守勢力を育てていくことです。それができないのなら、「ネットでの自由な言論」などというものは無意味です。政権側の支配補強道具に成り下がるだけでしょう。

  日本や日本人を金儲けの道具にする勢力には、徹底的に抵抗しなくてはいけません。「民主に入れると売国」「ましだから自民党に入れる」という単純な話ではないのです。そうだったら、どんなに楽なことか・・・。いつの世でも、議会制民主主義というのは曲がりくねった細い道なのだということです。

  皆さんが、賢明な選択をなさることを期待しております。

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私から付け加えることは何もありません。上記のろろさんの指針を全面的に支持します。

また、以下の「平和党の推奨する参議院候補者 」も参考になると思います。
http://blogs.yahoo.co.jp/heiwaparty/13626324.html

「むしろこれまで選挙に行かなかったような人々の一票こそが、社会を変えるための一票になるんだよ(byのび○)」



【重要追加記事】

日本の保守政治とはなんだったのか?
江田島孔明氏がその本質・変遷について戦後政党史を紐解く渾身の記事が「三輪のレッドアラート」に掲載されました。
必読です。そして絶対に投票に行きましょう。

「世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL164 江田島孔明」
http://klingon.blog87.fc2.com/blog-entry-289.html

<以下抜粋>
・・・・
55年体制とは当時の米ソ冷戦構造を反映し、日本をアメリカ陣営に組み込むために、鳩山と吉田が保守合同をしたことによって成立した。自民党は93年の小沢新生党の離脱および非自民連立の細川政権の誕生を見るまで、一貫して政権を独占してきた。

その骨子は、日米安保と日本国憲法という、本来矛盾する両者を包括し、右から左まで、官僚から党人まで、あらゆる政治勢力をのみこみ、かつ、野党第1党たる、社会党すらを事実上自民党の予備軍として、国対政治により、手なづけてしまうというやり方にあった。

・・・・
これは、基本的に経済が右肩上がりで、税収もそれに比例することを前提にして、その分配システムが機能している限り、上記の連立政権は支えていけることを意味する。しかし、80年代以降の赤字財政やゼロシーリングといった、「パイが減っていく」すなわち縮小均衡路線の中で、自民党は求心力を失っていく。この流れが、90年代以降、自民党が単独で政権を担えなくなった最も大きな理由だ。

・・・・
ここまでを要約すると、日本の保守政党とは、元々二大政党だったものが、戦後の一時期、米ソ冷戦構造を背景にして「特別に合同」していただけというのが真相であり、本来の姿に復帰するための、一里塚が今回の参院選だ。

その際の対立軸は上述のように「都市VS地方」なのだ。これは、古今東西を問わず、保守政党の中での根源的対立軸だ。

・・・・
更に、安倍内閣は、小泉前首相ですらできなかった、いわばタブーである二つの改革をやろうとしている。

・・・・
すなわち、自民党は小泉政権で竹中の登用や郵政民営化に見られるように完全に国際金融資本の走狗と化してしまい、従来の支持基盤である地方組織をガタガタにして、切り捨てた。

その後、安倍政権は保守政権の基盤である公務員についても解体しようとした。国際金融資本の狙いである、「地方と官僚の弱体化」による、植民地支配のためだ

天下りがなくなれば、官僚は在任中から国際金融資本の走狗と化すのは間違いない。地方が弱体化していけば、農村の株式会社化による運営がなされ、米は投機の対象になる。


・・・・
日本は15世紀以来、常に国際金融資本との緊張関係により、政治体制が決められてきた。
55年体制下において、収賄や天下りや談合を必要悪として、「税金が国内で循環するシステム」を構築し、膨大な中間層と政官業の鉄のトライアングルにより、国際金融資本に対抗するシステムを構築してきたのだ。

