Cheeさんからの質問にお答えする形で、最近の平和党ブログの記事紹介をします。
>エンデの遺言でも紹介されているIthaca Hoursの記事を書きました。
>この地域通貨は、コモディティの裏づけがありません。労働時間が単位になっています。
>公共への労働や物品提供に対して、このタイプの通貨を発行するところから始め、やがてそれを受け付けるビジネス同士のトレードに広げていくというのはどうでしょう?
住民にとって常時必要なサービスというのは、目には見えない形での「コモディティ」であると考えます。具体的には自分が(ほぼ確実に)出来るサービスと他人が(ほぼ確実に)出来るサービスを通貨担保たる「コモディティ」として、とくに地域で必須性の高いサービスの交換⇒自給自足を促していけば良いという認識です。
Ithaca Hoursは現行地域通貨としては良いアイデア・システムだと思いますが、①減価する機能がないこと(よって、流通力に乏しいこと)、②交換リングという方法が一般になじみが薄く、使いづらそうに思えること、(すみません、Ithaca Hoursは精巧な紙幣(減価機能なし)でした。詳細はこちらhttp://www.ithacahours.com/)③サービスの量や質を保証・維持するための合意形成は単にIthacaなどを真似するのではなく、日本なら日本の地域社会の事情にあったものにする必要のあること、などが課題と思います。
よって、まず①についてきちんとシステムを作るときに初めから織り込むことが重要です。言葉を変えていえば、これを理解・許容できる共同体から始めるということです。また②については、何か新たなアイデアとそれを実現する具体的な技術系の確立が必要だと思っています。そういうことが得意な人材を自治体などにリクルートするか、キームガウアーのように地域の学校や専門家などが協力して実現できれば良いと思っています。さらに言えば、そのような『人材のネットワーキング』を可能とする人材がグループ内の企画中枢にいることが重要です。活性のある組織には必ず『人材を活性化させる人材』がいます。
但し、本当に防犯・防災・救急が必要とされる「危急時」には、利便性よりも必需性が優先されて、多少使いにくくても、取引は進む可能性があることを指摘しておきます。
③が実は一番重要だと思っています。目に見えないサービスを担保とするわけですから、実態のあるコモディティを担保とするのに比べ、サービスを交換するための互いの信用が重要となります。また、1対1の信用だけではうまくまわらないのが「人の世」です。ですからとくに初期においては、共同体の代表が自然通貨の発行やその担保となるサービスおよび取引市場を「オーソライズ」する必要があると思っています(このオーソライズを与える部分が日本の場合NPO・NGO主導では色々と限界や問題があると感じています。但し、今回はその理由についての議論をするつもりはありません)。例えば以下で紹介する平和党ブログの記事に出てくる『減価する市税免除券』などは、市税制度というすでにあるサービスシステムを利用した自治体の長による自然通貨市場の「オーソライズ」であると言えます。
目に見えない「コモディティ」を通貨担保とする方式では、まず自治体やPTA・商工会とかの共同体単位で、きちんとサービスの供給量と質を確保するための準備や合意形成を図ることが必要と思います。つまり自然通貨を発行する前に、きちんと自分達の共同体内で自給自足きる「サービスのラインナップ」を確認することです。またその時に、あんまり希望的な企画やラインナップではなくて、まずはとにかく必要で、サービスの時間と質を確実に保証できるもの(=『コモディティ化』できるサービス)からリストアップして、職業分担もある程度決めておくことだと思います(人物の固定化ではなくて地域に必要な役割の明確化と考えてください)。将来的には、多様なサービスを自然通貨で取引できるようになると思いますが、まずは共同体という「体」の基礎である骨(=自治組織やその長による自然通貨市場のオーソライズ化・提供サービスの担保化)と必須臓器(サービスを生み出す人・グループの役割分担と信頼=債権保障)がないと共同体内の「経済」に生命性(持続可能性)が生まれません。一度生命性さえ生まれれば、赤ちゃんが大人になるように経済規模の拡大および取引される財・サービスの多様化、生活空間や取引空間の重なる他の共同体との連携が始まると思います。このあたりの発展はお稽古ごとの「守・破・離」のように順番を追った発展(経験的な積み重ねとそれに伴う規模と質の変化)を意識する必要があると思います。これを逆転させて理想から考えすぎるとやはり途中で活動が止まるか、崩壊すると思います。
