減価する通貨が導く近代超克への道

自然破壊、戦争、貧困、人心の荒廃・・・近代における様々な問題の根本に、私たちが使う「お金の非自然性」がある

エコ経済システムを作るきっかけは、地域がロスト・ジェネレーションの痛みを共有することからはじまる

2008-02-02 12:40:34 | Weblog
以下は関さんのブログ「代替案」の記事
「廃県置藩後の社会」および「赤木さんの「希望は戦争」について一言 ―新年のあいさつに替えて―」に関連するお答えです。非常に興味深い記事ですので、はじめての方はまずはそちらをご一読下さい。

私も基本的に「廃県置藩」を進め、州の導入は必要ないと思います。ただ、私は三層構造「村・藩・くに」の中で「村」を一番重要視しています。これが地方自治の最も重要な単位です。規模としては中学校の校区相当をイメージしています。この規模であれば、「身の丈」の直接民主主義がなりたちます。親も子も老いも若きもそれぞれに役割と責任を負います。「村」は、「藩」がなくてもぎりぎり自給自足できる最小の「自立」共同体です。ここでいう「自立」とは、『防犯・防災・祭(武人役)』『教育・立法・司法(賢人役)』『経済・行政・保険(商人役)』の全てを共同体内の住民が分担して自給自足できるという意味です。それぞれの分野にリーダーの「かしら」をおき、「としより」「おとな」「わかて」「こども」の4世代が全分野に関与します。また各世代に「まとめ役」をおきます。もちろん各分野のかしらと村長、まとめ役は民主的方法で選ばれます。

藩は基本的には村間の調整機関であり、各村が連携して対応すべき課題(大規模防災・防衛体制・村間利害調停のための司法・立法、地域インフラ整備・産業高度化等に係る行政指導)を担当します。「くに」は同様に藩間の調整機関となります。究極の小さな政府指向です。通貨も藩札からではなく、まず「村札」を発行します。各村の「村札」経済が活発になって、各村のリーダーが「藩札」があったほうがよいと思う合意ができてから、藩札を発行するという流れです。しかし、藩札の使用で何か問題が起きたときは、すぐに「村札」で経済鎖国ができる能力と権利を共同体は有することとします。

組織というのは、大きく仕切っても、小さく仕切っても、大抵そのうち2割がよく全体をみて働いて、残り8割程度は、その2割メンバーの働き・指導に依存して生活するという形になります。これはありんこから人間までおおよそ「社会」を形成する生物に特有の「法則」です。ですからなるべく、構成メンバーどうしが互いの「顔」がわかるような小さな組織(役)に分けることで、どの分野でも2割の人(かしら・まとめ役とその候補)が良く働くようになり、8割の人が2割の人を尊敬しながら、安心して生きる社会になる、という考えです。つまり「鶏口となるも牛後となるなかれ」で、各村・各分野・各世代に、大勢のリーダーやリーダー候補が生まれる環境を作ります。もちろん村長とかしらは、「寄り合い」を作って、互いのコミュニケーションを厚くします。一方、村は平時には外に対して開いており、人々の移動は基本的に自由です。また、情報やモノもITネットワークを活用して、村外からいつでも手に入れることができます。以上が私の想定する「開かれた地域共同体」です。

参考リンク
・「開かれた地域共同体」についての粗雑なイメージ (晴耕雨読)
・国民の八割(平和党公式ブログ)

ちなみに有利子である「日本円」と「地域通貨」をバランスさせるには、後者は無利子ではなくて、マイナス利子であることが重要です(陰陽の貨幣の力をつりあわせるイメージです)。無利子であっても、貨幣の「退蔵」は可能です。そうなるとモノと貨幣の交換速度が遅くなり、地産製品の再生産や労働力需要を押し上げません(現在導入されている多くの地域通貨に社会を変革する力がないのはマイナス利子でないことが一因でしょう)。このあたりは、ちょっとすぐには想像できないかもしれませんが、実際に導入すればすぐ判明することと思います。かつて、オーストリアのヴェルグルでは、マイナス利子の紙幣(月初めにその額面の1%のスタンプを貼らないと使えなくなるシステム)を労働証明書として出して成功しましたが、今ならIT技術とネットを使って、「自然通貨ポイントカード」などとして導入すればずっと使いやすくなるはずです。

参考リンク
・ヴェルグルの労働証明書(アンチロスチャイルド同盟)