この点のバランスが小泉政権で崩され、税金が地方や業界ではなく、国際金融資本へ還流するように変更され、地方は切り捨てられた。
この点が実は最大の問題なのだ。

・・・・
現在起きていることは、日本が国際金融資本に操られた戦国時代後期や太平洋戦争前夜と同じだ。ここを理解すれば、日本人がとるべき手は一つしかない。
それは、民主党に政権をとらせ、民主から左派を追い出し、その上で、真の保守政党として育成する。
小沢の狙いはそこにある。
だから、今は左派と強調して、改憲論を封じ込めたのだ。英断といっていい。

・・・・
江戸期と昭和後期に共通する特徴は庶民が豊かになり、中間層が増大したことだ。年金や税制その他あらゆる政策が中間層を増やすことに向けられた。これが、自民党長期支配の根幹だった。
現在、この点が大きく崩れ、日本は格差社会へと進み、アメリカのようになってしまった。後に来るのは、国際金融資本の収奪のみだ。

民主主義とは、本来的に、国際金融資本が当該国を乗っ取るために導入させたシステムなのだが、日本人は、英知を駆使し、その手には乗らなかった。しかし、小泉、安倍という、高山右近により、その点が崩された。

・・・・
民主主義とは、有権者が責任者なのであり、政治家に任せるのではなく、「政治家を監視」しなければいけないのだ。すなわち、有権者が理性的判断と自己決定力を保持しなければならない。

・・・・
ただの利権をめぐる自民党内部抗争を、「改革」と呼んでいるだということを理解する必要がある。その証拠に、大蔵族たる小泉(注:前)首相は、政府系金融機関や財務省の改革は一切口にしない(注:しなかった)。
(中略) さらに、郵便局職員をまるで悪者であるかのように仕立てあげ、真の悪である財務省所管の財政投融資で財政を破綻させた「財務(旧大蔵)省の責任」を全く追及しない問題のすりかえである。

・・・・
日本人の知的水準の低下の傾向は甚だしいが、今一度冷静に考えてもらいたい。日本人にはそれができると信じる。

<抜粋終わり>

官僚が国際金融資本の走狗と化せば、日本は本当に終わりへと向かうでしょう。また、国際企業等による農村の株式会社化が進めば、自然主義経済が根付く基盤もなくなります。
皆さん、投票に行きましょう。まだ、遅くはありません。


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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ご紹介感謝致します (ろろ)
2007-07-29 12:39:54
政治は足の引っ張り合いばかり…とブロガーどもは言いますが、そんなに思い通りにならないのが現実です。それなのに、晋三くんや太郎ちゃんに夢を託しちゃってるマンガ脳の人が多いですよね。



しかし、ある種の人達は、政治の世界のドロドロをことさらに強調し、国民の不全感を煽ることに成功しました。そして、今その国民の反逆に遭っているのです。自業自得でしょう。まあ、連中も次を考えて、アホ晋三をボロ雑巾役に固定したみたいですが。



私最近気付いたんですが、グローバリストというのは決してハリー・ポッターみたいな魔術師ではなく、世論を動揺させるのに四苦八苦しているのです。だから、まだ諦める必要など少しもありません。



思うに、参院過半数は割ると思いますが、事前予想ほどの自民惨敗はないでしょう。



しかし、民主が勝ち過ぎるよりはいいかもしれませんね。
返信する
こちらこそ (花ブナ)
2007-07-29 13:33:56
ろろさんがとてもわかりやすい指針をその理由とともに説明していただいているので、助かります。

>私最近気付いたんですが、グローバリストというのは決してハリー・ポッターみたいな魔術師ではなく、世論を動揺させるのに四苦八苦しているのです。だから、まだ諦める必要など少しもありません。

そう思います。いろんなところで『諦めさせる工作』も入っているように見えますが、それこそ奴らの思う壺ですね。

三輪のレッドアラートに掲載されていた江田島孔明氏の渾身の記事を追加しました。彼の言うように基本は
「民主主義とは、有権者が責任者なのであり、政治家に任せるのではなく、「政治家を監視」しなければいけないのだ。すなわち、有権者が理性的判断と自己決定力を保持しなければならない。 」
に尽きると思います。