平和党公式ブログ:市町村によるスモールディフェンス
http://blogs.yahoo.co.jp/seitouheiwatou/35465000.html
大坂さんのいうように、まずは地域の治安対策として防犯・防災を分担する人々を自然通貨で雇用するシステムを作るのが良い案と思います。具体的には彼らが地域全体や受益者のために使った「時間×質(役割の困難度)」に応じて給料や賃金を支払い、地域で供給できる他のサービス(あるいは財)と交換できるようにすればOKでしょう(市税免除券というのも市が税金で提供している各種サービスの割引券と同義です)。ただ、ここで忘れていけないのはやはりサービスの「質」の確保だと思います。大坂さんが度々指摘しているように、きちんと心得を持ったプロに、本当に困難な役を請け負ってもらわねばなりません。と同時に、それ以外の人にも自分にできる範囲でなるべく仕事を分担してもらう必要があります。つまり役割(リスク)や技能(スキル)に応じた給金の違いが必要であり、その「市場性」が共同体のメンバーに納得できるよう民主化・透明化されている必要があります。よって、始めは人材雇用および賃金体系に関する取り決めを共同体内で行い、その長の権限でもって「オーソライズ」する必要があると思っています。そして共同体の長が共同体内で交換可能なサービスの量と質に見合った規模の「自然通貨」の発行を保障することで、通貨が担保される仕組みです。
最近の事情を鑑みれば、医療サービス、介護サービスなども地域での自給自足が強く求められると思います。スモールディフェンス構築のための自然主義経済がある程度軌道にのれば、上記の二つについても同じような方式で自給自足を促すことが可能と思います。
目に見えないコモディティを自然通貨の担保とする利点は、現在すでにスキルのある人材(ソフトパワー)をうまく雇用(利用)できればすぐに実効性を確保できるので、財の生産に必要な資源管理や生産・流通・加工手段、リサイクル(廃棄)処理の最適化を考えなくて良いところです。実際の財の生産・管理において最適化を怠ると、経済的にはどんなに理想でも、実生活面でのエントロピー(環境や食品の汚染、資源の枯渇etc.)が増大して、暮らしにくくなる可能性があります(減価する通貨による経済下であれば、最終的には持続・循環可能な思考や手法だけに淘汰されていくと思いますが、その初期には色々と技術的課題も浮上するでしょう)。要するに人材の活用以外に自然の力を活用するための知恵や技術や文化が必要ということです。
但し、本当の本質としては、人間の提供するサービス業は重農主義で指摘されるように非生産業です。至極当前の事実として「人間は食物を食べないと動けない」からです。人間活動も含め目に見える形での地球上の全ての活動力や創造力(系内で増大するエントロピーを減少させ、生命を持続可能にする根源的な力)は、『お天道様』に起源があります(石油だってそもそもはお天道様の力で育った生物が地層の中で化学的に変化してできたものと考えられています)。
ですから、自然主義経済の導入をどこからやるかという短期的目標(目の前の危機への対応)と手段(目に見えないコモディティーの取引)が達成された後に、中期的な目標・手段としての食物・エネルギーの自給につなげていく必要があると思います。その段階で、目に見えるものと目に見ないものが各種自然通貨の担保となり、通貨の流通量および市場がさらに広がっていくと思います。
お天道様の力をどのように受け止め、人間が利用可能な形にすれば良いか。これについてはまたぼちぼちと記事にしたいと思います。ポイントは、再生可能エネルギーの生産業は基本的に農林水産業と同じ一次産業であるということです。それから、微生物・植物から運搬用の家畜までなるべく生物を介在させた方が、太陽の光を人間が効率よく利用できるであろうということです。
また、誰もが比較的使いやすいような減価する通貨の導入・決済方法などについても調査したりアイデアを練ってみたいと思います。
>エンデの遺言でも紹介されているIthaca Hoursの記事を書きました。
>この地域通貨は、コモディティの裏づけがありません。労働時間が単位になっています。
>公共への労働や物品提供に対して、このタイプの通貨を発行するところから始め、やがてそれを受け付けるビジネス同士のトレードに広げていくというのはどうでしょう?