私は以上のようなシステムを作るきっかけとしても、財政赤字や少子高齢化で苦しむ地方の自治体、「村」にあると考えています。まず、村民の自主改革意識を前提として、自治体が「エコ・介護事業人材派遣業」を、組合・地元企業・自営業が「エコ公社」「介護公社」を立ち上げて、最低限の日本円と地域通貨の「ハイブリッド給料」でワーキングプワー等の「金融被災者」を雇います。村民は、働き手を確保し、地域の自然環境維持・活用と老後の安心を手に入れ、「金融被災者」はやりがいのある仕事と安心・安全な食べ物・住処が保証されます。上手くいけば、自治体の赤字を増やさずに、これまでお荷物だった産業が、地域環境と社会を復活させる産業となり、都会の賃金労働者が地方に移住したロスジェネ世代を「うらやましく」思う日々が来るかもしれません(当然ながらエコ事業を進めれば、温暖化対策にもなり、CDMで都会の企業との取引も可能となります)。ポイントは、地元が一体となって自主改革へ向かう気概を持つこと、そして地方の良質な自然環境こそが実はひとを養う大きな「資源・資本」であったことに気付く(思い出す)ことだと思います。

参考リンク
・ネットカフェ難民などの失業問題(平和党公式ブログ)
・「日本には資源がない」などという勘違い(平和党公式ブログ)

あとは政府が地方に持続可能な内需産業を造り、それを伸ばすことこそが、最終的に日本を救い、世界を救うということに気が付くだけです。
また良く勘違いされるのですが、自然主義経済・エコ経済システムは資本主義経済やケインズ的政策を否定するものではありません。並存が可能なシステムです。相手の不完全さを補完しつつ、包み込まれると同時に、包みこむ関係です。これは以前示したこちらの図を見ていただければ、消費者・生産者・労働者・住民は日本円(外部市場)とEマネー(エコマーケット)のどちらを選ぶことも自由であることがお分かりいただけると思います。

自然の豊かな地方に「エコ経済システム・開かれた共同体」を包摂すると同時に、世界市場で通用するハイテク製品と芸術作品(サブカルチャー含む)を作る国家、これが近未来の日本の姿ではないでしょうか。

参考リンク
・世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL188(復活!三輪のレッドアラート)

すでに条件は揃いつつあると思います。
しかし、そこに生まれ変わるには、ワーキング・プワーやいわゆるロスト・ジェネレーションの痛みをもっと多くの人が切実に味わう必要がある。世の古びた「既得権」にしがみつく人々、次の世代を育てる本来の責務を忘れ、保身とごまかしに染まった人々、あなた達こそが「痛み」を味わう必要がある。己が地面に叩きつけられる前に、ロスト・ジェネレーションと心象を重ね合わせることができたものだけが、トランス・モダンな変化を幸せへと導くことができるだろう。

参考リンク
・「丸山眞男」をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。

参考リンク引用
・ロスト・ジェネレーションに捧げる詩(『海舌』the Sea Tongue by Kaisetsu)
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心配しなくて良い。
もうすぐ、周囲の皆が、あなた達の隣人になる。
じっと、しているだけで良い。
決して、他人、特に政府を頼っては駄目だ。
自分の頭で考えて、自分だけでできる暮らしをしている、あなた達は先駆者だ。
アジア通貨危機後の東南アジアで、私は現地で多くのロスト・ジェネレーションと生活を共にした。それより前、韓国の光州事件の時も、私は、やはり、当時のロスト・ジェネレーションと共に、ソウルに居た。南米の苦悩は、多くのNGO活動家から見聞きしてきた。
過去の戦争を引きづった人生を続けておられる方々も、誠実に直視する方こそ、やはり、ロスト・ジェネレーションだ。
日本のロスト・ジェネレーションの皆さん。
皆さんは、国際連帯している。
あなた達の心象風景は、アジア、アフリカ、南米の民と共に在る。
ホリエモンも無一文、いや、早く借金を背負って、ロスト・ジェネレーションの仲間達と暮らすことだ。ロスト・ジェネレーションと共に暮らすことが、唯一、ホリエモンの知性が輝く時だ。
タイの貧民街から外交官テストに合格した少女が居ることを私は知っている。姉から貰ったボロボロのマレー語の教科書で勉強している中国人の小学生を私は多く知っている。家にテレビも無い子供が、金持ちの家でCNNに噛り付いている光景をインドネシアやフィリピンで見たことが大いに在る。
エジソンも、あなた達の同胞だ。アインシュタインも、あなた達の隣人だ。ライス国務長官も、あなた達と同じ心象風景を共有できるだろう。
もうすぐ、80%の日本人が、あなた達の同胞となる。
世界を席巻するフラット化の結末だ。
庶民は、世界中、皆、同じ背の高さで暮らすんだ。
いや、今は歓楽街でソファーに踏ん反り返っている連中や朝昼晩と馬鹿げたテレビに興じている御夫人達が、今度は、あなた達に頭を垂れる時が迫っている。
今度は、あなた達が慈悲深い目で、この新しい同胞に接してあげて欲しい。
勿論、これまで、やられた付けは、きっちり、返してもらえよ。
ロスト・ジェネレーション!
良いネーミングじゃないの。
あなた達には未来がある。辛さを経験する時間が在った。
でも、新しく来る日本人の80%の連中には、「未来も無いのだ。」
だから、温かく迎えてあげようよ。
生贄には、しないであげて欲しい。


(注:朝日新聞の特集記事を読んで。)
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