あとは既存マスコミ以外で信頼できる情報ソースや判断基準にアクセスできるようWeb上の「知のネットワーク」を充実させることですね。リテラシーの問題は常にありますけど、次世代を担う者としてまさに日々勉強するしかないですね。

>思うに、参院過半数は割ると思いますが、事前予想ほどの自民惨敗はないでしょう。

>しかし、民主が勝ち過ぎるよりはいいかもしれませんね。

そうですね。自民・民主ともに「調子コキすぎな奴ら」をけん制でき、かつ参院で与党が過半数からなるべく下回る状況となるのが望ましいですね。
返信する
これほどとは・・・ (花ブナ)
2007-07-29 20:57:06
どうやら出口調査では自民大敗のムード。ちょっと民主が勝ちすぎだ・・・こんなに自民がへたれだったとは・・・これでは小政党がキャスティングボードを握れないではないか、ああ・・・
返信する
確かに少しまずいですね (ろろ)
2007-07-29 22:50:00
  まあ、真正保守の力がまだまだだったということですよ。

  首相続投というニュースも入ってきていますね・・・もう、アホ晋三も完全に汚物処理班扱いですな。
  
返信する
とりあえず (花ブナ)
2007-07-30 16:51:45
自民負けすぎ。民主勝ちすぎ。共産党があと一歩で惜しい。国民新党は残念。高知の自民党候補も残念。公明はもっと徹底的に負けて欲しかった。怪しいタレント候補を選んだ都民の闇は深い。新風は、今後に期待(いろいろな面で)。

さて、民主と小沢が調子こきすぎないよう厳しく監視しないと。

安倍は、正直見るに耐えられない。いまさらながら自民党中枢にはもう人間らしい人間がいないことがわかった。
返信する
正確な分析ですね (ろろ)
2007-07-30 23:32:26
>高知の自民党候補も残念。

  田村公平さん、私も応援していました。

  しっかし、アホが三回県内に入った愛媛で元大臣がサッカー選手に惨敗して、アホが逆ギレして演説を拒否した田村さんが民主党候補に1万4000票差で大健闘というのが面白い。アホが神経性下痢連発で演説をキャンセルしまくっていたら、与党過半数もありえたかもしれませんね。

>怪しいタレント候補を選んだ都民の闇は深い。

  グローバリストの標的にされていないと高を括っているんですよ。まあ、いずれ嫌でもわかるでしょう。日本産の米が手に入らなくなって、アメリカ産の農薬米と、中国産の加工食品しか食べられなくなる人間が9割に達した時点で。要するに、都民は最後まで気づきはしないということです。民主に入れたのも、年金がほしいっていうエゴでしょう。
  グローバリストをぶちのめすために、気合いを入れて票を投じたのは、都民では私と貴君と孔明さんくらいかも知れません。
  小選挙区25区中24区で自民党が圧勝した東京の郵政選挙・・・B層というのは、確かに存在するようです。Tokyoの馬鹿ということで、TBってのはどうでしょうか。ブログみたいですが(笑)。

  地方から都市を包囲する。小沢さんも、どうせなら毛沢東みたいな戦略で行ってほしいですね。ランドパワー戦略はまだまだ有効ですよ。
返信する
コメントありがとうございます。 (花ブナ)
2007-07-31 13:19:15
本当に今回は安倍の応援自体が逆風だったということが証明されてしまいましたね。ただ、彼が神経性なんとかでキャンセルしても、誰かまた別のアホがでてきて応援したでしょうから、やはりダメでしょう。問題の根本は自民党中枢におけるまともな人材の枯渇ですよ。

東京のあの丸川ってのも当選したというのにすでに目と表情が死んでいる。ああいうのは、誰が見ても異常だと思うでしょう。あんな状況を作り出した応援者や支持者も罪が重いと思う。

年金問題や地方への金のばら撒きについては、多分民主がやろうと、自民がやろうと、いつも指摘している「お金」の問題が解決できなければ、まず解決できないでしょう。民主にその辺を期待している人はいずれ、がっかりして目が覚めるんだと思います。