住民にとって常時必要なサービスというのは、目には見えない形での「コモディティ」であると考えます。具体的には自分が(ほぼ確実に)出来るサービスと他人が(ほぼ確実に)出来るサービスを通貨担保たる「コモディティ」として、とくに地域で必須性の高いサービスの交換⇒自給自足を促していけば良いという認識です。
Ithaca Hoursは現行地域通貨としては良いアイデア・システムだと思いますが、①減価する機能がないこと(よって、流通力に乏しいこと)、②
よって、まず①についてきちんとシステムを作るときに初めから織り込むことが重要です。言葉を変えていえば、これを理解・許容できる共同体から始めるということです。また②については、何か新たなアイデアとそれを実現する具体的な技術系の確立が必要だと思っています。そういうことが得意な人材を自治体などにリクルートするか、キームガウアーのように地域の学校や専門家などが協力して実現できれば良いと思っています。さらに言えば、そのような『人材のネットワーキング』を可能とする人材がグループ内の企画中枢にいることが重要です。活性のある組織には必ず『人材を活性化させる人材』がいます。
但し、本当に防犯・防災・救急が必要とされる「危急時」には、利便性よりも必需性が優先されて、多少使いにくくても、取引は進む可能性があることを指摘しておきます。
③が実は一番重要だと思っています。目に見えないサービスを担保とするわけですから、実態のあるコモディティを担保とするのに比べ、サービスを交換するための互いの信用が重要となります。また、1対1の信用だけではうまくまわらないのが「人の世」です。ですからとくに初期においては、共同体の代表が自然通貨の発行やその担保となるサービスおよび取引市場を「オーソライズ」する必要があると思っています(このオーソライズを与える部分が日本の場合NPO・NGO主導では色々と限界や問題があると感じています。但し、今回はその理由についての議論をするつもりはありません)。例えば以下で紹介する平和党ブログの記事に出てくる『減価する市税免除券』などは、市税制度というすでにあるサービスシステムを利用した自治体の長による自然通貨市場の「オーソライズ」であると言えます。
目に見えない「コモディティ」を通貨担保とする方式では、まず自治体やPTA・商工会とかの共同体単位で、きちんとサービスの供給量と質を確保するための準備や合意形成を図ることが必要と思います。つまり自然通貨を発行する前に、きちんと自分達の共同体内で自給自足きる「サービスのラインナップ」を確認することです。またその時に、あんまり希望的な企画やラインナップではなくて、まずはとにかく必要で、サービスの時間と質を確実に保証できるもの(=『コモディティ化』できるサービス)からリストアップして、職業分担もある程度決めておくことだと思います(人物の固定化ではなくて地域に必要な役割の明確化と考えてください)。将来的には、多様なサービスを自然通貨で取引できるようになると思いますが、まずは共同体という「体」の基礎である骨(=自治組織やその長による自然通貨市場のオーソライズ化・提供サービスの担保化)と必須臓器(サービスを生み出す人・グループの役割分担と信頼=債権保障)がないと共同体内の「経済」に生命性(持続可能性)が生まれません。一度生命性さえ生まれれば、赤ちゃんが大人になるように経済規模の拡大および取引される財・サービスの多様化、生活空間や取引空間の重なる他の共同体との連携が始まると思います。このあたりの発展はお稽古ごとの「守・破・離」のように順番を追った発展(経験的な積み重ねとそれに伴う規模と質の変化)を意識する必要があると思います。これを逆転させて理想から考えすぎるとやはり途中で活動が止まるか、崩壊すると思います。
平和党公式ブログ:市町村によるスモールディフェンス