都会にも地方にも目を覚ますべき人はたくさんいます(ちなみに私は、都民ではなく、思いっきり地方在住者です。ろろさんにはいずれわかると思いますよ)。

ランドパワー戦略はたしかに重要なんですが、たぶんこのままの戦法だとまたどっかで巻き替えされますね。やはり日本人は両生類がベストだと思っています。自分の姿を時々に応じて、シーパワーやランドパワーに変えつつ、相手の力を利用しながら「バランスよくいなす」柔の道こそが日本人に適しています。もちろん言うほど簡単ではありませんが、我々の父祖がしてきたことですから、できるはずです。
返信する
花ブナさん (ろろ)
2007-08-01 23:18:35
>年金問題や地方への金のばら撒きについては、
>多分民主がやろうと、自民がやろうと、
>いつも指摘している「お金」の問題が解決できなければ、
>まず解決できないでしょう。
>民主にその辺を期待している人はいずれ、
>がっかりして目が覚めるんだと思います。

  そうでしょう。戦略レベルとしては、全くもってその通りです。 

  しかし、戦術的にはバラ撒きもある程度は「あり」だと思うのです。補助金万歳派と財政均衡真理教とを角逐させて、売国を遅らせるということです。何もしないよりは、はるかにましだということはお分かり頂けると思います。
  まあ、そういう意味では、「自民が負けた」ことを歓迎すべきです。私は、「民主が勝った」ことなど1ミリも評価はしていません。

  なにしろ、自然主義経済派は、何一つ実績がないのですから、ヴェルグルでもキームガウアーでもない、ここ日本で結果を出さなくてはいけません。国政で平和党が勝つまで待っているより、できるところからやった方が早道です。
  私が怖いのは、平和党の政策が真っ当すぎることから、他ならぬ平和党自身が「あいつらは何も分かっていない」と、他党の経済政策を全否定してしまうことです。それでは、組みたがる勢力がいなくなってしまいます。参院選前の新風のような、「ちょ、ちょっとこれは・・・」と相手が引いてしまうような公約を掲げるのは得策ではありません。たとえ、我々がどんなに自然主義経済を妥当だと自負していても、受け取る側はそう思ってくれないものです。今回の新風の伸び悩みで、嫌と言うほどそれがわかりました。
  今平和党が準備しなければいけないのは、現行の貨幣制度から自然主義経済までの橋渡しを可能にする青写真です。まず、地元の農産物あたりからクーポンを導入するとか、そういう面からやっていってもいいかもしれません。(もうとっくに大坂さんは考えているかもしれませんが・・・)

>相手の力を利用しながら「バランスよくいなす」柔の道

  まあ、私の言うランドパワーというのも、シーパワーの魔の手を効率よく防御するための方便であって、使い分けが重要だというのは重々承知しております。
  今が戦国時代末期だとすると、あとはポルトガル・スペインと角逐させる勢力、オランダに相当する国が必要になりますね。やはり、イギリスなんでしょうか。とりあえず、中国やロシアでは話にならないでしょうし。
返信する
戦略とビジョンについて (花ブナ)
2007-08-03 22:41:45
まず年金問題等についての先のコメントは、戦略というよりも「天気予報」みたいなものです。今回の選挙に対する民主陣営への批判でも否定でもなくて、「ばら撒き」でもいずれそうなるでしょうなぁ、ということですから。しかし、この「予報」が当たるのか、外れるのか、そんな一番初歩的なことすらも議論が始まっていません。だから、自然主義経済が国政の俎上に上ることは当面ないでしょう。私もそのことはよく理解しています。その「時期」が来るとしたら、諸問題の根本である「お金の非自然性」が誰の目にも明らかになるような事件なり、逼迫した状況なりが顕れてくるときです。そして今我々にできることは、その後の方策を「準備しておく」ということに尽きると思います。

その準備の一つがろろさんの指摘するここ日本で自然主義経済を実現する「青写真」であり、「実績」を示すことだと思います。そのあたりの「戦術」については最近大坂さんとも幾度かやり取りをしています。具体的な方針等はいずれ大坂さんのほうから公表されると思います。今は平和党にしても、新風にしても、より地道にできるところからやった方が良いというのは、ご指摘の通りと思います。

ただ一方で、地域通貨や自給自足の夢は、これまでにも(また現在も)日本でチャレンジしてきた人々はいました(アンチ・ロスチャのあべさんもその一人ですね)。で、なかなか上手くいかない(いっていない)現状がある。なぜ、上手くいかなかったのか。ここを考えるのが「戦略レベル」の話だと思います。

人々は雨が降るという『予報』を信じて、傘を持って出かけます。晴れ(=資本主義経済の永続)を信じている人に「雨が降るから傘を持っていったほうが良い」といっても誰も傘など要らないというでしょう。これまでの活動が上手くいかなかったのは、まさにこの雨など降らないと人々が信じているときに「傘」を押し付けようとしたからです。また、傘の色や形が「日本人のセンス(伝統)」にあっていなかったことも原因だと思います。人々は雨が降ると信じているときにしか、傘を手にしたがらないし、また雨が降るといっても例えば「ピンク色のばかでかい傘」は敬遠されるわけです。だから傘は、自分が気に入るようなものを必要と感じる人が自分で作るのが一番です。

ですから平和党に戦略・戦術があるとすれば、「いつかは雨が降る」ということをより理解しやすい形で人々に発信すること、それから「お気に入りの傘」を誰もが作ることができるということを示して見せること、だと思います。

しかし何よりも重要ことは、なるべく多くの人々に今の資本主義経済に対して「大雨・洪水警報」が出ていることに気付いてもらうことです。人々が「お上」からパンとサーカスを与えてもらって酔っているうちは、どれだけ警報を出しても誰も聞いてくれないでしょう。洪水ですべてが流れてしまう前に、もうパンもサーカスの配給も長く続かないということを早めに知ってもらったほうが良いと思います。その方が最終的に犠牲は少ないと予想します。また、多少の雨は早めに降ってくれたほうが、被害は少ないかもしれません。最近は小雨が降ってきましたので、少しずつ気付く人が増えていると感じます。これは良い流れです。

私は今回の自民の大敗を歓迎しています。なぜなら、これがきっかけで、庶民が「サーカス」の無意味さに気が付くかもしれないと思うからです。だから次はお上からの「パン」の配給についてももう長くは続かないことに気付いてもらい、早めに自ら「パン」を作る気持ちになって、その技を覚え、パン作りの楽しさを思い出して欲しいと思っています。庶民の価値観がそのように変化しない限り、自然主義経済は浸透しません。今は全く望めなくとも、一度変わり始めれば人々はどんどん変わると予想しています。ただ、これはある一定の『閾値』を超えないと連鎖反応は起きないでしょう。人々の気付きが閾値を超えない限り、我々がなんと言おうと、何も目に見えて変化は起きないはずです。

以上のことを充分自覚しつつ活動をしないとすぐに「やりきれない気持ち」になって、世の中を否定したくなるでしょう。実際そういう人、たくさんいますから、ろろさんのご指摘は的を得ていると思います。だからこそ平和党の唱える「善悪中毒」から脱すること、現実において無イデオロギーであることが重要だと私は思っています。自分が理念的に「正義」であると思うから世の中を否定してしまうわけです。今は守銭奴の世の中ですから、私を含む誰もがお金の支配下にあって、そこから抜け出せないのは当然です。重要なのは、現状を否定も肯定もせず、ありのままを認めて、そこから前進することだと思います。この「ありのままを認める」が最初のハードルであり、そのためには多少嫌なことでも人々は経験しなければならないと思っています。これは否定ではなく、我々が自己と世界をより正確に認識するために必要なプロセスだと考えています。