http://blogs.yahoo.co.jp/seitouheiwatou/35465000.html
大坂さんのいうように、まずは地域の治安対策として防犯・防災を分担する人々を自然通貨で雇用するシステムを作るのが良い案と思います。具体的には彼らが地域全体や受益者のために使った「時間×質(役割の困難度)」に応じて給料や賃金を支払い、地域で供給できる他のサービス(あるいは財)と交換できるようにすればOKでしょう(市税免除券というのも市が税金で提供している各種サービスの割引券と同義です)。ただ、ここで忘れていけないのはやはりサービスの「質」の確保だと思います。大坂さんが度々指摘しているように、きちんと心得を持ったプロに、本当に困難な役を請け負ってもらわねばなりません。と同時に、それ以外の人にも自分にできる範囲でなるべく仕事を分担してもらう必要があります。つまり役割(リスク)や技能(スキル)に応じた給金の違いが必要であり、その「市場性」が共同体のメンバーに納得できるよう民主化・透明化されている必要があります。よって、始めは人材雇用および賃金体系に関する取り決めを共同体内で行い、その長の権限でもって「オーソライズ」する必要があると思っています。そして共同体の長が共同体内で交換可能なサービスの量と質に見合った規模の「自然通貨」の発行を保障することで、通貨が担保される仕組みです。
最近の事情を鑑みれば、医療サービス、介護サービスなども地域での自給自足が強く求められると思います。スモールディフェンス構築のための自然主義経済がある程度軌道にのれば、上記の二つについても同じような方式で自給自足を促すことが可能と思います。
目に見えないコモディティを自然通貨の担保とする利点は、現在すでにスキルのある人材(ソフトパワー)をうまく雇用(利用)できればすぐに実効性を確保できるので、財の生産に必要な資源管理や生産・流通・加工手段、リサイクル(廃棄)処理の最適化を考えなくて良いところです。実際の財の生産・管理において最適化を怠ると、経済的にはどんなに理想でも、実生活面でのエントロピー(環境や食品の汚染、資源の枯渇etc.)が増大して、暮らしにくくなる可能性があります(減価する通貨による経済下であれば、最終的には持続・循環可能な思考や手法だけに淘汰されていくと思いますが、その初期には色々と技術的課題も浮上するでしょう)。要するに人材の活用以外に自然の力を活用するための知恵や技術や文化が必要ということです。
但し、本当の本質としては、人間の提供するサービス業は重農主義で指摘されるように非生産業です。至極当前の事実として「人間は食物を食べないと動けない」からです。人間活動も含め目に見える形での地球上の全ての活動力や創造力(系内で増大するエントロピーを減少させ、生命を持続可能にする根源的な力)は、『お天道様』に起源があります(石油だってそもそもはお天道様の力で育った生物が地層の中で化学的に変化してできたものと考えられています)。
ですから、自然主義経済の導入をどこからやるかという短期的目標(目の前の危機への対応)と手段(目に見えないコモディティーの取引)が達成された後に、中期的な目標・手段としての食物・エネルギーの自給につなげていく必要があると思います。その段階で、目に見えるものと目に見ないものが各種自然通貨の担保となり、通貨の流通量および市場がさらに広がっていくと思います。
お天道様の力をどのように受け止め、人間が利用可能な形にすれば良いか。これについてはまたぼちぼちと記事にしたいと思います。ポイントは、再生可能エネルギーの生産業は基本的に農林水産業と同じ一次産業であるということです。それから、微生物・植物から運搬用の家畜までなるべく生物を介在させた方が、太陽の光を人間が効率よく利用できるであろうということです。
また、誰もが比較的使いやすいような減価する通貨の導入・決済方法などについても調査したりアイデアを練ってみたいと思います。