私は補助金万歳派にも、財政均衡真理教にも、正しい部分と間違っている部分があると思います。だから、どちらかを否定してみても始まりません。むしろ、それぞれの信念でやれるまでやってみたら良いと思います。究極的には人間はやってみて、成功なり、失敗なりを経験しないと学ぶことはできないのです。雨降って地固まるです。私はそういう弁証法的な成長プロセスを抑制するのではなく、むしろ国内において適度に加速させることが望ましいと思っています。そうすることでそこにどんな問題があるのか、その根本要因について大勢の人が早めに気付くだろうと思っています(江田島孔明さんが今回は民主を勝たせたいとか、地霊による究極の改革とかを述べるのは、おそらく戦略を超えた大局において、似たようなことを考えているからと思います)。

今回の自民の大敗はそういうプロセスを一個前に進めるイベントだったと思います。そして本当に反省し、目覚めが必要なのは安倍首相やその取り巻きではなく、かつて「小泉・安倍路線」を支持した一般国民だと私は思っています。もし亡国があるとしたら、日本人全体が「善悪中毒」にはまって今後もずっと相手の叩きあいを続けることだと思います。「マスコミ」がそれを煽っているのは確かですが、なぜマスコミがそういうことを煽るかといえば、その方が大衆にウケルからです。

山本七平氏が「日本はなぜ敗れるのか」という本の最後の方で、「百人切り」の捏造例を出し、その捏造記事が当時なぜ出来たのか?なぜ皆が真っ赤な嘘に心酔したのか?という問いを発しています。このことについて、戦後真摯に国民に問うた政治家は一人もいません。言論で飯を食べる人、ブロガーにもほとんどいない。あの三輪のレッドアラートでも、このことをはっきりとコメントしているのは真名さんぐらいです。
http://klingon.blog87.fc2.com/blog-entry-287.html
>>>>
政界再編・・・・期待するのは結構だが、この政治改革(笑)を支持したのは、国民の多数であったことを忘れてはならない。
私は忘れていない。

小泉元首相は、10数年前に、この「政治改革」に対して、痛烈な批判を行ったのだが、聴く人はいなかった。
彼は、そのときに、日本国民に対して、断念の思いを抱いたに違いないのである。
彼の政治行動には、断念が透けて見える。
>>>>

先のエントリーで紹介したようにヒトラーも近代の問題をかなりの部分まで見抜いていたと思われます。しかし、彼は(上で真名さんが小泉首相について述べているように)断念したのだと思います。断念した政治家は、一か八かの賭けに出ます。当面の権力を握るための「戦術」として大衆受けすることならなんでもやるでしょう。しかし、その結果がどう出るのか、歴史的事実を見れば明らかなわけです。

私は、日本人の中に精神的に成長した人々がもっと増えて欲しいと思っています。先の大戦の失敗を繰り返さずに、近代の超克を成し遂げる、これが日本崩壊を避ける唯一の道です。私が、平和党を知る前から、ブログでぼちぼちと一人ごとを綴ったり、お節介にもよそのところに顔を出して、面倒なことをコメントしたりするのは、なるべく多くの人に以上のようなことに気が付いて、考えて欲しかったからです。

新風を支持する人々にも色々言いたいことはあるのですが、私はしばらく様子を見ることにしています。すでに三輪さんが極めて妥当な批評をしていますし、新風が内側から変われるかどうかをじっくりと見たいと思います。

対して、平和党に支持者があまり増えないのは、時が満ちていないので仕方ないと思います(もちろん実績がないということも大きい)。平和党は確信的にノンポリですから、右からも左からも来るものを拒まず、去るものを追わないでしょう。自然主義経済の大切さも判らせるというより、まず気付いてもらうことが基本だと思います。

また、戦術レベルで「ばら撒き」を支持するのも「あり」だとは思いますが、これからはむしろ「ばら撒き」には一時的に追い風が来るでしょうから、「戦術」「戦略」「大局」の優先順位が入れ替わらないように気をつける必要があると思います。戦術的な方便と言っておきながら、予想外に周りから支持を得たりするといつの間にか「方便」が目標になったりするものです。

これは直感ですが、私は国民経済主義で国家を運営することは、グローバリズム(新自由主義)で行くよりもさらに成功マージンは狭いと思っています。国民経済派の政治家がなぜ昨今増えないかという根本的な原因がそこにあると考えます。要するに頭の良い政治家・官僚は口で言わないだけで、国家の繁栄と資本主義経済の共立が非常に難しいことに気が付いているのです。

賢人政治家による救いがあまり望めない以上、サルカール(サーカー)の提唱するような社会発展の弁証法的サイクルを促進させて、守銭奴の時代から次の時代に移ることを早めるほうが適切であるといえます。そして血を流さずに革命を起こす方策として「自然主義経済」があり、そのために庶民の中に目覚めた武人と知識人が「閾値」以上いることが重要になります。

連山・橘みゆき
「サーカーの四階級社会体制」
http://www.teamrenzan.com/archives/writer/tachibana/post_275.html
「武人・知識人・富裕者による各時代の特徴」
http://www.teamrenzan.com/archives/writer/tachibana/post_292.html

ユニバーサル・ジャパン
「サーカーの進歩的活用理論(プラウト)にもとづく経済社会論」
http://www12.ocn.ne.jp/~kitsumi/theory/theoryofsarkar/1shoueconomic.htm

戦略というより、ビジョンですね。私と大坂さんが議論して、出てきたビジョンが橘みゆきさんの記事とダブるのは事実です。

以上、言葉で説明しきれていないように感じますが、大切なところと思いますので、ちょっと長めにコメントしました。
返信する
なるほど (ろろ)
2007-08-03 23:32:18
>戦術的な方便と言っておきながら、予想外に
>周りから支持を得たりするといつの間にか
>「方便」が目標になったりするものです。

  小泉カイカクというものはそういうものだった・・と。「周り」というのはアメリカやマスコミ、何より血に飢えた一般国民だったようですね。
  私が民主党の小沢代表について一番懸念しているのはここなんですね。彼には「戦術」しかないような気がするのです。綿貫氏は田舎を守るという点では彼より数段ましですが、それでも限界はある。共産党に至っては所詮コミンテルンの末裔です。
  自民、公明、社民については、政党ですらありません。

  そもそも、真名さんが言うように、国民主権のもとでの政党なんてのはいかがわしい連中ばかりなんですが、そのような枯れた諦念を野に放つのには、私は反対ですね。曲解されて真意が伝わらないに決まっています。
  新しい世の中を迎えるにしても、生き残らなければしょうがありません。それには、今与えられた条件でゲームを戦い抜くことが絶対条件です。だから、私は哲学思想レベルには逃げたくありません。大学4年で哲学から足を洗ったのは、現実を離れた思想の馬鹿馬鹿しさに愛想が尽きたからです。
  グローバリストと戦うには、とにかくまずは彼らの嫌がることを徹底的にやること、それから出島方式の鎖国です。欲の皮の突っ張った連中を角逐させることも必要ですが、今は全部ロスチャイルドですから、やつらに睨まれたらおしまいなんだという考え方もできなくはないです。
  その間に、何とか自然主義経済を成功させることです。地方で自律的経済を運営できるようになることです。そのためには、まず何より国民に本当のことを知らせなければなりません。あいつらは馬鹿だからと情報を選別している時点でダメです。
  極端なたとえですが、子供を持つお母さんが「これはちょっとまずいわねぇ」というようなことこそ、一番大事なのです。今度のブログでもはっきり書くつもりですが、どっかの政党が主張している、核武装だの戦後体制の打破だのそんなことは、本当はどうだっていい(笑)。わかっている連中が、信念に基づいて、ちゃんとした方法で間接侵略と戦えばいいんです。
  そして、気づいた人にその解決方法は自然主義経済だと伝えることです。私はそういうことしかできないから、それで行きます。
返信する